今回は何と!かのニトリさんの珪藻土を使ったバスマットやコースター製品にアスベストが含まれていたという、昨日12/27朝刊記事についてのお話です。
「うわっ!ウチにもあるじゃん!🥶」というよりも、そもそも「何で今頃アスベスト含有製品が???🤨」というのが、前回の報道から引っ掛かっていましたので、主に、この辺りについての調査と考察のお話になります。
ちなみに、アスベスト(石綿)は長期間にわたり大量に吸い続けない限り、健康被害はないと言われていますので、先にお伝えしておきます。😉
アスベスト含有(石綿含有)製品報道の経緯
ちょうど一か月ほど前の11/28に、大阪府貝塚市の堀木工所さんという会社さんが製造した、「バスマット」や「コースター」にアスベスト(石綿)が含まれていたとの報道があったばかりでした。
この件については、別の投稿「今頃、アスベスト含有製品🤨?:2020.11/28朝刊より」で書いた通りなのですが、つい先日の12/23の朝刊で、また同じような「ニトリ、石綿含有で自主回収」との記事が見つかりました。

※著作権の関係で解像度を落としています。
(見づらい画像で申し訳ありません・・・)
しかも今回は、かの「ニトリさん」です。💧
読んでみますと、ほぼ同じような内容で、ニトリさんが販売していた珪藻土製品の「バスマット」や「コースター」にアスベスト(石綿)が含まれていたというもの・・・ 😟
周知の通りかと思いますが、「石綿」は「アスベスト」と同義で使われています。
また、アスベスト(石綿)は、国内では最終的に、2012年には完全に製造も使用も100%禁止されているはずです。
本業の方でちょっとバタバタしていたので、見て見ぬふりをしていたところでしたが、昨日12/27の朝刊で、また、この件についての「ニトリ355万個回収 石綿含む珪藻土マットなど」との追加報道が掲載されていましたので、筆者の建売マイホームにもバスマットがありますし・・・😓、さすがに見て見ぬ振りもできず、ちょっと調べてみることにした次第です。
ニトリさんのアスベスト(石綿)記事の概要
おそらく、ニトリさんネタと言うことあって、皆さんもご覧になられたのではないかと思うのですが、ザッと概要をまとめます。
12/23の段階では、珪藻土を使用した製品の内、アスベストを含有(石綿を含有)する、「バスマット」と「コースター」が見つかったというもので、厚生労働省と同社が12/22に、これを発表した・・・とのこと。
具体的には、2016年以降に製造した、同9製品の内、240万個が対象となり、自主点検で発覚したとの内容でした。😑
ニトリさんサイトのお知らせを見ますと、このアスベスト含有(石綿含有)製品が見つかった件について、12/18付で「お詫びと自主回収のお知らせ」、12/22付で「[第二報]お詫びと自主回収のお知らせ」、さらに12/23付で「[お詫びとお知らせ]お客様相談室への電話が繋がりにくい状況へのお詫びと安心してご使用いただける商品の見分け方について」との文書が発表されていました。
※これら👆はニトリさんサイト内、各文書へのリンクです。
![ニトリの珪藻土製品(バスマットとコースター)にアスベストが含有(石綿が含有)されていた件に関する「[第3報]お詫びと自主回収のお知らせ(一部更新版)」PDF抜粋:ニトリさんサイトより引用](https://uutu.life/wp-content/uploads/2020/12/1226scsho-1609135587.jpg)
「[第3報]お詫びと自主回収のお知らせ(一部更新版)」抜粋
※クリックすると、当該PDFにジャンプします。
その後、全ての珪藻土製品についての自社内でのアスベスト含有(石綿含有)調査が完了した、ということで、12/26現在でこの👆「[第3報]お詫びと自主回収のお知らせ(一部更新版)」が発表されているようですので、これを以て、以下👇の12/27朝刊の記事に繋がっているようですね。🤔

※著作権の関係で解像度を落としています。
(見づらい画像で申し訳ありません・・・)
最終的に、回収対象となっている製品は「355万個」とのことですので、あまりに膨大な数量に愕然としてしまいますが、中国の委託工場で2016年以降に製造された製品すべて、ということなのかな・・・という気がします。
・・・いうのは、先の朝日新聞さんの記事では、「バスマットとコースターの23種類」とのことで、確かにニトリさんのPDFを見ますと、回収対象は23種類なのですが、実際のアスベスト(石綿)含有検査で陽性となったのは、この23種類の内、18種類のようで、
残りの5品目については、検査では合格しているようですが、アスベストを含有(石綿を含有)する可能性が否めない、ということなのか、同じ工場で製造されていた製品として、回収の対象とされているからです。🤔
ちなみに、ちょっと認識しづらいな・・・と思ってしまったのですが、このPDF文書の製品一覧が掲載されているページは16ページになっていまして、前半の3ページのみが回収対象の一覧、後半については、自社検査でアスベスト含有(石綿含有)が基準値以下であることが判明した、その他の珪藻土関連製品の一覧になっています。
回収対象は、前半の23品目だけですので、お間違いなきよう、お願いできればと思います。
冒頭でも書きましたが、アスベスト(石綿)は、大量に長期間に渡って吸い続けることがなければ、健康被害はないと言われています。
また、成形された製品から、空気中へ大量に飛散すること自体、通常環境下では、あり得ないことですので、過剰になることなく、落ち着いて回収に協力してあげたいものです。
筆者のウチのバスマットはまだ洗面所に置きっ放しですが・・・ 😅
例えば、密室内において、鼻先でコースターやバスマットを、何日間も粉々になるまで粉砕し続ける・・・ような、極端な環境でない限りは、健康被害はないはずですので。👌
アスベスト(石綿)の出所はどこだ?
さて、筆者が最も気になっている部分、「何で今頃アスベスト含有(石綿含有)製品が???🤨」という部分のお話に入ります。
要するに☝、今回はニトリさんの珪藻土製品「バスマット」と「コースター」において、アスベストが含有(石綿が含有)されていたことが確認された訳ですが、このアスベスト(石綿)はそもそも2012年に輸入も製造も何もかもが100%禁止されていますから、そもそもどこから混入したのか?という観点です。😒
冒頭でも触れました通り、日本国内では、2012年に100%のアスベスト(石綿)製造禁止が実行されていますが、特に建築業界においては、それ以前に使われ続けてきたアスベスト(石綿)含有建材の問題は拭えないとしても、基本的に本業での新規案件に対してもそうなのですが、個人的な買い物などについても安心しきっておりました。🥱
そんな中、前11/28の堀木工所さんのアスベスト含有(石綿含有)製品の件より、アスベスト(石綿)が禁止されていない諸国から輸入される材料に、アスベスト(石綿)が含まれることもあるんだな・・・ということを認識はしたところでした。😑
ということで、実際に日本国内だけでなく、世界的で見た場合の、このアスベスト(石綿)禁止はどのような進捗なのか?という点について、調べてみました。
2017年環境省さんの情報
あまり皆さんも気にされていないのか・・・、WEBで検索する限り、新しく有用な情報は中々見つからず、まずは2018年3月に環境省さんが出されている「平成17年度アスベスト含有廃棄物の処理技術調査報告書」の「第5章 国内外におけるアスベストに係る規制状況」というPDFに目が止まりました。

ページのスクリーンショット
(👆当該ページへのリンクになっています)
2017年ですので、3-4年ほど前ということになるのですが、環境省の情報ですので、たぶん情報に間違いはないですよね?😄
これに拠りますと、各国のアスベスト(石綿)原則禁止年としましては、以下のようにされています。
「原則禁止」と言っても、実際にどこまでのものなのか?についての、裏付けまでは取っていません。☝
日本国内でも「2004(H16)年」が、アスベスト(石綿)禁止の節目の年にはなっていますが、あくまでも「原則、全面禁止」でして、結果的な「100%全面禁止」は「2012(H24)年」でしたので。
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- アイスランド:1983(S58)年
- ノルウェー:1984(S59)年
- オーストリア:1990(H2)年
- オランダ:1991(H3)年
- イタリア・アメリカ:1992(H4)年
- ドイツ:1993(H5)年
- フランス:1997(H9)年
- ベルギー・イギリス:1998(H10)年
- チリ・アルゼンチン:2001(H13)年
- オーストラリア:2003(H15)年
- EU(25カ国):2005(H17)年
ニトリさんのアスベスト含有(石綿含有)製品を製造した中国を含めて、アジア圏のことが書かれていないので、ここに掲載する情報としてはちょっとどうかな・・・と思いつつなのですが、欧州圏はやっぱり早かったことが分かりますよね。🤔
ちなみに、アメリカは1992年に原則禁止にはなっていますが、世界的な流れと逆行して、2018年6月に環境保護庁(EPA)に届出をすれば、一部のアスベスト(石綿)使用を認める「重要新規利用規則(SNUR)」とやらを発足しているようです。😟
政治は苦手なので、詳しいことは知りませんが、もしかして例のトランプさんが犯人ですかね?😅
日本のアスベスト(石綿)原則禁止は、既述の通り2004(H16)年ですので、この中で言えば11番目に入るのかな・・・
ちなみに、日本国内のアスベスト(石綿)規制の流れについては、別の投稿「アスベスト規制の推移と含有建材」のこの辺りでまとめていますので、ご興味ありましたら、ご覧になってみてください。🤗
あくまでも2017年、つまり平成29年時点の話ですので、最近はもっと増えているのでしょうが、これを見る限り、禁止されていない国の方が大多数を占めているように見えますので、これが現実だとすれば、日本国内で100%の全面禁止を謳ったところで、100%のMade in JAPANでない限り、紛れ込んでくる可能性は低くはないということになってしまいますよね。😞💧
ちなみに、次項でご紹介する「全国労働安全衛生センター」さんサイトの最新情報に拠りますと、アスベスト(石綿)を禁止している国は、世界的に見て、2020年12月現在で67か国だそうです。☝
畑違いですので、製造業界のことはまったく分からないのですが、アスベスト含有(石綿含有)の有無については、ニトリさんのように自主検査をするしかないのでしょうかね・・・
全国労働安全衛生センターさんの情報
アスベスト(石綿)のこを調べていると、色んなページが引っ掛かってくる「全国労働安全衛生センター」さんサイトのページなのですが、アスベスト(石綿)については膨大な情報量ですので、全貌は全く把握できないままなのですが、今回も参考にさせて頂きました。😌

(👆当該ページへのリンクになっています)
こちらは、2018年の情報ですので、前項の環境省さんの情報よりはちょっと新しいのですが、最新ではありませんので、ご了解をお願いします。
この特集はPDFページで40枚にも及ぶ内容で、世界規模で、各国のアスベスト(石綿)禁止の動向を事細かに、非常に詳しく解説してくれている内容となっています。👍
ご興味のある方は、お読みいただくしかないのですが、この膨大な情報量の中から、今回は、そもそもニトリさんの中国の委託工場で製造された、アスベスト含有(石綿含有)製品がメインテーマですので、関連しそうな一部の内容のみに着目し抜粋して、お話しさせて頂きます。
世界的なアスベスト(石綿)の生産量と消費量
まず、ちょっと論点はズレるのですが、そもそも世界的にはどの程度アスベスト(石綿)が残っているのか(まだ認められているのか?)について確認するため、世界での生産量と消費量を見てみることにします。
先ほどの「全国労働安全衛生センター」さんサイトの「特集/アジア・世界のアスベスト禁止PDF」より、「USGSによる世界のアスベスト生産・消費量データの修正(トン)」という一覧表を引用させて頂きますと、以下のようになっています。

(特集/アジア・世界のアスベスト禁止PDFより引用)
差し当たっては、「世界」欄の右側の「修正後」の数値に着目しまして、この表中での最新2016年のアスベスト(石綿)の生産量を見てみますと「128万ton」、消費量を見てみますと「137万ton」となっています。
筆者的には既述の通り安心しきってしまっていましたので、この数字にビックリしてしまったのですが、世界的に見れば、まだまだ膨大な量のアスベスト(石綿)が流通し、消費されていることが分かります。😨💧
さらに、細かく数値を見ていくと分かるのですが、同じPDF「特集/アジア・世界のアスベスト禁止PDF」のこの👆表の直下に以下👇のようなグラフがありましたので、また引用させて頂きます。🙏

(特集/アジア・世界のアスベスト禁止PDFより引用)
このグラフを見ますと、1995年頃までは、ヨーロッパの消費量に比例して増減していたものが、この1995年頃を境に、アジア~中東圏の消費量がヨーロッパを抜き、これ以降はアジア~中東圏の消費量が世界の消費量の増減を牛耳っていることがお分かりになられますよね?
アフリカやオセアニア、南アメリカは当初から横ばい・・・、北アメリカは1950年当時はヨーロッパの消費量より多かったのが、やはりこの1995年ころから、南アメリカとほぼ同じくらいまで下がってきています。
ちなみに、グラフ中の右上に書いてありますが、ロシアはヨーロッパの一部として勘定されているようですので、1995年頃以降、ヨーロッパのアスベスト(石綿)消費量が下がり切っていないのは、このロシアの消費量が大きく影響しているようです。🤔
中国のアスベストの生産量と消費量
今回、問題となっているニトリさんの委託工場は中国とのことでしたので、この中国に着目してみます。
大前提になりますが、まず、国土が大きいこともあろうかと思うのですが、中国はアスベスト(石綿)埋蔵量は世界3位、生産量についてはロシアに次ぐ、世界2位に位置づけられる、ある意味、アスベスト(石綿)大国に当たるようです。😱
先ほど👆の表に立ち戻りまして、同じく2016年の中国の欄を確認してみますと、生産量「20万ton」、消費量「30.8万ton」となっています。😑
つまり、世界のアスベスト(石綿)生産量の「16%」、消費量では「23%」を中国が占めている・・・ということになります。😟

あくまでも素人観点ですが、これでは、ニトリさん含めて、中国の工場などと取引されている企業さんは、日本の国境を超える前に、だいぶ厳しくチェックしていないと、マズそうな気がしますよね・・・ 😩
中国のアスベスト(石綿)禁止の動向
先の通り、中国はロシアに次ぐ、アスベスト(石綿)生産国とのことなのですが、先の表👆で見る限り、2012~2016年については、生産量、消費量共に減少傾向にはあるように見えます。🧐
では、この中国でのアスベスト(石綿)禁止の動きはあるのでしょうか?🤨
事実関係で追いますと、2002年に角閃石系のアスベスト(石綿)、つまり茶石綿(アモサイト)や青石綿(クロシドライト)などについては、生産、使用、輸入が禁止されてはいます。
アスベスト(石綿)の種類については、別の投稿「アスベスト(石綿)とは?」のこの辺りで解説しています。
以下👇の画像も該当箇所へのリンクになってます。

ただ、白石綿(クリソタイル)については、残念ながら、既述のアメリカの例のように、基準を順守していれば、使用が可能な状態が続いているようですね。😓
「全国労働安全衛生センター」さんに拠れば、アスベスト(石綿)製造企業が、社名に「アスベスト」という言葉を使わなくなってきたりはしているようですので、社会的に疎まれつつあるのかな・・・とは推測はしているのですが、国としてはまだ重い腰を上げきれていない・・・という状況のようです。
当サイト内アスベスト記事目録
当サイト内のアスベスト(石綿)関連記事の目次です。
アスベスト(石綿)とは何ぞや?という基本から、入り組み捲っていて紛らわしい法規制などについても、それなりに分かりやすく整理してあるつもりですので、お時間とご興味がありましたら、ご覧になってみてください。😌
- 第一弾:アスベスト(石綿)とは?
- 第二弾:アスベスト問題と健康被害
- 第三弾:アスベストに係る法律とレベル区分
- 第四弾:アスベスト規制の推移と含有建材
- 第五弾:欠番 ←まだ執筆中です
- 新聞ネタ①:今頃、アスベスト含有製品🤨?:2020.11/28朝刊より
- 新聞ネタ②:アスベスト訴訟、国の賠償責任が確定!:2020.12/17朝刊より
6と7については、今回のように、たまたま目に止まったアスベスト関連の新聞記事について、建築士として、個人的に思ったこと等を、ツラツラと綴った記事になります。😅
今日のまとめ
今日は、去る2020年12/23と昨日12/27の朝刊で報道されていた、ニトリさんの珪藻土製品(バスマットとコースター)にアスベスト(石綿)が含まれていたという件について、なぜ今頃アスベストの含有(石綿含有)製品が出てきたのか?という視点で、調査し、考察してきました。
ニトリさんではありませんが、11/28にも似たような話が報道されたばかりでしたし、アスベスト(石綿)が2012年に100%全面禁止になった旨の投稿を、自身でまとめた矢先だったこともあって、「何で今頃アスベスト(石綿)が出てくるんだ?🤨」と、ずっと引っ掛かっておりましたので、個人的にはスッキリしました。😅
こんな所で筆者がご紹介するまでもないのですが、ニトリさんの対応窓口の電話番号は0120-209-993とのことですので、一応、年末年始も通じるみたいですし、ご不明点、ご不安な点などありましたら、電話してみて頂ければと思います。
※12/31は10-18:00、1/1は11-18:00とのこと。

(ニトリさんサイトから引用)
なお、年末年始(12/31~1/1)の対応については、ニトリさんサイトのこのPDF👆👉「珪藻土商品(バスマット・コースター)年末年始期間の自主回収品相談窓口について」に掲載されていますので、必要に応じてご確認ください。🤗
最後になりますが・・・
他の投稿も含めて、何度も書いていますので、しつこいようなのですが、アスベスト(石綿)は長期間に渡って、大量に吸い続けない限り健康被害はない、と言われています。☝

Hannes Osterhammer, CC BY-SA 3.0
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0, via Wikimedia Commons
また、ご多分に漏れず、筆者の建売マイホームにも、ニトリさんの回収対象リストに入っている、アスベスト含有(石綿含有)バスマットがあります。😓
アスベスト(石綿)が容認されている、中国の委託工場ということで、正直なところ、もう少し厳しくチェックすべきだったのかもしれませんが、悪気はないのでしょうし、こんな時こそ、過剰な反応は控えて、冷静に回収に協力してあげたいものです。😐
そもそも国が禁止している訳だから、日本国内に入ってきた瞬間に、国が何かしらの形で厳しくチェックするべきなのではないかな・・・と個人的には思うのですが、こんな風に思うのは筆者だけでしょうかね・・・。
それとも、今回はたまたまその検査をすり抜けてしまった、ということなのでしょうかね・・・。🙄
長くなりましたが、お読みどうも有難うございました。🙏
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