今日は、「天井裏」と「屋根裏」、「小屋裏」の違いについてのお話です。
似たような用語が氾濫していて、一般の方には紛らわしい🥴と思われますので、この点につきまして、建築士視点の主観により、簡単に整理させて頂こうと思います。
実は、次に予定している投稿で「天井裏の構造」についてのお話をしようと思っているのですが、この辺りの用語が曖昧なままだと、話もしくいため、先だって整理させて頂くことにした次第です。😊👌
天井裏、屋根裏、小屋裏の違い
「天井裏」と似た言葉で「小屋裏」、「屋根裏」という言葉がありますので、いずれも明確な定義はないのですが、この辺りを整理してみます。
天井裏とは?
「天井裏」とは? 文字通りになりますが、「天井」の「裏」です。
英語で言うと、Google翻訳さんによれば、「Attic」だそうです。😑
直観的にお分かりになるかとは思うのですが、もう少し認識しやすく言い換えるとしますと、「天井」の「裏」ではなく「裏側もしくは上側の空間」とでも言った方が適切なのでしょうか・・・🤔
おそらく、皆さんのご認識通りだとは思うのですが、図面で見てみます。👊
まず、4F建てRC造の「矩計(かなばかり)図」という、平たく言うと、言わば「断面詳細図」の1-2F部分の抜粋なのですが、以下👇のような、天井面の裏側(上側)で、上階の床躯体までの空間が「天井裏」ということになります。
写真で見てみますと、この👆建物ではないのですが、RC造の「天井裏」はこんな👇感じになっています。
ここでは細かい話は主旨から逸れますので、割愛しますが、上側に写っている面が上階の床躯体、つまり、RCの場合は床版(スラブ)と呼ばれる部材になりまして、この「天井裏」空間を利用して、設備配管や配線やらが所狭しと配置されていることになります。
ちょうど水回りの天井裏ですので、特に少々混み合っていますね。😅
次に、木造2F建ての矩計図の1F部分抜粋で見てみますと、以下👇のような部分が「天井裏」です。
先のRC造とは構造が根本的に違いますので、どこからどこまでが天井裏?と聞かれると、ちょっと微妙な部分もあるのですが、床躯体の下側まで、という点は変わりません。
以下👇の写真に赤字でコメントを入れた「上階の床合板の下面」の矢視が、文字通り上階の床躯体になりますので、この面までが「天井裏」です。
また、これら👆は中間階の天井裏ですが、最上階の場合は、屋根躯体の裏側までが「天井裏」ということになります。
つまり、2F建ての建物であれば、1F天井と2F天井がありますから、その裏側(上側)の空間が、それぞれ1F天井裏、2F天井裏ということになりますので、断面的に見ると、二層分の天井裏があるということになりますよね。😉
もちろん、3F建てであれば、もう一面3F天井裏が追加されますので、要するに、断面的に見ると、階数分の「天井裏」が存在するということです。
ちなみに、屋根形状にも階にも関わらず、天井があって、その上側(裏側)に空間があれば、すべて「天井裏」となりますので、最上階の天井面の上側の空間に当たる、以下の「小屋裏」も「屋根裏」も、この「天井裏」に含まれます。☝
小屋裏とは?
では「小屋裏」とは?
これも文字通りになるのですが、要するに「小屋」の「裏側の空間」ですよね。
これも、英訳を確認してみますと、直訳過ぎる気もしますが・・・
「Behind the hut」とのこと。😨❓
「小屋」とは何ぞや?という観点も踏まえてお話ししますと、通常は「勾配の付いた屋根」的な意味合いで使われますので、「勾配の付いた屋根」の「裏側の空間」となります。
また、前項の「天井裏」では「上側」にあった空間が、「小屋裏」の場合は「小屋」の「裏側」ですから、「下側」ということになりますよね。😉
つまり、「勾配の付いた屋根」の「裏側もしくは下側の空間」が「小屋裏」と呼ばれているということになります。
図面(矩計図)で見ますと、以下👇の「=小屋裏」とコメントを入れている箇所が、「小屋裏」に該当します。
前項の「天井裏」との関係でお話ししますと、「天井裏」の中の「勾配屋根の最上階の天井裏」=「小屋裏」とお考えいただいて間違いないはずです。☝
勾配が急であれば、それなりに高さも取れますので、皆さんもご存じの「小屋裏収納」や「ロフト」などに利用される場合が多いのも、この「小屋裏」ですよね。😊
この👆写真は、筆者の建売マイホームの「小屋裏」の写真なのですが、所詮建売ですので、残念ながら、小屋裏利用は何も考慮されていない、無駄に大きめの「小屋裏」になっています。😅
「大きめ」とは言え、いわゆる「小屋裏収納」的に利用するには、ちょっと高さが足りないので、どっち付かずの、中途半端なもったいない空間です。😑
ちなみに、下側に写っているピンク色のビニールは断熱材です。
天井断熱と呼ばれる断熱工法の場合は、この👆ように天井面のすぐ上に敷かれますが、屋根断熱という形式だと、屋根のすぐ裏で断熱されますので、天井断熱に比べると、小屋裏の温度が外部の温度に左右されにくくなります。
ですので、「小屋裏収納」や「ロフト」として利用する場合は、屋根断熱が採用されます。☝
屋根裏とは?
「屋根裏」とは?
これも同様にいきますと、「屋根」の「裏側の空間」ということになります。
同じく、Google翻訳さんで英訳を確認しますと、「天井裏」と同じ「Attic」という単語が当てはめられているようです。🤨
英訳はいいとして、前項の「小屋裏」と何が違うのか?という観点でお話ししますと、ほぼ同義語とお考えいただいてもいいところなのですが、強いて区別するとすれば、「屋根裏」は屋根形状に依存しませんので、フラットな屋根の場合でも、その裏側は「屋根裏」と呼ばれる場合があります。
単純に、屋根の裏側の天井裏だから、「屋根裏」という意味ですね。😅
つまり、屋根形状に関わらず、屋根があって、その裏側(下側)に空間があるなら、すべて「屋根裏」と呼べますので、英語とはちょっとニュアンスが違いますが、「最上階の天井裏」=「屋根裏」ということになります。☝
この屋根裏については、あまりいい写真がなかったのですが・・・ 😫
例えばこれ👇は、別のRC造の最上階の「天井裏」、つまり「屋根裏」の写真になります。
劣化調査をした際のものですので、ちょっと古めの建物です。
原則として、ただの「天井裏」と変わりはないのですが、通常は排水管はありません。🙁
また、「内断熱」という工法の場合は、写真中の赤矢視の面に断熱材が入っていることになります。
話のニュアンスは逸れるのですが・・・
コスト的には内断熱の方がお安く上がるため、昔は内断熱の方がよく採用されていたのですが、最近は外断熱がだいぶ普及してきた印象があります。
RC造の外断熱の場合は、この👆写真のように他の階の「天井裏」と何ら変わらない「屋根裏」となりますので、この建物は、古めの建物のわりに外断熱工法を採用している、ということになりますね。😉
蛇足でした。😌
今日のまとめ
本日は、キチンとした定義がない、似たような用語、「天井裏」と「屋根裏」、「小屋裏」の違いについて、筆者の建築士的な主観を元に整理してみました。🙌
以上をまとめますと、「天井」は各階にありますので、全ての階の「天井」の裏側(上側)の空間が「天井裏」。
最上階の「天井裏」に限り「屋根裏」、勾配屋根の場合の最上階の「天井裏」については「小屋裏」と呼ぶということです。☝
特に「屋根裏」と「小屋裏」は、ほぼ同義語として使われますが、強いて区別するとすれば、ややニュアンスが違います。😉
「だから何だ!😡」と言われてしまうと困ってしまう😖のですが、そんな違いがあることをお伝えしたかっただけです。😅
そんな訳で、当サイトではまとめて「天井裏」という言葉を使っていますが、この小屋裏、屋根裏を含む、実際の「天井裏」の構成や構造については、以下👇の投稿でご紹介しています。
その他、天井裏関連の記事については以下👇の通りです。
ご興味とお時間がありましたら、合わせてお立ち寄り頂ければと思います。😊
整理したつもりではあるのですが、典型的な理系脳ですので、逆に分かりにくくて、紛らわしくなってしまっていたらゴメンなさい。🙏
簡単な投稿となり、大変恐縮ですが、お読みどうも有難うございました。😌
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