今日は、注文住宅と比較した場合に、建売住宅はなぜ安いのか?というお話です。
「安い!」と言っても、最低でも何千万もして、実際にはお安い買い物ではありませんから、その手の「安い」ではなく・・・ 😅
一般的な、土地から購入して注文住宅建てるようなケースの相場と比べて、建売住宅がなぜ安いのか?という理由について、建築士事務所の目線で解説します。
一般的な戸建て注文住宅の、土地購入からを合計した金額に比べ、ケースバイケースでしょうし、地域差はあるとしても、建売住宅の方が1~2割ほど、お安く購入することができる場合が多いです。😙
裏付け調査まではしてないので、事実かどうかわからないのですが、とあるサイトでは平均「700万」ほども差があると書かれていました。😱
もちろん、都内の一等地に近い付近や駅に近いような人気のある地域に建つ建売の場合は、そこまでの差額は生じないのですが、土地から購入する注文住宅の場合の相場に比べると、原則として、高くなることはありません。
皆さんもご存じかな・・・とも思いつつなのですが、ちょっと書きたいこともありましたし、別に準備している本稿「建売で後悔しないための注意点、5箇条!」の方でも、ここで触れておいた方が書きやすいため、まとめてみることにした次第です。😅
※本稿は2~3週間ほど後にUPする予定。←UPしました
色んな投稿で書いていますが、筆者の本業は建築士事務所(建築の設計事務所)です。
ですので、一般の方からは一緒くたに見えるかもしれないのですが、建売業界や不動産業界とは畑が違いますから、専門からはやや外れます。💧
筆者の知りうる範囲でのお話になります事、予めご了解いただければと思います。🙏
基本的な項目については、本稿の方で書いていますので、今回は前置きナシで、さっそく本論に入っていきます。👊
建売住宅はなぜ安いか?(安い理由)
注文住宅と比べて、痒い所に手が届くはずがない建売住宅ですので、そもそもが「土地購入+注文住宅」の金額相場より高くなってしまっては、買い手が付きませんよね?😅
当初の投稿「ダメ出しⅠ」でも触れているのですが、建売住宅の場合、設計(図面を描く)の段階では買い手が決まっていませんので、住まい手のことが全く分かりません。 また、後述しますが、そもそも「設計」というほどの予算もありませんし、不動産屋さんも建売屋さんもそんなことは望んでおらず、「工事ができる絵が欲しい」だけですので、「設計」ではなく「図面を描くだけ」という作業になってしまいます。 使うモノの仕様などは、業者さん側で決めてきますし、知らぬ間に勝手に変わっていたりもしますので、図面と言っても、建築基準法を満たす「器」を描いているだけの、ちょっと毛が生えた、ただの間取り図です。 住まい手のイメージができないことで、さらに中途半端なことにならざるを得なくなってしまう訳ですが、例えるなら、アパート図面を描くのと似た描き方になります。 戸建ての建売住宅の場合だと具体的には・・・ しかも、特に建売住宅の場合は確認申請図だけ、つまり、案内図/配置図/求積図/平面図/立面図(2面)だけでいい!と言われてしまい、そもそもそれにも満たない予算しかありませんので、細かい部分についてのコントロールは、我々には委ねられていないんです。😱 本来は「設計」という行為が必要で、住まい手との対話の中から色んなことを抽出し、実際の家具や動線までをイメージしながら、(間取り図でなく)図面に反映していくのですが、建売の場合はそれが一切ありませんから、必然的に、痒いところに全く手が届く訳がない、賃貸住宅のような一戸建住宅が出来上がってしまうという訳です。😩 あと、あんまり大声で話すようなことではありませんので、ここだけの話にしておいてくださいね。🤫
実際の業務レベルだと、確認申請の手続きは我々ですので、もちろん、そういう雑務はありますが。😓
アパートの図面を描く時も、賃貸ですから、住まい手のことなんぞは一切分かりませんので、いわゆる「設計」にはなり得ず、我々の中にある、一定のルールだけに従って、描いていくことにならざるを得なくなるわけです。😓
便所は「1P×1.5P」か「1P×2P」で「外開き」、お風呂は「2P×2P」、キッチンは「2.5P×3P」、階段は「巾1P」で「14枚割り」・・・などのルールです。
※1Pは1スパンですので、910とか900とかの意。
この手の仕事は、ここ15年ほどは片っ端から断るようにしていますので、一昔前の話なのかもしれませんが・・・ 😅
この事実が、建売がなぜ安いのか?という理由に他ならない訳ですが・・・
逆に、相場よりも安い価格で売り出さないといけないことになりますから、そのために建売業者さん達は色々な工夫をして、とにかく販売価格を下げようと、現実的な部分でもコストダウンをしようと努力しています。
建売業者さんや不動産屋さんではない、設計事務所からの視点になりますので、筆者の知る限りにはなってしまうのですが、建売が安くなる(安く見える?)ポイントを、ひとつひとつ具体的に見ていきましょう!😊
建売が安い理由1:手抜き工事でコストダウン?
いきなり紛らわしいタイトルから入らせて頂きます。
建売が安い理由として、皆さんが最も気になる部分かと思いますが、手抜き工事をして、コストダウンを図る・・・という手法は、もはや過去の(負の)遺産です。😉
手抜き工事の問題が後を絶たないことから、住宅瑕疵担保履行法が、11年ほど前の2009年10月に施行されています。
当時、周囲の工務店さんたちが、だいぶ慌てていたことを思い出しますが・・・ 😅
切り替わり当初に、まだそのような悪しき習慣が残っていたことも確かですし、並行して施行された建築基準法改正の内容が、適切に反映しきれていないような現場が存在したことも事実ではあります。
ただ、施工後11年も経っており、すっかり普通に浸透しているように見えますので、昨今では、よっぽど悪質な業者でないかぎり、基本的に意図的な手抜き工事はないものと思っていただいて大丈夫です。👍
意図的ではない、至らぬ部分から不意に発生してしまうような、事故的な欠陥などはある可能性があります。
昔に比べると、だいぶキチンと施工されるようになってきている印象はあるのですが、注文住宅も含めて、100%は避けにくいものですので。😓
逆に今は、インターネットやSNSがこれだけ普及してしまいましたから、変なクチコミやツイートでもされようものなら、一気に評判が落ちてしまって、窮地に陥ることになってしまいますので
現実的には多少の至らない部分はあるにしても、このご時世に、敢えて意図的な手抜き工事をすることで、建売を安く造ろうとする業者はまずいないはずです。😁
建売が安い理由2:土地の仕入れが安い
皆さんも直観的にお分かりかな・・と思うのですが、土地の価格は、面積が広ければ広いほど、割安で取引される傾向があります。
普通の買い物でもまとめ買いの方がお得なのと一緒の考えですね。😉
筆者の行動エリア付近(東京多摩~神奈川東部)での例え話で、試算しながらご説明します。
例えば、やや郊外に以下👇のような地型の300坪の土地があったとして、評価額を仮に40万/坪と仮定します。
評価額が40万であっても、住宅敷地として取引される相場は、平気で60万/坪とかになりますから、建売住宅の敷地として、この相場よりも安く販売するためには、例えば55万/坪ほどを想定しないといけませんよね?
まとめ買い300坪の土地が、評価額40万×300坪で仕入れられるものとして試算します。
※通常は評価額で交渉するらしいですので。(とある不動産屋談)
ここをギリギリの58万とかで想定するのか、もっと余裕を見て50万とかで想定するのかまでは、筆者は分かりません・・・ 😓
この近辺ですと、一般的な木造二階建ての建売でしたら敷地面積は30~40坪ほど、木造三階建てだと20坪ほどが基本になります。
郊外とすると、建蔽率と容積率が低くなるため、一区画あたり40坪ほどは必要になりますので、分け方としては、以下のような感じになるかなと思います。
※筆者は建売屋ではありませんのでザックリです。
黄緑の「G区画」はちょっと変な形状ですが、建築基準法で2mの接道要求がありますので、それを満たすために、最低2mの通路状の部分が必要になります。
建築基準法の接道要求は2mなのですが、最近は車の出し入れや現実的な駐車スペースの問題もありますので、2.5m~3mくらい確保している計画が多いように見えます。
変な区画はできてしまうものの、300坪を丸々建築敷地として考えられそうですので、不動産売買に係る細かい税金の話とかは専門外で分かりませんので、割愛しますが・・・
そのまま単純計算してみますと、以下👇のようになります。🙂
- 仕入れ価格:300坪×40万=12000万
- 販売価格 :300坪×55万=16500万
⇒ 差額=4500万 😲
先の7区画の計画とすれば、一区画当たり4500/7で、642万ほどの差額が出ることになります。😬
もちろん、ここから税金、金利、販売、造成や手続に係る諸経費などが差し引かれますので、640万も抜いている訳ではないと思いますが・・・💧
建売住宅の敷地として、相場より安く販売することになるとしても、このような感じで、土地の分で、ある程度は利益が見込めそうなことは認識できますね。🤔
個人的は、この土地の分が、建売の販売現場でよく見かける「ラスト1戸!緊急値引き!500万引き!」とかの分なのではないかな・・と推測しています。😑
やや話が逸れてしまいましたので、建売がなぜ安いか?の理由という観点に立ち戻りますと・・・
販売価格を安く見せるために建売は安いということには変わりないのですが、要するに、広い土地を安く仕入れることで、相場より低い価格設定を実現しているからということです。
※大きめですが、もちろん色々ある要因の中の一つです。
実は、もう一つ例え話があるのですが、話が長くなってきましたので、以下に折りたたんでおきます。
お時間とご興味がありましたら、展開してみて頂ければと思います。
前掲の計画だと、業者さんのボロ儲け😲的な印象になってしまう可能性がありますので、そんなに旨いい話だけではないんですよ・・・という、例を挙げておきます。 例えば、以下のような条件の300坪の場合は、先ほどの例のように簡単にはいきません。😟 先の通り、建築基準法の方で「巾2m以上」の接道要求がありまして、先のG区画のような「敷地延長」や「旗状敷地」などと呼ばれる変則敷地を使えば、ある程度は逃げられます。 先の用語の読み方は、「敷地延長」は「しきちえんちょう」、「旗状敷地」は「はたじょうしきち」となります。👌 ただ、常識的に考えても、例えば、通路部分の奥行(長さ)が50mもある訳にはいきませんし、もちろん基準法の方でも規定がありますので、この👆くらいの条件になってくると、別の作戦を使わざるを得なくなります。 具体的に割ってみますと、一般的には、以下👇のような区割りになってきてしまいます。 そうです! まぁ、こんなことは不動産屋さんも建売屋さんも重々承知していますし、先ほどの計画であっても、そこそこ面倒な手続きになりますので、道路を入れること自体、そんなに大騒ぎするほどの話ではないのですが、先ほどと同じ条件で試算しますと、少なからずロスが出てきます。 この絵では新たな道路を「48坪」と書きましたが、実際には「幅員の要求」や「展開広場」など、法や条例による要求によって、数字は変わってきます。 実際に、先の条件をそのまま当てはめて計算してみますと・・・ 今回は6区画ですので、1860/6で、一区画当たり310万しか浮いてこないことが分かります。 道路築造に係る経費を無視するとして、一区画当たりで見ても300万ほど、全体で見ると2500万ほどのロスになりますので、計算上はまだ1860万という数字は出ているのですが・・・ いずれにしても、「土地購入+注文住宅」の金額相場より、建売住宅が高くなくなるわけにはいきませんので、もっとシビアな試算をした上での、仕入れが必要になってくるということですね。🤔
なぜなら、道路からの奥行きが長すぎるからです。☝
基準法の要求を満たすために、道路を入れなきゃいけなくなってしまうんですね。😬💦
ここでは、切りのいい所で、先の計画のG区画の面積を当てはめているだけです。😅
※道路の価格をゼロとしています。
⇒ 差額=1860万 😱
さらに、道路を築造する金額まで加わってきてしまいますので、先の例と比べると、だいぶ割が悪い計画になってしまうことがお分かりになられると思います。💧
このような場合は、建売住宅用敷地として難しい・・ということになるか、仕入れの40万をもっと叩くか、販売価格をギリギリまで上げていくか・・という判断になるんだろうと思います。😓
駅に近いなど、人気があってすぐに買い手が付くような立地であれば、相場との差額は少なくて済むケースもあるのですが、割安感は必要な要素で、いずれにしても建売の販売価格の方が相場より高くなってはいけませんから、仮に土地で差額が出せないような計画になるのであれば、建物などのその他のコストの方で、少しでも浮かせていくことになります。😐
建売が安い理由3:建物の工事費が安い
✋引続きまして、建売はなぜ安いか?の理由に繋がる、建物の工事費関連のポイントを見ていきます。
建売は安い資材を使っているから安い・・・というような印象を持たれている方もいらっしゃると思います。😑
もちろん、安めの資材を多用していることは事実ですので、否定はしませんが・・・
この安めの資材を多用することが、建売はなぜ安いか?という安い理由に、直接的に繋がっている訳ではありません。☝
現実的には、注文住宅であっても、最初っから「なるべく安くお願いします!」などと頼まれてしまうと、高くはない仕様で進めるしかなくなってしまって、結果的に、建売住宅で使われるグレードとほぼ同じモノを基準に考えていくしかなくなってしまいますので、結果的に、使われている資材はさほど変わらない場合も多くあります。
高級な注文住宅と比べてしまえば、もちろん安めの資材ということにはなるのですが・・。😛
「安めの資材」や「高くない資材」という表現になるのですが、一概に、安物だから「=貧相で壊れやすくて耐久性の低い資材」という訳でもなかったりします。😮 どういう話かと言いますと、まず、お手頃価格(安めの金額)で流通するためには、広く出回っていて、よく使われている必要があります。 得てして、貧相に見えるモノが多いことも事実ではあるのですが・・・ アウトレットなどと呼ばれる傷物や、売れ残りのワゴンセール資材などは別ですが・・・
この一般的によく使われている資材が、いわゆる「普及品」と呼ばれるグレードになるのですが、原則として、この「普及品」に当たる資材が、最もお手頃価格で購入することができるからです。☝
グレードで言うと、すべてのコストをケチったような「下の下」ではなく、「中の下」くらいのモノになりますので、安めの資材ではあるとしても、安いだけの安物ではない場合がほとんどです。
逆に言えば、貧相で壊れやすく、耐久性の低い、安いだけの資材であれば、後々クレームばかりを生むことになりますので、広く普及することはありませんから。😅
建売住宅の場合でも、主にこの「普及品」が使用されることになります。🤔
建売業者さんなりに、色々と企業努力をした結果のコストダウンになりますので、ここでは、この辺りに的を絞って、筆者の知りうる範囲でお話ししていきます。🙂
具体的に、建売がなぜ安いか?に繋がる理由を、工事費用関連に限って整理しますと、細かい話はあるとしても、比較的大きめの点は以下の4点なります。👇
- 資材を大量購入して単価を下げる
- メーカーとの直接交渉で掛け率を下げる
- 人工代を下げる+工期を短縮する
- アウトレット品を使う場合もある?
ひとつずつ、ザッとご説明していきましょう。👊
資材を大量購入して単価を下げる
これは、先ほどの土地の仕入れと同じ話ですので、通常のお買い物の「まとめ買い」的にご認識頂ければいいです。😉
次項とも関係しますが、まとめて大量購入することで、ひとつの単価を下げるという手法ですよね。
特に文句もないのですが、10件の建売であれば、10件とも同じような外観で、同じような内装になってしまいますので、個人的には、これが建売を陳腐に見せてしまう要因なっているような気もします。😞
どのくらい安くなるのか?という点については、具体的には分からないのですが・・・ 😓
例えば、内装のクロスなんかでいいますと、「量産品」と呼ばれるクロスの場合、材工の単価(工賃込みの単価)で1000円以内ほどなのですが、せいぜいこれが800~900円ほどになるというイメージだと思います。
ちなみに、筆者の建売マイホームのクロスは、当初のダメ出しⅠ、Ⅱでは挙げなかったのですが・・・
壁も天井も、水回りも居室も廊下もぜぇ~んぶ同じクロスが貼られています。🤧
最初にリフォームしてしまいましたが、和室だけは違っていました。😅
仮に10~20%程度と考えると、仮に30坪の住宅で60万/坪ほどが標準的な住宅だとしますと、180~360万下がることになってしまいますが、全ての資材を大量購入できるわけではありませんし、人工代はまた別の話ですので、おそらく、多く見てもこの数字のせいぜい1/5ほどじゃないかと思います。
※「1/5」は完全な主観です。
大きな影響はないとは言え、小さい努力の積み重ねがコストダウンに繋がっていくわけですので、建売がなぜ安いか?の理由の一つであることは間違いありませんね。🤔
メーカーとの直接交渉で掛け率を下げる
前項と似たような話になりそうですので、少し方向を変えてご説明します。👊
まず、資材が現場まで納入される通常の流れは、1.メーカー ⇒ 2.商社 ⇒ 3.建材屋 ⇒ 4.現場・・・というような流れになります。
1.メーカーから3.建材屋までの間には、もう少し入る場合があるようですが、いずれにしろ、通過するたびに、いくらかのマージンが引かれて(足されて?)いる形です。
※これは建築資材に限った話ではないですよね😕
建売業者さんや住宅メーカーさんなどは取扱い量が膨大ですので、具体的な数字までは分からないのですが、一般的な工務店さんなどの場合、建材屋に支払う金額は、各資材や器具、住設などの定価の35~60%ほどです。
とあるキッチンメーカーの営業担当と話す機会があって、その時に聞いた小話ですと、そのメーカーを出ていく時(つまり売った時)は、定価の20%だったそうです。
そのキッチンが現場に入った時、どの位だったと思われますかね?
何度交渉しても「これ以上は無理!」と言って引かなかった建材屋に、払った金額は定価の・・・
何と60%でした。🤧
いかに中間業者が利益を得ているのかがご認識頂けると思います。😅
「定価」って一体何なんだろう?と思ってしまいますが、メーカーから出る時は、定価の10~20%ほどで出ていくとしますと、現実的に、どこまでの交渉が可能なのかは何とも言えないのですが、
メーカーと直接交渉することで、中間で通過するだけの2.商社や3.建材屋を通さずに、購入することができるとすれば・・・
現場に納入される資材は、中間業者の取り分を差し引いた分、お安くなっているということになりますよね。
企業同士のパワーバランスもありますので、大手住宅メーカーさん辺りになると違ってくるようですが、資材メーカーから出ていく時の掛け率10~20%については、直接交渉したからといって、大きく下がっていくものではないはずですので、中間の手数料をカットするという話です。🤔
これも具体的な数字が提示できずに恐縮なのですが、建売がなぜ安いか?という理由のひとつです。😑
人工代を下げる+工期を短縮する
人工代については、工事費用の中でも比重の大きい部分ですので、建売住宅を安くするためには重要なポイントになってきます。☝
過去(15~20年ほど前)には、「建売なんだから!」と、強面(こわもて)の不動産屋にゴリ押しされて、見積上の人工代を削るようなこともありましたが・・・ 😰
昨今では、このような無理やりなゴリ押しではない、スマートな方法を用いて人工代でのコストダウンを図っている場合が多くなっているように見えます。👌
どういう形かといいますと、特に大きめの業者さんの場合、最近は、「協力業者」ということで、予め自社内のグループ会社的に取り込んで、低めの人工代で請けさせる・・・という形が増えてきたようです。
「協力業者」という考え方は昔からあり、どちらかというと業者同士の協力体制を整えることを、主な目的としていたように思いますが、今は、もちろんそのような一面もあるとしても、どちらかと言うと、コストダウンのためにうまく活用している企業さんが増えているように感じます。
バブルの頃はまた別として、人工代はそもそも利益が出るような価格設定にはなっていませんので、例えば24000円/日ほどの人工代を、20000円/日ほどにするようなイメージです。
※それでも職人さんは本当は厳しいはずです。💧
そのような取り決めが記載された契約書にサインをしてもらって、建物の形状によって多少手間の掛かる案件があるとしても、同じ金額で請けてもらうという形ですね。🙁
これも世の常だと思いますが、お若い職人さんや、仕事に困っている職人さん、割り切っている職人さんなどは、人工代が多少安かったとしても、安定して仕事が出てくる業者さんの、協力業者として登録した方が楽な場合がありますから、主にそのような職人さんが集まることになります。
こだわりの強い職人さんや、仕事が有り余っている職人さん、腕のいい熟練工などは、よっぽど仕事に困っていない限り、利害が一致しませんので、必然的に、そのような職人さんが登録することは少なくなります。
結果的に、精巧な職人技のような納まりなどはできなくなりますし、人工代の範囲内で仕事を片付けなければならなくなりますので、品質は低下してしまう方向になりがちですね。😕
このことで、品質は下がる可能性はあるにしても、前半でお話しした瑕疵担保責任の問題や、インターネットやSNSの普及もありますので、建売屋さんの方での厳しめのチェックがあるでしょうから、基本的に、手抜き工事には繋がらないはずです。☝
逆に、未だに瑕疵担保責任の問題や、インターネットやSNSの普及を軽視している建売業者が存在するなら、ちょっと危険ですね・・・ 😫💧
ただ、建売屋さん側でも、もちろん努力はしていまして・・・
例えば、納まりを一定にしたりすることで、熟練でない職人でも、現場で迷いが生じることなく、誰でもスムーズな作業をトントン進めていけるような形に、マニュアル化して、少しでも手間を少なくできるような企業努力はしているようですね。
この手間を減らす努力は、工期の短縮にも繋がりますので、人工代を下げるためだけのものではないのですが、短い工期で工事を終わらせる・・・という点も、建売がなぜ安いのか?という理由に繋がっている部分ですので、合理的でスマートな手法だと思います。🙂
アウトレット品を使う場合もある?
これについては、筆者の憶測にすぎないのですが、筆者の建売マイホームのユニットバスの小話です。
注文住宅の場合で、お客さんから要望があれば、アウトレット品を使う場合があってもいいような気はするのですが、建売では基本的にあり得ないと思うのは筆者だけでしょうかね・・・
大きな部分ではないのですが、筆者の建売マイホームのユニットバスの浴槽には、最初から付いている錆的な汚れがあります。🤨
当初の投稿「憂鬱の始まり」でも書いた通り、ロクに内見(事前の見学)もせずに決めてしまったとは言え、ローンの審査が通過してしまった後には、細かくチェックしていまして、その際に気付いてはいました。
気付いていたのですが、ただの汚れにしか見えませんでしたし・・・、
他にケチを付けるべき個所が沢山ありすぎたので、指摘もせずにそのままになっていた汚れです。☝
その汚れが、何をどうやっても落ちないんですよね・・・
コーティングの裏側に入り込んでる汚れみたいなんです。🤨
いわゆる不良品と言えばそれまでなのですが、メーカーを見ますと、天下の松下さん(Pana)ですので、真っ白な浴槽にあんな汚れが付いていれば、検品の際に、当たり前に気付くはずですよね。
どうも腑に落ちないのですが、そんなことで騒ぎ立てるほど暇人ではありませんし、そもそも所詮、建売・・・ということで割り切って、そのまま使っている状況です。😅
ちなみに、筆者の建売マイホームを建てた建売屋さんは、「〇ク〇ホーム」という業者さんで、地元の建売屋だと思っていたのですが、調べると、どうやら800人くらいの規模で、全国展開しているソコソコの会社さんでした。
※社名「〇」は書きたいのも山々なのですが・・・ 😓
会社の規模からみると、まさかそんな傷物(アウトレット品)なんかを平気で納入するとも考えにくいのですが・・・ 🤨
現場で付いた汚れでないことは明らかですので、事実関係は定かではないのですが、アウトレット品を使う場合もある?ということで計上した次第です。
アウトレット品であれば、相場のおそらく20~30%OFFくらいで入手できるでしょうから、もし、本当にアウトレット品を使うような業者さんが多いのであれば、これも建売がなぜ安いのか?という理由に繋がる一つの要因になってきます。
建売が安い理由4:見た目の販売価格を安く見せる
例によって、毎度のことながらだいぶ長くなってきてしまいましたので、ペースを上げて書いていきます。👊
これは皆さんもお気づきかと思うのですが、細かいモノを全て別途オプションにしている建売屋が多い😱ように思いますので、建売を購入される場合には、ご注意頂きたい部分です。
具体的には、筆者の建売マイホームでは以下のモノが全て別途になっていました。😥
どれも、生活するのに最低限必要なモノなのですが、販売価格を安く見せかけるために、別途オプションにしています。😤
全部で30万くらいかな・・、と思いますが、これらを別途にすることで、見た目だけは、その分安くなる、つまり販売価格が30万ほど安く見えることになりますので、実際はぜんぜん安くなってないのですが、これも建売がなぜ安いのか?という理由のひとつですよね。😅
ちなみに、当初の投稿「ダメ出しⅡ」で色々と書いていますので、ご興味がありましたら、先のリンク先でご参照頂きたいのですが、別途扱いにしておいて、子会社の方で別料金で請けるという姑息なやり方です。😒
しかも、「〇ク〇ホーム」の場合は、ぜんぜんお安く何かない、高めの設定になっていましたので、個人的には好きになれない手法です。💢
書いているとキリがありませんので、リンク先👆の各ページに譲ります。😑
その他の安い理由
その他、色々と企業努力はしていると思われますが、筆者が把握できているのは、設計関連と登記や測量関連の費用です。
登記や測量は、我々が頼む数字よりも、やはり1~2割は低い数字で発注しているようです。
設計関連については、書いているとグチになってしまいますし、長くなってしまいますので、サラッといきます😅が、まず本来は、「設計」だけでなく「監理」という業務がセットになっています。
住宅メーカーさんの下請けをやる場合も近いものがあるのですが、建売の場合、「監理」は設計事務所ではなく、建売屋さん自社でやられてますので、「設計」のみが我々が請けることになる業務になります。
※設計と言っても既述の通りお絵描きです。😅
一般的には、設計+監理で請ける場合、「工事費の3%ほど」ということで認識されていると思います。
・・・が、住宅の場合は「設計+監理」の手間が嵩み、一棟当たりの工事費が少ないため、「3%」ではできる訳がありません。😞
筆者の場合は、注文住宅でしたら、最低でも「工事費の10%」は頂くようにしていますので、例えば、工事費が1800万の戸建て住宅の場合は、最低でも(本当は)180万はほしいところ・・・。💧
具体的な業務としては、これも既述の通り、案内図/配置図/求積図/平面図/立面図(2面)だけを描いて、確認申請を通すだけですので、「監理」費用はナシ、「設計」の方もお客さんとの打合せもありませんから、業務量も半分以下にはなりますが、1/5とかにはならない量になります。
結論を申し上げますと、「設計」分として、設計事務所に支払われるのは、たったの15~20万以下です。😱
もっとキチンと頂ける建売業者さんもいらっしゃるかもしれませんが、あいにく筆者はこれ以上の数字は聞いたことがありません。😑
だから、15年間に渡ってお断りし続けているのですが・・・
お気に障られる方がいらっしゃいましたら、ご容赦いただけばと思います。🙏
そんなことで、その他の経費についても、以上のような形で色々とコストダウンを図ることで、全体的に販売価格が低くなるように設定するため、相場よりも建売住宅の販売価格は安く見える、ということになります。🙌
今日のまとめ
本日は、「土地購入+注文住宅」の相場と比べた場合に、建売住宅はなぜ安いのか?という件について、設計事務所の視点から、その理由を解説して参りました。😁
業界事情の裏話的なお話もあったかと思いますが、いかがでしたでしょうかね・・・
相場よりは1~2割は安いと言われている建売住宅ですが、住宅瑕疵担保履行法が2009年に施行されたことにより、原則として、昔のような「手抜き工事」によるコストダウンが横行している訳でなく、企業努力も含めた、販売価格を安く見せるための、色々な工夫が意外とあることがお伝えできたかな・・と思います。😊
・・・と、建売住宅を全体的に持ち上げてきたところではあるのですが・・・
色んな投稿で書いています通り、筆者も建売住宅に対しては、決していい印象を持っている訳ではありません。
良からぬ習慣が当たり前のことかのように、少なからず存在していることは事実です。😰
準備中の本稿、「建売で後悔しないための注意点、5箇条!」の方でもご説明しますが、建売を購入されるご予定のある方などは、「ダメ出し014」のこの辺りや、「建売のトリック」なども参考にして頂きつつ、くれぐれもお気を付け頂ければと思います。😉
※リンク先👆はいずれも当サイト内の記事なので安全です。
準備中の本稿、「建売で後悔しないための注意点、5箇条!」の方は、2~3週間以内くらいのUP予定になります。
まだまだ、だいぶ混沌としていて、まとまるまでは時間が掛かりそう💧ですので、大変恐縮なのですが、今しばらくご猶予頂けると有難く思います。😌
[210301追記]先日、本稿の方もUPしました。👍
毎度のことながら、長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき、どうも有難うございました。🙏
コメント