今日は大した話ではないのですが、収納やクローゼット(又は押入れ等)の扉として使用されることが多くなった、いわゆる「折戸(折れ戸)」とは何か?という点から、この開閉方式の違いによる「収納性」について整理してみようと思います。
ちなみに☝、ここでいう「収納性」とは、収納性能や使い勝手を差します。
折戸(折れ戸)の図面表記や基本事項などもざっとご説明しつつ、開閉形式による違いについて、実例を示しながら解説していきます。👌
押入れやクローゼット、収納などを有効に活用し上手に整理するには、ピポット(固定)型でなく、何と言っても「フリー」がお勧めです!😉
折戸(折れ戸)とは?
そもそも折戸(折れ戸)とは?
まず読み方は「おれど」になります。
どんな「戸」のことかと申しますと、ご存じの方が大半ではないかなと思いつつなのですが、読んで字のごとく・・・、要するに「折れる戸」ですよね。
「折れることで開閉する戸」を総称して、「折戸(おれど)」と呼んでいます。
この「折戸(おれど)」を図面で描きますと、この👆ような絵になります。
赤線で表現してあるのが折戸(折れ戸)の部分です。
ちなみに、この👆図面部分をクリックすると拡大できますので、拡大した状態で・・・、
青線で描いてある両サイドのものは縦枠と呼ばれる部分。
また、呼び方がメーカーによって違う場合もあるのですが、左側が「4枚折戸」、右側が「2枚折戸」になります。
一枚の扉を二枚に折りたたむ・・・という意味で左側を「2枚折戸」、右側を「1枚折戸」と呼ぶ人もいますので、注文などをする際はちょっと注意が必要かもしれません。
お馴染みかとは思いつつ・・・、写真で見ますと、以下👇のようなイメージのもの。
※YKKapさんカタログからの引用。
先ほどの折戸の図面表記と同じ並びになっていますので、左が4枚折戸、右が右が2枚折戸。
寸法については各社様々ですので、概ねは似たような寸法にはなるのですが、微妙に異なります。
あと、通常、この手の内装用の建具(ドア関係)は枠外寸法で呼びますので、例えば巾が「1645」だと言われれば、先ほどの折戸の図面の青線で描かれた縦枠の右外から左外までの巾が、1645mmですよ!という意味です。
開閉方式の種類
開閉方式の違いから、この折戸(折れ戸)には「フリータイプ」と「固定タイプ(ピポットタイプ)」の二通りが存在しています。
念のためですが、開閉方式とは、要するに「どう開くか?」という意味です。
括弧書きで書きましたが、「固定タイプ」は「ピポットタイプ」とも呼ばれます。☝
では、さっそく先に画像でご説明します。
同じくYKKapさんサイト内に分かりやすい画像がありましたので、これを引用させて頂きますと、以下👇のような違いになります。
4枚折戸の場合、「固定タイプ(ピポットタイプ)」は、文字通りですが、上👆の画像の右図👉のように扉の両端が両端の縦枠の部分で固定されているタイプ。
逆に、左側👈の絵のように、どこも固定されておらず、横方向には自在に動かせる形が「フリータイプ」と呼ばれています。
なお、この画像👆でいいますと、写真の下側に描かれている図面的な絵が、「正しい」と言いますか、「分かりやすい」折戸(折れ戸)の図面表記になるのですが、実際の建築図面ではここまでの表現になることは、まずありませんので、「建具表」という図面があれば建具表で表現されています。
最近は、通常は固定(ピポット)であっても、フリーに切り替えられるタイプが多くなってきているように感じますが、「建具表」がない場合は、工務店さんや建築会社、住宅メーカーさんなどに、確認しておいた方が賢明です。☝
使い勝手の違い
開閉時の動作という観点では、片側が固定されている「固定タイプ(ピポットタイプ)」の方が、当たり前に安定しているのですが、使い勝手としましては、機能性だけを見ますと、「フリータイプ」の方がはるかに優れています。
例えば、例によって筆者の建売マイホーム内の写真からご説明しますと、お恥ずかしい限りですが、ここ👇が一番わかりやすいんじゃないかと思います。
※クリックすると拡大できます。
ちなみに、あんまり関係ないのですが、筆者の建売マイホームのこの折戸を含む内装建材は、全て住友林業クレストさんというメーカーさんの普及品シリーズでまとめられていまして、折戸の形式は「フリー/固定」の切り替えができるタイプ。
1Fの折戸については、筆者も使うことがあるため、普通に「フリー」にして使っていたのですが、2Fのクローゼット関係は筆者は基本的にほとんど使っておらず、家内に任せっきりだったこともあって、1年ほど前に、あることがきっかけで気付いた時は、なぜかどこも固定されたまま運用されておりました。😱
4年間以上も気付かない筆者も筆者ですが、1Fは「フリー」になってる訳ですので、気付かない家内も家内ですよね? 😅
その時に撮影しておいた画像が先👆の画像ですので、折戸が「固定(ピポット)タイプ」だとした場合のレイアウト例として、丁度いいかと思います。😜
見て頂くとお分かりになられると思うのですが、筆者の建売マイホームのクローゼット(or収納or押入れ)には中段がありません。
下段に引き出すタイプの収納ケースと言いますか、プラスチックケースを入れて使っているため、両側の扉がこの状態で固定されてしまうと、両端のプラスチックケースは基本的に引き出すことができなくなってしまいます。
もう少し具体的にご説明しますと、以下👇の写真のような感じです。
扉に当たってしまい、そのままの位置では引き出すことができないため、可動させるためのキャスター付のケースを使用し、さらに可動空間を確保するため、扉までの奥行(80センチほど)のケースではなく、奥行の浅い65~35センチのものが入れられています。
左側の扉で肝心なところが写っていないのですが、左側の白い枠の収納ケースについては、キャスターが付いていない代わりに、その場で引き出すことができるよう、左側の壁との間に10センチほどの隙間を残し、かつ、前面に空間を残すことで、扉に当たらぬよう、斜めに引き出すような形で運用されていました。💦
ちなみに真ん中のケースは、ケースを動かすことなく引き出せるのですが、右の青枠のケースの前面空間が少ないため、このケースを引き出す際には、中央のケースを完全に引出して、青枠ケースを左にスライドしなければ引き出せないため、キャスター付でないと成立しない状況だった様子・・・。🤨
このような、引き出せるタイプの収納ケースを使用する場合は、折戸(折れ戸)はピポット(固定)ではなく、フリーで使用するのが基本ですので、だいぶ不便な思いをさせてしまったなぁ・・・と心から反省した次第です。 😓
ちょっと論点がズレ気味のような気がしますので、話を戻しますと・・・
要するに ☝
「固定(ピポット)タイプ」の場合は、これだけ工夫しても、このレベルにしかならない・・・ということがお伝えしたかった点で、「フリータイプ」であれば、以下👇のような使い勝手が可能になるので、有効活用ができるんですよ!という点がご紹介したい点です。😉
両側の折戸が自由に動くことになりましたので、両サイドがギリギリまで使えて、なおかつ、全てが動かすことなく、その場で引き出すことが可能になるんです。
さらに、ケースも移動させることがなくなりますので、ケースの前面空間も最低限で済むことになりますし。
あまりギリギリまで両側を詰めると、製品によっては縦枠に当たってしまう場合もありますので、両サイド2センチずつくらいは余裕をみた方が健全です。☝
「フリータイプ」をお勧めしたところで、筆者には何の利益もないのですが、ぜひ試してほしいレイアウトです。👍
長所/短所について
どちらも一長一短ではあるのですが・・・
前項でも少し触れました通り、「フリータイプ」は開閉に安定感があまりなく、斜めになったりもしますので、壊れやすい(故障しやすい)とよく言われるタイプではあるのですが、収納性と言いますか、内部のクローゼットや収納の空間を最大限有効に活用するという観点からは、「固定タイプ(ピポットタイプ)」よりはるかに優れています。
故障が多いこともあってか、従来は固定(ピポット)タイプの方が主流だったのですが、最近の動向としては、「フリー」と「固定(ピポット)」の切り替えが可能な作り方をしているメーカーさんが増えてきているように感じます。
しつこいようですが、「フリー」にして動かす場合は、仮に「切り替えタイプ」だとしても、同じように動作が不安定になるものですので、説明書の記載に従った動かし方をするようにしてください。
図面からは読み取りにくい部分の話になりますので、これから新築される方で、収納空間の有効活用をお考えの方は、「切り替えができるタイプ」か、「フリータイプ」を指定するようにしましょう!🤗
固定部の見分け方
色んなメーカーさんが色んな形の製品を出していますので、100%のご説明は無理なのですが、現時点(2019年夏)で最も広いシェアを握っていると思われるリクシルさんの「ラシッサ」というシリーズを例にとって、軽くご説明しておきます。
筆者は建築士ですが設計屋ですので、専門からはやや外れます。☝
予めご了解をお願いします。
ラシッサの折戸は、完全な「固定タイプ」という形はなく、「切り替えタイプ」/「フリータイプ」の選択になります。
「切り替えタイプ」では、固定したいときは固定しておくが、動かすときにはフリーに切り替えることが可能!という便利な、気の利いた形になっています。👍
ですので、逆にこのような形状の部材が付いていれば、一見「固定タイプ」かと思いきや、「フリータイプ」に切り替えることができるかも・・・という判断の参考になるのではないかと思います。
まず、取付説明書の一部を引用させて頂いたのがこの👆部分。
※画像をクリックすると拡大できます。
左側が「切り替えタイプ」、右側が「フリータイプ」として使用する場合の記載になります。
チェックポイントとしては、縦枠の上下と言いますか、上下レールの両端部ですので、上下左右の4か所です。
下の金具はあるか/ないかで「切り替えタイプ」と「フリータイプ」の見分けがつくことになりまして、「下枠納まり」と「ノンレール納まり」の場合で二種類の金具があるようです。
あいにく、手元には「下枠納まり」の場合の金具しかありませんので、この金具でご説明しますと、金具自体は以下👇のような金具になります。
見慣れない部品だと思いますので、認識しにくいかも知れませんが、斜め下から撮影した画像です。
ちなみに、外から見て、左側の金具になります。
こんな金具が以下👇のように、レール端に付いていれば、「切り替えタイプ」である可能性が高い、と判断できるということになると思います。
次に上レールの方の話に移ります。
上の部品は外観だと少々見分けにくいかと思いますので、先の取付説明書の一部を引用させて頂くと、以下👇のような二種類の形状で見分けることができます。
違いとしては、「ベロ」が突き出ているかどうか?という点でしょうか・・・
ここもあいにく、手元にあるのは、右側の二つの内の左側「切り替えタイプ」の画像のみですが、実際の形状は以下👇のような感じ。
この写真はレールに取り付ける前のものですので、赤矢印の方向に差し込んでいきますと・・・
こんな感じ👆で入っていきまして、最終的に以下👇のようにレールに納まります。
この部品の右側に建具を吊る部材が写っていますが、これは開閉方式に関わらず、基本的に全て同じはずですので、ここでは関係ありません。
赤の矢視先だけがこの部品になります。
「切り替えタイプ」か「フリータイプ」かを見分ける「ベロ」は、レールの底に入ってしまう形になりますし、このすぐ右側に建具が吊られてしまいますので、外観からはちょっと認識しづらいかもしれませんね・・・ 😓
既述の通りチェックポイントとしては、上下左右の4か所。
ですが、上レールの部分は難しいかもしれませんので、主に下レールの左右に着目してみて頂いて、先ほどの画像のような部品があれば、実際は、扉の上側を手で外す方向に引っ張ってみる・・・という感じになりそうです。
「切り替えタイプ」の場合は、日常的に外せる程度の嵌り具合になりますので、少し力を入れて引っ張ってみて、動く気配が感じられないようでしたら、壊してしまっては元も子もありませんし、無理には動かさない方が賢明です。
今日のまとめ
今日は、折戸の開閉形式の二種類に当たる「フリー/固定(ピポット)」の違いについて、ご紹介しつつ、収納(orクローゼットor押入れ等)の有効活用を考えるなら、間違いなく「フリータイプ」がお勧めです!というお話をして参りました。
ちなみに、「切り替えができるタイプ」であっても、引渡しの時点では、両サイドで一時的に固定されている場合がほとんどですので、筆者の建売マイホームでの先ほどのエピソードのように、そのままの状態(固定されたままの状態)で気づかれることなく、何年も使われているようなケースは本業の中でもよく見掛けることがあります。 🧐
ですので、「固定(ピポット)タイプ」だと思い込まれていても、前項を参考にして頂き、今一度、その固定部が動かせないかどうか確認してみてもいいかも知れません 😏
本日も最後までお付き合い頂き、どうも有難うございました。 🙏
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