今日は、四連載予定のアスベスト(石綿)のお話シリーズの第一弾!としまして、アスベストとは(石綿とは)何ぞや?という基本中の基本から、お話していこうと思います。
健康被害が出ていることで、非常にデリケートな分野のお話にはなるのですが・・・ 😞
アスベスト(石綿)は、強度、耐久性、耐熱性、不燃性、耐薬品性・・・など、あらゆる有難い性質すべてを兼ね備えていることから、古くから利用され続けてきており、特に近代から現代にかけては、国内のみならず全世界において、建築材料の素材としても愛され、幅広く利用され続けてきたことは、否定などできない確固たる事実です。😉
そんなアスベスト(石綿)の優れた性能面(機能面)や、アスベストの種類や歴史、外観(見た目)写真などもご紹介しながら、このアスベストとは?(石綿とは?)という点について、なるべく分かりやすくご説明できるよう、気を付けながら進めていきます。👊
アスベストとは?(石綿とは?)
古代エジプト時代から重宝されてきたと言われ、奇跡の鉱石とも呼ばれる「アスベスト(石綿)」なのですが、昨今は・・・というか、十数年前、健康被害が明るみに出たことで酷く叩かれてしまって、今となっては、すっかり・・・
言わば時限爆弾か地雷のような疎まれる存在となってしまい、非常に肩身の狭い立場に追いやられてしまいましたよね・・・ 😞
人々の生活や資産、もっと言えば命までを、自然の脅威から守る「囲い」という意味での建築物の一部として、多大な功績を残してきた、このアスベストとは、そもそも何ぞや?というお話からスタートします。👍
※ちなみにアスベストと石綿はイコールです。☝
アスベスト(石綿)定義と種類など
まずは名称から見ていきます。
石綿(アスベスト)とは、天然のケイ酸塩鉱物の内、繊維状のモノの総称です。☝
あんまり関係ないのですが、英語表記は「Asbestos」となります。
平たく言うと、文字通りになるのですが、「綿のような石」、もしくは「綿状の石」ということになると思います。
これ👆なんかでみると、石綿(アスベスト)ということでWikipediaさんで掲載されていましたが、無知な筆者などには、見た目はいわゆる「綿(わた)」とは縁の遠い、ただの「立派な石コロ」にしか見えません・・・🥱
ちなみに、この写真は米国地質調査所と鉱物情報研究所との協力活動である「世界の鉱物」プロジェクトの作品だそうです。
アスベスト(石綿)の種類としては、国交省サイトに拠ると6種類・・・
主に知られているのは、白石綿:クリソタイル、茶石綿:アモサイト、青石綿:クロシドライトの3種類で、白石綿については「蛇紋石系」、茶・青石綿は「角閃石系」という分類にされています。
その他、筆者が勉強不足なだけかもしれないのですが、あまりメジャーではないような気がする・・・
直閃石綿(アンソフィライト)、陽起石綿(アクチノライト)、透角閃石綿(アンソフィライト)などと呼ばれるアスベスト(石綿)の種類も存在はするようです。🤔
自然の中で発生した天然の繊維ということで、事実関係までは追いきれませんで、裏付けが取れていないお話になるのですが、KMEWさんの資料によれば、火成岩のひとつである超塩基性岩の裂け目の水が浸入することによって、その裂け目に生成される綿状の繊維で、地殻内にあるマグマの隙間に侵入した水分が、我々一般人には想像すらできないほどの高圧力を、このマグマから受けることで結晶化されて発生したもの、とのこと。🙃
正直なところ、ホンマかいな?😒って疑いたくなってしまいますが、色々と調べてみると、現状ではそんな風に考えられているようですね・・・ 🤔
おそらく、どこかのお偉い学者さんが発表したお話なのだとは思うのですが・・・
でも、石の組成?を調べようとすると、意外とこういう大げさな話が出てきたりしますので、事実なのかもしれません。😕
アスベスト(石綿)の種類と詳細
おそらく皆さんがお知りになられたい情報ではないような気もしつつ、今回は「アスベスト(石綿)とは?」というタイトルでお話していますので、あんまり関係ないのですが、前掲の主要な3種類のアスベスト(石綿)についてのみ、細かい部分も軽く掘り下げて、ご紹介しておくことにします。🤗
白石綿:クリソタイル
英訳すると「Chrysotile(クリソタイル)」、化学式(組成式)だと「Mg3Si2O5(OH)4」となる、含水ケイ酸マグネシウムで、蛇紋岩中に網状に生成されています。
世界で使われてきた石綿の9割を、この白石綿(クリソタイル)が占めると言われるほど、代表的なアスベストになりまして、「温石綿」などとも呼ばれるとのこと。
Wikimediaさんからの引用になりますが、鉱物の見た目は以下👇のような感じ。
また、以下にご紹介する、茶石綿や青石綿に比べると毒性(発がん性)も低いと言われていますが、国内では2004(H16)年に含有されている資材の一部が製造禁止、2006(H18)年には重量比0.1%超の混入はできなくなりました。
その後、法規制により2012(H24)年に完全に使用ができなくなったのが、この白石綿(クリソタイル)ということになります。☝
茶石綿:アモサイト
英訳すると「Amosite(アモサイト)」、同じく化学式(組成式)で表しますと「Mg7Si8O22(OH)2」となるカミントン閃石、「Fe2+7Si8O22(OH)2」となるグニュネル閃石になります。
同じく、Wikimediaさんからの鉱物の画像が以下👇になります。
毒性は以下の青石綿よりは劣り、白石綿よりは強い・・・という位置付けになっていまして、次項の青白綿(クロシドライト)と合わせて、1995(H7)年にWHOの勧告などによって、労働安全衛生法関連が改正され、白石綿(クリソタイル)に先駆けて、輸入と使用が禁止されています。
なお、この茶石綿(アモサイト)は、主に断熱材や保温材に用いられることが多かったようですね。
青石綿:クロシドライト
英訳すると「Crocidolite(クロシドライト)」、化学式(組成式)だと「Na2(Fe2+3Fe3+2Si8O22(OH)2)」。
主な用途としては、石綿セメント高圧管や耐酸用製品などで、吹付けアスベストとしても使用されていたとのこと。
同じく、Wikimediaさんから引用させて頂いた鉱物の画像は以下👇になります。
茶石綿(アモサイト)もそうなのですが、白石綿(クリソタイル)よりは硬質で、分解しにくい性質を持ち、ここで挙げた三種類の中では、もっとも毒性(発がん性)が強いようです。
前項の茶白綿(アモサイト)と同様、1995(H7)年より輸入と使用が禁止されることになってしまいました。
アスベスト(石綿)の機能と歴史
現代では可哀想になるくらい、問題視されているアスベスト(石綿)なのですが、とにかく機能性に優れていることは古くから認識されていたようですので、歴史は非常に長いようです。
まず、具体的な機能面での工業的な評価をお伝えしますと・・・
- 著しく高い抗張力と柔軟性
- 耐熱性・耐火性:熱に強い、又は燃えない
- 電気絶縁性:電気を絶縁してくれる
- 耐摩耗性・強度と耐久性:摩擦や引っ張りに強く耐久性がある
- 加工性・親和性・紡織性:加工しやすく他の素材と馴染む
- 耐薬品性:薬品による汚染が少ない
- 経済性:しかもコストがお手頃!😍
・・・といった具合に、発がん性を除けば、どこを見ても誉め言葉しか見つからないほどです。
また、裏付けまでは取っていないのですが、Wikipediaさんによれば、古代エジプトや古代ローマ時代から使用されていたそうで、燃えにくい、もしくは燃えないという機能については、特に古くから着目されており、周の時代の中国でも「火で洗うことができる布」という意味で「火浣布」との名称で重宝されていたそうです。
さらに言うと、国内でも・・・
歴史は専門外ですので、何をした偉人だったか忘れてしまいましたが・・・😅
かの平賀源内さんが1764年の段階で、先の中国での呼び名「火浣布」ということで、幕府に献上したのが、この石綿(アスベスト)だったとのこと。
ちなみに、Wikiさんによれば京大の図書館に今もこの現物が保存されているそうです。😲
ニュアンスは逸れるのですが、筆者が小学生の時は、理科の実験で、アルコールランプを使ってフラスコか何かを熱する時に、間に挟んでいた、網に布を貼り付けたようなモノが、確か「石綿」だと教わったと思います。😕
さすがに今は、使われていないみたいですね・・・ 😢
・・・と書いた所でしたが、Amazonさんで別のモノを探していたら、たまたま出てきました。こんなヤツです👉
「ノンアスベスト金網」ということのようですが、まだ使われているようでした。😅
今度、小学生の娘に聞いてみようと思います。😌
アスベスト(石綿)の見た目と見分け方
この石綿(アスベスト)の繊維1本の太さは、直径0.02-0.35 μm程度。
1 μm(マイクロメートル) = 1×10^6 mにつき、要するにミリ換算すると0.001mmですので、太さ(直径)をミリで言いますと、0.00002~0.00035mmということになりますので、肉眼では見えません。🧐
この👆アスベストの繊維写真は電子顕微鏡による拡大のようで、見た目のイメージが付きにくいと思いますので、鉱石から繊維を抜き出した状態の外観(見た目)を、等倍に近い大きさでご紹介しますと、この👇写真のような外観(見た目)のようです。
※二枚ともクリックすると少し拡大できます。
過去には建築材料を含む、色んな材料に多く使われておりましたが、既述の通り、国内では1975年に含有率5%規制、1995年に1%規制かつ茶石綿・青石綿の輸入と使用禁止、2006年に0.1%規制・・・と段階的に規制は厳しくなっていき、2012年(H24年)に、石綿(アスベスト)を含む材料が、完全に100%製造禁止になってしまいましたので、現在となっては、まったく使われていません。😞
法規制の細かい流れと、含有している具体的な建材の兼合いなどについては、第四弾にてご説明するつもりですので、まだ書いている途中なのですが、後日そちらの投稿をご参照頂ければと思います。😌
なお、冒頭で書きました通り、太さ(直径)としてはたったの0.00002~0.00035mmしかありませんので、例えば、使われている建材にアスベスト(石綿)が混入されているかどうかを、目視(見た目)で判定することは基本的にできないはずです。☝
- 白石綿(クリソタイル) :直径0.02~0.08μm
(0.00002~0.00008mm) - 茶石綿(アモサイト) :直径0.06~0.35μm
(0.00006~0.00035mm) - 青石綿(クロシドライト):直径0.04~0.15μm
(0.00004~0.00015mm)
とのことですので、1000倍の顕微鏡で見て、茶石綿(アモサイト)の太いものであれば、辛うじて0.35mmの太さで確認ができる・・・というレベルですね。😅
肉眼では見えないことより、アスベスト(石綿)有無を見た目で見分ける見分け方自体、2000倍ほど以上の顕微鏡で観察するくらいしか、基本的に存在しないはずですから、筆者も本業の方で、アスベスト(石綿)調査がある際には、現場で採取した建材の一部を、専門の検査機関に送って、分析して判定してもらうようにしています。😓
10年ほど前に、1000倍の顕微鏡で観察を試みたこともあるのですが、正直なところ、見分けられるほど、よくは見えませんでしたし・・・ 🧐
同定を急がれている場合は、知りたい材料の建材名やメーカー名等が分かれば、ある程度の推測はできますので、国交省のこの「アスベスト含有建材データベース」を使ってみて頂ければと思います。
アスベストの含有率などの情報も出てきて、製品が何なのかが分かっている場合は、非常に便利なページになっていますので、ぜひご活用ください。👌
アスベストのお話シリーズ目次
当アスベストのお話シリーズの目次になります。
- 第一弾:アスベスト(石綿)とは? 👈今回
- 第二弾:アスベスト問題と健康被害
- 第三弾:アスベストに係る法律とレベル区分
- 第四弾:アスベスト規制の推移と含有建材
お時間がありましたら、他の投稿の方にもお立ち寄り頂けると幸いです。😌
今日のまとめ
今日は、昨今では色んな法律が絡んできてしまって、把握しにくくなってしまっている、アスベスト(石綿)を分かりやすくまとめよう・・・という試みの一つである、アスベストのお話シリーズの第一弾ということで、そもそもアスベスト(石綿)とは何ぞや?という視点に立ち、一般の方にもなるべく分かりやすいご説明となるよう、気を付けながら基本事項を整理して参りました。
実際に健康被害に合われた方々、もしくは合われている方々には、心からお見舞い申し上げるしかありませんが、少しでもアスベスト(石綿)に対する皆さんの正しい理解が深まれば・・・と思っております。
次回の第二弾としましては、完全に専門外ではあるのですが、アスベスト(石綿)の健康被害等についての情報を整理します。
本業の隙を見つけての不定期更新ですので、いつUPできるのか・・・例によって約束はできないのですが、お時間が許されるようであれば、またお立ち寄り頂ければと思います。😌
最後までお読み頂き、どうも有難うございました。🙏
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