今日は、窓解説と図面表記シリーズの最終回、第十弾としまして、「オーニング窓」をテーマにお話しします。🙋
前半では、主に「オーニング窓」の基本事項について、英語表記(英訳)、種類と形状、開閉形式などを解説、後半では、オーニング窓の図面での書き方を、立面図と平面図での図面表記を例に解説していきます。
オーニング窓は筆者も、実は本業の方も使ったことありません😓ので、あまりメジャーな窓ではないような気もしつつ、街を散策していると意外と見掛けることの多い窓ですので、取り上げることにした次第です。
つい先ほど、YKKapさんに問い合わせを入れてみたところ、オーニング窓自体、今年(2021年)6月にメーカー側としては販売終了してしまったとのことでした。
ですので、現状で問屋などに在庫が残っている分が吐けてしまうと、購入できなくなってしまいますね・。😢
LIXILさんや三協アルミさんの方は未確認です。
「オーニング窓」と呼ばれる窓がどんな窓なのか?くらいはお伝えできるはずですので、新築やリフォーム計画時の窓選定などの参考にしていただければと思います。😌
窓解説と図面表記シリーズ目次
全10連載ということで進めて参りました、窓解説と図面表記シリーズでしたが、ようやく最後の記事まで辿りついたところです。💧
途中で断念してしまうかなぁ・・・との懸念もあったのですが、ご覧になってくれている皆さんのご支援のお陰もあって、ここまで漕ぎつけることができたものと思います。😊
毎度のことながら、長文になりがちで恐縮なのですが、ここ場をお借りしまして御礼申し上げる次第です。🙏
以下👇、今回進めて参りました窓解説と図面表記シリーズの目次になりますので、他にもお気になられる窓がありましたら、ご覧になってみてください。
- 窓解説 第1弾:引き違い窓 編
- 窓解説 第2弾:上げ下げ窓 編
- 窓解説 第3弾:横滑り出し窓 編
- 窓解説 第4弾:縦滑り出し窓 編
- 窓解説 第5弾:片引き窓 編
- 窓解説 第6弾:嵌め殺し窓 編
- 窓解説 第7弾:ルーバー窓 編
- 窓解説 第8弾:内倒し窓 編
- 窓解説 第9弾:外倒し窓 編
- 窓解説 第10弾:オーニング 編 👈今回
- まとめ:窓種類と図面表記まとめ
- 他1:引き違い窓のサイズの見方
- 他2:住宅平面図の窓記号の読み方
- 他3:外倒し窓の開閉の仕方✕4選
- 他4:上げ下げ窓の下障子の倒し方
元々、窓の種類と図面での書き方をまとめようと思って始めた連載になりますので、この後、当初から予定していた「窓の種類と図面表記まとめ」という、一覧的な記事も準備しています。
※タイトルは現状のモノですので、変わるかもしれません。😅
・・・が、当サイトは本業の合間を縫っての更新につき、まだ少し先になってしまいますので、期待はされることなく、気長にお待ちいただけると有難く思います。🙏
では、ようやく辿りついた最終回ですので、前置きはこの位にして・・・
さっそく始めていきましょう 👊
オーニング窓とは?
まずは、「オーニング窓」とは何ぞや?という点から始めていきます。
国内で「オーニング窓」と呼ばれている窓は、海外で言うところの「Awning window(オーニングウィンドウ)」も同じ「オーニング」が入りますので、同じ窓種類を示すのかと思われがちなのですが・・・
実は、ニュアンスはぜんぜん違います。
オーニング窓の形状
もったいぶっても始まりませんので、今回は、先にオーニング窓の形状のご紹介をしていくことにします。☝
今回の窓解説シリーズは、YKKapさんの製品を元にした記事に偏りがちでしたので、この最終回については、元々はLIXILさんのデュオPGというシリーズからお出しするつもりだったのですが・・・
商品としてどうしても見つからず、またYKKapさんの商品からになってしまいました。🙏
思ったより取り扱いのあるシリーズが少なくて、探すのに往生してしまいましたが・・・😩
YKKapさんのエピソードというシリーズから、オーニング窓の形状をご紹介しますと、以下👇のような外観形状になります。
YKKapさんに問い合わせを入れてみたところ、オーニング窓自体、今年(2021年)6月にメーカー側としては販売終了してしまったとのこと。
ですので、以下👇の商品リンクも、現状で問屋などに在庫が残っている分が吐けてしまうと、購入できなくなってしまいますので、予めご了解ください。
この👆写真は使いまわしのようですので、違うサイズのようなのですが・・・ 😓
実際のサイズとしては、呼称で06007ということで販売されている商品リンク写真からの出展です。
おそらく実際は04507ほどのオーニング窓だと思われますが。💧
この👆呼称の五桁の数字の見方は、こちら👉「図面の見方01」のこの辺りで解説しています 。
言葉でご説明しますと、国内でのオーニング窓とは?、横滑り出し窓のような開閉をする障子が、数枚、縦に並んだ窓を指します。
その他の細かい部分については、後述していきます。👌
オーニング窓の英訳 (英語表記)
それでは次に、オーニング窓の英語表記(英訳)のコーナーです。☝
先ほど少し触れましたが、「オーニング(Awning)」という日本語英語が、そのまま名称になってしまっていますよね。😓
ですので、ちょっと話がしにくいのですが、いつも通り、YKKapさん、Lixilさん、三協アルミさんサイトをEdge上で翻訳してみると、当たり前に「Awning window」と出てしまいます。
Google翻訳さんでも、「オーニング窓」の翻訳は、同じく「Awning window」👆となります。😖💦
ちなみに、周知のとおり「オーニング(Awning)」は国内では「日除け」的な意味合いの単語ですので、開いた時の形状からすれば間違いではないとしても、海外では通用しないということになりますよね。
いつもお世話になっている海外(米国系)のサッシメーカーさんや、サッシ屋さんサイトをザッとチェックしてみても、ここでご紹介している、日本の「オーニング窓」的な窓は見つかりませんでしたので、国内独自のサッシの可能性もあります。😟
実務レベルで通用するかどうかは別として、海外での日常会話レベルで伝えるためには、この「Awning window」の接頭に、「縦並び」を意味する「column」や「tandem」とか、「vertical array」などを付ければいいような気がしますが、筆者の英語力レベルでは何とも判断が付きません。😞
よって、ここでは「オーニング窓」の英語表記としては、「Awning window」が正解。
英訳としては、一方的かつ中途半端で恐縮なのですが「?」ということにさせて頂きたく思います。
力不足で申し訳ないです・・・🙏
オーニング窓の開閉形式
では、オーニング窓の開閉形式の解説に移ります。💨
開閉形式については、先ほどから「横滑り出し窓のような」と表現しております通り、ほぼ横滑り出し窓と考えて頂いて大丈夫です。
ただ、一般の方からすればどうでもいい話のような気もしつつ・・・、細かい違いはありますので、横滑り出し窓とのオーニング窓との開閉形式の違いも含めて、お話させて頂きます。
まず、今度はLIXILさんのデュオPGのカタログを見ますと、呼称で06013サイズの以下👇のような外観が掲載されております。
デュオPGもLIXILさんのWEBサイト内で探しにくくなってしまったので、もしかすると販売終了する予兆なのかもしれませんが・・・
開き方としては、この4枚障子の場合、4枚の障子が同時に同じ角度で開きます。
閉じる時も同じく同じ挙動で閉まりますので、個々の障子を別々にコントロールすることはできません。
また、開き角度については、YKKapさんのエピソードのオーニング窓は、基本的には「≒50度」。
掃除の際などに、ストッパーを外すと、最大で「≒80度」まで開くことが可能になっています。
LIXILさんのデュオPGの場合は、基本が「≒40度」のようですが、後述する電動ユニットを使用した開閉の場合は「≒35度」まで・・ということになっているようです。🤔
オーニング窓と横滑り出し窓の開閉形式の違い
オーニング窓と横滑り出し窓の開閉形式の違いにつきましては、ほぼ似たような形式ではなるのですが、細かく見るとちょっと違いますので、軽くご説明しておきます。
オーニング窓の外観と内観写真に、解説コメントを入れてみましたので、まずは以下👇の画像をご覧ください。
窓サイズによって、障子の枚数が変わってくるのですが、その数枚のうちの一枚に着目して見てみますと・・・
この👆ように障子の上辺の両端は枠に固定されたヒンジになっており、下のアームの付け根がスライドして開閉することがお分かりになられると思います。
これが、オーニング窓の開閉形式です。☝
次に、横滑り出し窓の方も見てみますと、似たような形状ではあるものの・・・
以下👇の写真のように、上辺の両端にヒンジがあるのは同じなのですが、枠に固定されていないで、開く際には、下側が開いていくのと同時に、上辺も少し降りてくるような開閉形式になっていることが分かります。🤔
ですので、ほぼ横滑り出し窓と同じような開閉形式ではあるのですが、どちらかと言うと、今はほとんど聞かなくなった「突き出し窓」と呼ばれる窓の開閉に近いものになっています。
どうでもいいかもしれませんが、オーニング窓と横滑り出し窓の開閉形式には、このような違いがあるのです。☝
オーニング窓の種類
オーニング窓の種類としましては、サイズごとに障子の枚数が決まっているようですので、そんな違いはあるのですが、基本的に同じモノの組み合わせですので、1種類のみと考えて頂いて差し支えないです。☝
ただ他の窓でもそうでしたが、開閉の仕方(開閉方法)に、何パターンかありますので、これについてザッとご説明します。
※ここはLIXILさんのデュオPGでの解説です。
オーニング窓については、横滑り出し窓や縦滑り出し窓、その他の窓のように、フツーに人力で開け閉めする、完全手動による開閉はできませんで、開閉装置(オペレーター)による開閉になります。
オペレーターによる開閉の内、LIXILさんのデュオPGのオーニング窓の場合、この👆画像のように、「ハンドル式オペレーター」、「チェーン式オペレーター」、「電動ユニットによる制御」の3種類の開閉方法の選択ができます。
どれも一長一短ですが、特に電動ユニットに関して言いますと、「ルーバー窓 編」のこの辺りでも触れた通り、近未来的ですご~く便利😚になると思うのですが・・・
何の細工もしないでそのまま電動ユニット仕様にしてしまうと、先の写真👆にも写っていたように、窓のすぐ脇にコンセントが必要になってしまって、体裁が非常に悪くなりますので、これについてはご注意いただいた方がいい点です。😉
まぁでも、手の届かない高さにオーニング窓を設置する場合などは、体裁よりも機能性を重視すべきところではありますよね。🤔
オーニング窓の書き方:図面表記
オーニング窓が一部で販売終了になってしまっている事実を知って、何となく気のない解説になってしまったかもしれませんが、オーニング窓がどんな窓なのか?くらいはお伝えできましたでしょうかね・・・ 😅
最後のコーナーは、いつも通り、オーニング窓の図面での書き方を、立面図と平面図での図面表記を例にして解説していきます。👊
オーニング窓の書き方1:立面図での図面表記
例によって、一間巾(≒1820mm)ほどの柱間に、二つのオーニング窓を設置する場合を想定して、立面図的なイメージを描いてみたのが、以下👇のスケッチになります。
立面図での書き方(図面表記)になりますので、要は、オーニング窓の外観を、絵的に表現しているだけの形ですね。😅
サイズ的には、06009ほどのイメージで描いていますから、内法寸法で、巾600mm(60センチ)×高さ900mm(90センチ)のオーニング窓の立面図での図面表記いうことになります。☝
ちなみに、二つの窓合わせて合計6枚の障子に入れてある、二点鎖線の「逆V字」が開閉形式を示していまして・・・
他の窓シリーズでもご説明した通りなのですが、「逆V字」の開いている方が窓の開く側を示している・・と解釈してもらえれば、その他の建具関係の表記もすべて共通ですので、覚えやすいものと思います。👌
※二点鎖線でなく点線などで表現する人もいます。
あと、両窓の下の方に水平方向に描いてある「FL」と記入した一点鎖線は、建築図面上で見られる水平方向の基準線の一つになりまして、床の仕上面の位置がこの基準線と一致します。
RC造やS造、SRC造では、床仕上げではなく、躯体と呼ばれる床の天端が「SL」と呼ばれる基準になったりしますので、構造によって、基準になる部位が異なる場合があります。
木造の場合は、ほぼ床仕上げ=FLになる場合が多いです。
ですので、このオーニング窓は床から上がった位置に設置される、いわゆる腰窓であることを示している、ということにもなります。
立面図でのオーニング窓は、このような書き方(図面表記)が一般的ですね。😉
オーニング窓の書き方2:平面図での図面表記
では次に、オーニング窓の平面図での書き方(図面表記)のご説明に入ります。🙂
このオーニング窓の平面図での書き方は、図面を描く人によってバラツキが出そうな気がしますが、少なくとも筆者は以下👇のような図面表記をします。
以下は、2通りの表記になっていまして、上段が詳細図などで用いられる1/50ほどのスケールでのオーニング窓の書き方、下段が一般的な1/100ほどのスケールでの図面表記にしてあります。
筆者なら、オーニング窓は右側のパターンで表記しますが、既述の通り、障子の開閉形式が横滑り出し窓と似ているため、左側のパターンで表現される方もいらっしゃいます。
念のため、左の表現も描いておきましたが、立面での表記と同様、そもそも開く軌跡を表現するのが正解ですので、個人的には右側の表現を正としています。🙂
また、平面的には、障子の枚数は見えてこないことで、絵的にはオーニング窓である旨の表現が難しいことから、文字情報として「オーニング窓」である旨と、障子の枚数を括弧書きで追記している形になります。
試しに文字情報を外した、同じスケッチ画像をお見せしますと、以下👇のようになります。😳
この👆書き方では、オーニング窓であることは認識できませんし、例えば、横滑り出し窓の平面表記や、外倒し窓の平面表記との区別が付かなくなってしまって、とても紛らわしいですよね?😅
※リンク先を開いて比べてみて頂くとお分かりになるはず。
ですので、文字情報の追記は必須になるわけです。👌
このように、平面図では窓の種類を絵的に描き分けることが難しいことから、話のニュアンスは逸れるのですが・・・
特に実際の住宅の図面などでは、以下👇のような窓符号と言いますか、窓記号が用いられることが多くなってきていますよね。😕
これ👆はこれで分かりやすい場合もあるのですが、一般の方にとっては読み方のルールが分からないことには、逆に分かりにくくなってしまいます。😞
特に大手の住宅メーカーさんなどでは、この手の窓記号をオリジナルの略語を使って、100%独自のルールで運用していたりしますので、一概にはご説明が難しいのですが・・・ 😓
読み方の基本的な考え方については、こちら👉「住宅平面図の窓記号の読み方」で解説しています。
100%の方法論には至っていないのですが、少なくとも参考にはなるはずですので、困られている方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考にしていただければと思います。👍
今日のまとめ
今日は、窓解説と図面表記シリーズの最終回に当たる第十弾「オーニング窓」をテーマに、基本事項や図面での書き方(図面表記)などのご説明をして参りました。😌
オーニング窓がどんな窓か?くらいはお伝えできましたでしょうかね・・ 🙄
途中で何カ所かコメントを入れておきましたので、しつこいようなのですが、先ほどYKKapさんから入手した情報によると、今回テーマにした「オーニング窓」自体が、すでにYKKapさんサイドとしては販売終了しているとのことでした。
また、今回の解説で画像などを色々とお借りしている、LIXILさんのデュオPGもどういう訳だか、WEBサイト内でも見つかりにくくなってしまっているような印象ですので、もしかするとオーニング窓自体が市場から消えてしまうのかな・・・などとも感じているところです。
※これはLIXILさんに聞いたわけではないので、定かではありません。
窓の種類は色々とありますが、改廃も数年ごとにあります。
今回、筆者の独断にはなるのですが、現時点(2021年9月現在)で、一般的に普及していると思われる窓を10種類ピックアップして、窓解説と図面表記シリーズとしまして、10連載でお送りしてきた訳ですが、すでに怪しくなってきているオーニング窓のように、廃れてしまうモノもあるかと思います。
・・・が、仮に、メーカー側で販売終了となって、市場に出回らなくなったとしても、建築に使われる窓という意味では、その先さらに数十年は生き続けることにはなりますよね。
もちろん修理の仕方までは解説なんかできていない訳なのですが😅、将来的にも、皆さんの何かしらの参考になればいいな・・と思います。😌
本日も最後までお読みいただき、どうも有難うございました。🙏
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