今日は、いわゆる「平均GL」や「平均地盤面」と呼ばれる建築用語について、簡単な算定モデルを使った実際の計算例を元に、具体的に解説します。🙌
原則として、我々設計事務所などが実務で計算する内容ですので、簡易版でのご説明になりますが、ご自分で平均GL計算をしてみたい方は、参考にしてチャレンジしてみてください。😁
211202追記
思いもよらず、意外と多くの方が閲覧してくれているようですので、書き忘れてたお断りを追記させて頂きますが、当記事は同業者(設計屋や建築士)向けの解説ではありません。
一般の方向けの平均GL解説になりますので、くれぐれもご了解をお願いします。🙏
同業者(設計屋や建築士)の方は、後半でご紹介しているこちらの資料をご覧になってください。
珍しく短辺記事の予定です。👍
平均GLとは?(平均地盤面とは?)
まず、平均GLとは(平均地盤面とは)何ぞや?という話から入ります。☝
法律的な意味合いの強い建築用語ですので、法的な定義を確認しておきますと、まず、この通称「平均GL」や「平均地盤面」の、純粋な法律用語としましては、「地盤面」が該当します。
この「地盤面」については、建築基準法施行令、第2条2項に以下のように定義されています。
建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、
建築基準法施行令第2条2項
その接する位置の高低差が 3 mを超える場合においては、その高低差 3 m以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
後半の概念は高低差が3mを超える場合の話で、ややこしくなるだけですし、一般の方はそこまで知る必要はないはずですので、ここでは無視して頂いて大丈夫です。👌
平均GLの基本:建築物が周囲の地面と接する位置
では、平均GL算定(平均地盤面算定)の基本に当たる、この「建築物が周囲の地面と接する位置」が、具体的に言うとどこに該当するか?という観点のご説明をします。👊
ちなみに、この「建築物が周囲の地面と接する位置」を「平均GL算定ライン」もしくは「平均地盤面算定ライン」などと呼んだりします。😉
要するに!
もう少し平たく言い換えるとすれば、建物の外周が地面と接する位置という意図ですので、具体的な建物写真でご説明しますと、例えば、以下👇の写真中にコメントを入れた、「この線です」の矢視先のラインがこれに当たります。
この建売は平坦な敷地のようですので、あまり難しくはないですよね?
実際は微妙なニュアンスがありますので、この線が100%正解か?というと、必ずしもそうとは限らないのですが、一般的な見方としては、これで大丈夫です。👌
この赤ラインが、平均GLの算定(平均地盤面の算定)の基本となる、非常に重要なラインです。☝
別のパターンでも見てみましょう。😉
次の建売👇は、道路からおそらく450mm(45センチ)ほど上がった敷地だと思われます。
前面が駐車スペースになっていますので、この部分は道路とほぼ同じ高さで、建物に向かって、おそらく150mm(15センチ)ほど上がっていまして、
建物が建っている宅盤は、そこから300mm(30センチ)ほどでしょうかね・・上がっている状態。
この場合の、平均GL(平均地盤面)の算定ラインとなる「建物の外周が地面と接する位置」は、奥に向かう辺と、写真に写っている前面の辺とは高さが違うことになりますよね。
建物が建っている地面を[±0]としますと、奥に向かう辺は[±0]で、前面の辺は[-0.3]となります。
写真中にもコメントを入れてあるのですが、ポーチなどの外構による局部的な出っ張りについては、基本的にないものとして考えることになります。
ケースバイケースですので一概には言えないのですが、この👆場合の出っ張りは無視で大丈夫です。(計算としては不利側にはなるのですが・・)
お次は、道路から1.5mほど敷地が上がっている場合の平均GL(平均地盤面)算定ラインです。
※「建物の外周が地面と接する位置」という意味です。
左側に矢視してある、CB(コンクリートブロック)擁壁(ようへき)で土留めをして、その上の地面に建物が載っている形になります。
※おそらく化粧CBと呼ばれるコンクリートブロックです。
この写真の通りの場合の「建物の外周が地面と接する位置」は、単純に1.5m上がった宅盤の地面になります。
このCB擁壁と建物との離れが50cmあれば・・とか、1mならば・・とか、行政によって前後する場合がありますので、厳密に見る場合は、事前に審査を担当する行政や、審査機関の見解を聞いておく必要があります。
・・が、CB擁壁が建物と縁の切れた擁壁でなく、建物の基礎を下の1.5mほど下がった高さまで下しているような形状の場合は、その辺に関しては、「建物の外周が地面と接する位置」は、下の段ということになりますので、上の段を[±0]としますと、[-1.5]の高さということになります。
お分かりになられますかね?😅
典型的な理系脳ですので、分かりにくかったら申し訳ないです。🙏
次項にて、具体的な計算例を示しますので、頭を整理していただいて、ご覧になってみてください。🤗
※実際の計算は、さほど難しくはありませんが。😅
平均GL(平均地盤面)の計算の仕方(計算例)
基本的な考え方についてはご説明できたと思いますが、実際にどうやればいいのか?把握しにくいと思われますので・・・
今回は、仮に設定した算定モデルを使って、具体的な平均GLの計算の仕方を解説とさせていただこうと思います。👌
平均GLの算定モデル(平均地盤面の算定モデル)
なるべく簡単な例の方が認識しやすいと思われますので、今回は前項👆でお出しした三枚目のサンプルのような、道路より敷地が上がっているケースを想定します。👇
先ほどの三枚目のサンプルですと左側が擁壁で造られていましたが、それだと計算するほどの話ではなくなってしまうため、ここでは擁壁でなく、建物基礎を低い高さまで下しているような形を想定しました。
高低差としましては、画像中に書き込みましたが、切りのいい所で1mとしています。😙
実際の平均GLの計算の仕方(平均地盤面の計算例)
では、実際に、この👆ように敷地より道路が1m低いケースの平均GL(平均地盤面)の計算をしていきます。💨
「建築物が周囲の地面と接する位置」については、要するに建物の外周ですので、ここでは左上から時計回りに読みますと・・・
上10m+右5m+下10m+左5mにつき、
トータルで、=30mになります。 🙂
ちなみに、この外周の合計を我々は「周長」と呼びます。☝
次に、「・・・における平均の高さ」については・・・
まさに文字通りで、上側の辺は1m低い駐車スペースに接していますので、上辺10m分がマイナス1mの高さに接していて、
その他の三辺はプラマイ0mの高さに接している形です。
要するに、この平均を出せばいい!ということです。
つまり、上10m✕-1.0mを、先のトータル30m(周長:30m)で割ればいいという訳ですね。😙
実際の計算は・・・
10m✕-1.0/30mになりますから、
計算すると、=–0.333333・・ です。
通常、下四桁を切上げますので、「-0.334」が建基法にいう「地盤面」、つまり通称「平均GL(平均地盤面)」です。🤔
先の例の場合、「±0」としている部分が、先の略語「GL」もしくは「SGL」で示される「設計GL」に当たりますから、これより「-0.334」メートル(33.4センチ)下がった水平面が、建基法にいう「地盤面」、すなわち「平均GL」だ!ということです。
お分かりになられましたでしょうか・・・ 😉💧
これが、通称「平均GL」、建築基準法の「地盤面」の基本的な考え方と計算の仕方になります。👍
今回は、設計GLを高い方の地面に設定して[±0]としましたが、通常の場合はこの設定で大丈夫です。
物件によっては、逆に、道路の方の低い盤を設計GLとする場合もあるのですが、計算結果は同じ水平面にきますので、どちらでやられても構いません。👌
※要するに、道路からみて「+0.667」になるという意味です。
平均GL計算(平均地盤面計算)に関する補足
ここでは、簡単な算定モデルでの計算の仕方を解説しましたので、基本的な考え方はご認識いただけたものと思うのですが・・・
実際の設計現場では色んなケースがありますし、そのケースごとに審査上の取扱いが決まっているため、細かい話をし出すとキリがなくなってしまいます。😓
審査上の取扱いについては、各行政に「建築基準法取扱基準」というような名称で出されている冊子がありますので、その中の「地盤面」に関する項にて、ケースごとの取扱いを確認することができます。
筆者の本業での設計エリアは、神奈川~東京ですので、検索すればすぐ見つかりますが、もしかすると、キチンと定めているのは大きめの都市圏だけかも知れません・・・。
取扱い基準が存在しない場合は、役所の「建築審査課」や「建築課」、または「建築指導課」という窓口で見解を聞くしかないですね。😟
ちなみに、神奈川県の現時点での最新版は、こちらからご確認頂けますので、必要に応じて、参考にして頂ければと思います。🤗
※やや少なめですので、P80~83が地盤面に関する取扱いです。
平均GLの法文後半の「高低差が3mを超える場合」について
「平均GL(平均地盤面)」、つまり建築基準法に言う「地盤面」の、冒頭で引用した法文の後半に書かれていた「高低差が3mを超える場合」のお話については、概念がちょっとややこしいのですが、軽くご紹介だけしておきます。😓
以下👇は、先の神奈川県建築基準法取扱基準からの引用画像です。
急斜面に抱かせるように建物を建てる場合の断面スケッチになりまして、「3mごと」をどう取るか?という見本になります。
これ👆が基本になるのですが、単純な建物形状でない場合の応用パターンとして、以下👇のような二つのケースについての記述があります。
改めて見てみますと、何だかちょっと分かりにくいですね。🤨
まぁいずれにしろ、このような形で概ねの取扱いが定められていて、これ自体も行政によって考え方のニュアンスが違ってきますので、今回のようなツルっとした解説が難しいのが現実という訳です。🤔
以下👇は、3mを超える場合の境界線の設定例です。
先ほどのような形で、平面的に単純な四角形の建物を建てるケースを、上から見下ろした絵になっています。
5.5mほど高低差のある敷地における、平均GL算定での領域の境界線の決め方の取扱いを示しているのですが、難しいですよね・・・。
お次👇は、上から見下ろした際に、平面形状がコの字型のような形状の場合の、同じく3mを超える場合の境界線の設定例になります。
等高線が-5mまでしか書いてありませんが、同じく・・というか、こちらは6.5mほどの高低差のイメージでしょうかね。
でも、これだけご覧になられてもピンと来ないと思いますので、ご紹介はこの位にしておきます。😌
ちなみに、神奈川県建築基準法取扱基準の内容でお話ししましたが、一般的に販売されている書籍で言いますと、「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」という書籍が、我々の業界ではよく使われている資料です。
確認審査機関の担当なんかも、これを見ながらやっていたことがありましたので、信ぴょう性は高い資料です。😙
その他の法解釈についても、一定の取扱いが分かりますし、この平均GLに関する取扱いも、先の神奈川のモノよりは分かりやすくまとめられていますので、
個人的には(だいぶ)お高い気がしますが、本気で取り組みたい方はご覧になってみてもいいのかな、と思います。😬
専門的な資料ですので、本来は一般の方がご覧になられるような資料ではありません。
一般財団法人建築行政情報センター(通称JCBA)という協会的な法人が編集したもので、基本的に、設計事務所や審査機関、行政の担当などが参照するような内容の書籍です。
最寄りの図書館で蔵書検索してみたところ、引っ掛かりませんでしたので、図書館に置かれているかどうかは微妙です。😓
今日のまとめ
本日は、いわゆる「平均GL」とは?という点から、基本的な考え方と、実際の平均GLの計算の仕方を、簡易化した算定モデルを用いて、具体的にご説明して参りました。🤗
しつこいようですが、通称「平均GL(平均地盤面)」は、建築基準法上「地盤面」に当たります。☝
少々奥が深めの概念ですので、一部の基本的な部分までしか詳細説明はできませんでしたし、原則として我々設計事務所などが扱う内容になるため、専門的な内容になります。
お調べになられている方もあんまり多くはなさそうな気もしていますが・・・😞
どなたかの何かしらの参考になれば幸いでございます。😌
本日も、最後までお読みいただき、どうも有難うございました。🙏
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