今日は、トイレに付ける吊り戸棚の付け方に関する投稿の前章ということで、一般的な縦入りトイレには、75cm巾の吊り戸棚の後付けが難しいという件についてお話しします。
冷静に考えれば、すぐ分かるカラクリなのですが、設計を始めるようになって、新築図面のトイレに毎回「吊り戸棚」と記入✍していた割には、恥ずかしながら・・・、最初の2年ほどはこの事実に気付きませんでした。😓
※ちなみに新築の場合はぜんぜん難しくはありません。
トイレにはトイレットペーパーの在庫が必要ですし、掃除用品もありますので、新築の場合、他に収納の計画がないトイレには、特殊な事情がない限り、原則として吊り戸棚を設置する計画とするのが基本です。☝
昨今はウォシュレット(正確には洗浄便座)がだいぶ普及していますので、賛否両論もあるのですが、最低でも掃除用品はありますので、筆者は必ず計画します。
DIYによる後付けの吊り戸棚を計画されていて、これに気付かずに注文してしまうと、取り付けることができず、よくて返品・・・
運が悪ければ返品不可などで困ってしまう😖ことになってしまいますので、
お気付きの方も多くいらっしゃるとは思うのですが、念のためお知らせしておく次第です。🤗
縦入りトイレに後付けが難しい75cm巾の吊り戸棚とは?
吊り戸棚も色々ありますので、出来合いの既製品でなく、トイレ内で組み立てるようなタイプのモノでしたら、75cm巾のモノであっても基本的に設置は可能ですし・・・
巾を65cmほど以内、もしくは、奥行20cmほど以内に甘んじれば、基本的に後付けでも設置はできます。☝
後述もしますが、メーターモジュールのお宅など、広めのトイレでしたら、75cm巾の既製品であっても、後付けできる場合もあります。
ちなみに、そもそも吊り戸棚とは?
ちょうどいい写真が見つからなくて、恐縮なのですが、例えば以下👇のような壁付け収納を総称して、「吊り戸棚」もしくは「吊戸棚」と呼びます。
※以下は60cm巾の吊戸棚の写真になります。
読み方は、いずれも「つりとだな」で大丈夫ですし、「つりと」でも通用します。👌
ここでは、この👆ような形式の、75cm巾で高さ40cm以上、奥行30cmほど以上の既製品の吊り戸棚についてお話しします。
・・・と書いたところなのですが💧
この👆吊り戸棚の画像は、なぜかリンク切れを起こしやすく😣💢って、表示されていないことが多いようですので・・😫💦
念のため、別の写真も掲載しておきますと、以下👇のような、トイレ内の既製品の吊り戸棚です。
なお、「出来合いの既製品でなければ後付けできる」と書きましたが、これについては、例えば、以下👇のような形の調整可能な組み立て式の吊り戸棚でしたら、(通常は)対応することができます。
この製品の場合、箱状になっている訳ではなく、正面と左右、下面のみを囲うような形になっておりまして、巾も75~95cmまでの調整が可能となっているようです。
最近は、この手の便利な「吊り戸棚」が増えていますので、残念ながら出来合いの既製品に比べると、ややお高い場合があるのですが、
このようなタイプの吊り戸棚を使う前提なら、100%後付けできないという話ではありませんので、予めご了解ください。😌
詳しくは後述していきます。👊
75cm巾の吊り戸棚の後付けが難しい縦入りトイレとは?
次に、受け側の縦入りトイレについてのご説明です。
トイレも色んな形がありますし、広さも入り方向も様々ですから一概には言えないのですが、一般的なトイレといいますか、一般的な最低限のサイズのトイレで縦入りの場合ということになります。
言葉だと伝わりにくいはずですので、図面を使ってご説明しましょう。🤗
以下👇は、すっかりお馴染みの筆者の建売マイホームの、当初リフォーム完了後の1F平面図です。
予めコメントを入れておきましたが、最低限のサイズの縦入りトイレとは、この「こんなトイレ」と図示したような形状のトイレになります。
小さくてよく分らないと思いますので、トイレ部分だけ抜き出して拡大しますと、以下👇のようになります。
※余計なところは少しデフォルメしています。
柱や間柱といった壁下地も描き込んであるのですが、ここでは関係ありませんので、無視して頂くことにして、外形だけに着目してください。🙏
柱芯寸法でみて、長辺が4.5尺(1365mm)✕短辺が3尺(910mm)で描いていまして、在来木造の場合の最低限のトイレ寸法はこの大きさになります。
在来木造であっても、モジュールが910ピッチでなく、900ピッチだったりすると、まだ小さくもなりますし、
さらには、アパートやマンション系などではもう少し小さくなる場合もありますが、小さければ小さいだけ苦しくなります。😟
※在来木造の3F建だと、モジュールが900ピッチの場合がありますので、要注意!
「メーターモジュール」と呼ばれるモジュールの場合は、基本ピッチが910mmでなく、1000mmになって広くなりますから、その場合は有利になります。
ちなみに、今回の話はトイレの「巾」が効いてきますから、例えば、以下のような奥行の4.5尺がでなく6尺の場合であっても、同じ問題にぶち当たることになりますので、ご注意ください。
※出来合いの75cm吊り戸棚は後付けできないという意味。
出入口の位置については、これら👆は右側に付いていますが、要は、長方形の外径の短辺側に付いていることから、便器に対して縦方向に入ることになりますので、これを「縦入り」と表現しています。
このような縦入りトイレに、既製品の出来合いの巾750吊り戸棚の後付けが難しい、というお話です。
なお、縦入りでなく横入りの場合は、例えば、こんな👇感じの平面になると思うのですが、どっちにしても寸法的にギリギリですので苦しいのは苦しいとは言え、この場合は今回のケースには当てはまりません。
※後付けで付けられない訳ではないという意味。
ですので、横入りトイレのお宅の場合は、今回のお話はお気になさらなくて大丈夫です。👍
縦入りトイレに75cm吊り戸棚の後付けが難しいワケ
前提はご理解頂けたかな・・と思いますので、出来合いの既製品75cm吊り戸棚を縦入りトイレに後付けするのが難しい理由(ワケ)について、ご説明します。
冒頭でお話しした通り、冷静に考えれば当たり前の話ですので・・・ 😅
そんなの当たり前だろがよ!😤
という方は、わざわざお読みいただかなくても大丈夫ですので、ご興味ありそうな別の投稿でもご覧になってください。😌
単純な話ですので、結論から先にお伝えします。🙂
要するに、吊り戸棚を付けようとした場合、当然、縦入りの出入口から入れ込むことになるわけですが、出来合いの既製品の場合、トイレの巾が狭すぎて向きが変えられないんです。😨
例えば、こんな👇感じに出来合いの75cm巾の吊り戸棚を付けたいとしますよね?
※青字で描いてあるのが吊り戸棚のイメージ。
当たり前に、右側の出入口から吊り戸棚を入れ込むことになるのですが、トイレの出入口ドアが、この図のように巾の狭いものでないとしても、
最大でも有効巾700mmほどしか確保できないため、取付ける向きのまま、トイレ内に入れ込むことは物理的にできません。😕
トイレの出入口扉(開き戸)の一般的な巾は、枠外で650mmですので、枠内の有効巾で580mmほどになります。
仮に最大巾の出入口扉が付けられているとしても、今回の例となっている在来木造の910モジュールの場合は、枠外で780mmが最大ですので、枠内の有効巾で710mmほどが最大になるはずです。
実際はドア自体が出っ張っていたりしますので、この最大巾での通過はできない場合が多いです。
ですので、以下のような斜めで入れるか、取付け向きと直交の向き(図面上は横長)に入れ込むしかない訳ですが・・・
このまま入れてしまうと、トイレ内に入ってから、吊り戸棚の向きを変えるために回転させる必要が出てくるのですが、以下👇のように、巾が効いてきてしまって廻しきれません。😱
この👆絵は下側の壁面ギリギリに沿わせて、入れ込みつつ回転させるイメージの軌跡を描いてみたものですが、上側の壁にどうしたって当たってしまうんです。
新築の場合は、壁が完全にできていない内に入れておけばいいので何とかなるわけですが、後付けで付けたいとすると、壁が完全に仕上がった状態で、吊り戸棚だけをチョコンと付けたいわけですので、これでは壁を一部壊さないと廻しきれませんよね・・・ 😰
※もちろん壁を壊せばいいだけなのですが。
今回は平面的にみて、あくまでも巾750✕奥行350mmの吊り戸棚を想定しての話ですので、後述もしていますが、巾がもっと狭かったり、奥行きがもっと浅ければ後付けは可能です。
また、「奥行350mm」については、建築の中ではキッチン系の吊り戸棚の奥行の一般的な数値が350~375mmほどであることを基準に考えているためです。
ややお高くなるはずですが、洗面化粧台用の吊り戸棚等の場合は、奥行きの浅いタイプも存在はします。
これが念のためお伝えしたかった、出来合いの既製品75cm吊り戸棚が縦入りトイレに後付けできない理由(ワケ)です。😅
これって、筆者の考えがおかしい訳じゃないですよね?👀
若かりし25年前くらいに気付いたっきり、実際に試したわけではありませんから、筆者の理屈がおかしいだけの可能性もゼロではないのですが。😓
筆者の建売マイホームのトイレでは、こんな👆形ですので、どっちにしてもどうしようもないことから、取急ぎの意外と便利な突っ張り棚でお茶をにごしている状況ですし・・。😟
しかし、何でこんなトコに換気扇なんか付けるんでしょうね?🤨
こんなんじゃ何もできないじゃないですかね。
ったく・・ 😤
いくつの吊り戸棚なら後付け可能か?の検証
実際に、丁度いい寸法の出来合いの既製品が存在するかどうかは別として、単純に大きさだけで検証してみた内容を、先ほどのようなスケッチ形式でご紹介していきます。
・・・ですが、あくまでも筆者の建売マイホームの、在来木造の910モジュールで作られたトイレでの検証結果になりますので、参考にされる場合は、応用しつつ運用していただく必要がありますこと、ご留意願えればと思います。🙏
吊り戸棚の巾を700mmとした場合
750✕350で描いていた吊り戸棚の軌跡を、巾だけ700mmにしてみたスケッチが以下👇の絵になります。
パッと見、ギリギリ納まっているかにも見えますが、CAD上で計測しますと、数ミリは上側の壁に当たっていますので、実際には回転しきれないはずです。
通常の場合、両側に最低10mmずつくらいのクリアランスが取れるくらいで考えておかないと、現場ではギリギリすぎて、上手く納められず、壁を傷めたりしますので、そのくらいの計算にしておいた方が間違いありません。
あと、出来合いの既製品ではおそらく巾700の吊り戸棚は存在しません・・ 😩
・・・と書いた所で、バリエーションの最も多いマイセットさんの吊り戸棚を、念のため見てみましたら、M7シリーズという製品群の中に巾700👇もありましたね。😘
さすがマイセット!😘という所ですが、マイセットさんの吊り戸棚は、キッチンの吊り戸棚として作られていまして、奥行が358mmですので、なおさら厳しくなってしまいます。😓
だいぶ惜しい!ですが・・・ 😟
ちなみに、筆者だけかも知れませんが、吊り戸棚を探す時は、まずマイセット!
ちょうどいい寸法が見つからなくって、吊り戸棚で困った時もマイセット!
・・・と、少なくとも25年くらい前から刷り込まれています😅ので、掛け率があまり低くならず、格安での入手は難しかったりもするのですが、皆さんも「吊り戸棚といえばマイセット!」と覚えておいていただくと、吊り戸棚で困ることが少なくなりますので、おすすめです。👍
逆に、700巾でギリギリでしたので、650巾くらいなら奥行358mmでも回転させられるかもしれませんね!
でも、さすがに650巾はマイセットさんにはなさそうな感じでしたので、洗濯機上に設置する用に作られた吊り戸棚みたいなものを、別に探してみるか・・ってところです。
ちなみに、700巾の下は、通常は600巾になります。😐
吊り戸棚の奥行を250mmとした場合
次に、巾は750mmのままにして、奥行きの浅いタイプの場合は・・・ 😳
ということで、奥行250mmで描いていみた軌跡のシュミレーションが以下👇のスケッチになります。
これも、ギリギリ交わせているようにも見えてしまうのですが、同じくCAD上で当たると、10mmほどは上の壁に当たってしまっている状況でした。😩
吊り戸棚の奥行は、浅すぎると使い道が限られてしまうことから、建築で使われるモノですと、奥行250mmの製品が存在したとしても、おそらく数は少ないはずですので、250で当たっていることを考えると、あんまり現実的ではない結果になってしまっています。
※その下は奥行き200になってしまうため、なおさら少ないという意味です。
・・・と書いた所で、また念のため、先ほどのマイセットさんの吊り戸棚バリエーションを確認しましたら・・・ 😳
何と!先のM7シリーズでなく、Y1シリーズというシリーズの中に、ちょうどいい寸法の製品がありました!😁
巾750✕奥行201✕高600mmの吊り戸棚、Y1シリーズの「75ENT」という製品です。👇
この画像を見る限り、色のパターンは二種類しかないみたいですが、贅沢は言ってられません。😅
でも、回転はできるにしても、高さが600mm(60cm)だと、窓があったりすると、窓を潰すことになってしまいますので、もう少し高さの低いのがないかな・・とさらに探してみましたら、やっぱりさすがのマイセット!
巾750✕奥行201✕高440mmの吊り戸棚、同じくY1シリーズの「75CNT」👇という製品がありました。😍
でも、こう貼り付けてみましたら、使われている写真が実際の製品じゃないみたいですね。🤨
ま、画像は使い廻しってこともあるようですので、紛らわしくなってしまって申し訳ないのですが、寸法と品番は確かですので、候補に入れておいていいかなと思います。🤗
ちなみに、念のための補足ですが、ここで紹介した75ENTと75CNTは、扉と背板込みの全体奥行で20.1cmになりますので、内部の有効は16~17cmほどと思われますが、トイレットペーパーは直径10cmほどになりますので、そんなに沢山は入らないということにはなります。🤔
吊り戸棚巾700、さらに奥行を300mmとした場合
最後に、巾も奥行も変えてしまって、巾700mm×奥行300mmの吊り戸棚が存在するとした場合の、回転軌跡のシュミレーションです。👇
今回はCAD上で見ても、上側の壁には当たっておらず、15mm強のクリアランスもありますので、現地で頑張れば、おそらく回転させることができます。😚
ただ、先の通り、マイセットさんのM7シリーズの奥行は358mmでしたし、
以下👇に、これも前掲のY1シリーズの規格表を貼り付けますが、Y1シリーズの場合、先ほどご紹介した奥行201mmのバリエーションの他に、奥行311mmのバリエーションも存在はするのですが・・・
残念ながら、Y1シリーズだと、巾が900/750/600mmしかないため、ちょうどいいサイズはやっぱりないみたいですね。😥
しつこいようですが、マイセットさんは吊り戸棚のバリエーションが最も多いメーカーですので、マイセットさんのバリエーション内に存在しない寸法の吊り戸棚は、極論すれば、建築業界には存在しないと考えて、ほぼ間違いありません。😄
例えば、ニトリさんやIKEAさんに代表されるような家具業界の場合はあるかもしれません。🙄
そんな訳で、できないことはないにしても、出来合いの既製品吊り戸棚の750巾を後付けしたい!とした場合、縦入りトイレへの後付けはやっぱり難しい・・・ということになるのです。🤔
今日のまとめ
一般的な縦入りトイレには、75cm巾の吊り戸棚の後付けが難しいという件について、ご紹介しながら、実際に後付けができる吊り戸棚の巾や奥行寸法をザッと検証して参りました。🙌
出来合いの既製品を使わない前提で、組立式の吊り戸棚で計画するなら、大きな問題はないのですが、いわゆる「完成品」と呼ばれる、出来上がった750巾の吊り戸棚を縦入りトイレに付けるには、奥行230mm未満ほどまでにしないと、物理的に取り付けができない・・という事実をお伝えできたと思います。🤔
ちなみに、似たような話になるのですが、奥行が350mmほどの750巾の吊り戸棚であっても、高さが230mm未満であれば、同じようにトイレ内で回転ができる、ということになるはずです。🙄
現実的な観点からは、高さ230mm未満の吊り戸棚では何の役にも立たないとは言え、取付自体はできますので、最後に補足しておきます。👌
準備中の本稿の方は・・・
トイレ内に吊り戸棚を付ける場合について、具体的な壁下地の位置を解説しつつ、その取り付け方をご説明するような内容を予定しています。😊
本業の隙をみながらの不定期更新ブログですので、恐縮ながら、決してご期待することなく、気長にお待ち頂けると幸いです。🙏
今日も最後までお読みいただきまして、どうも有難うございました。😌
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