今日は、やや本業寄りの内容なのですが、「求積図とは?」ということで、建築図面の種類ごとにどんな図面なのか?を解説していく図面解説シリーズ!を書き始めます。☝
・・・と言いますか、二年ほど前から準備はしていた一連のシリーズなのですが、あまり楽しい内容ではないため、個人的に後手後手に回ってしまっておりました。😓
順不同で恐縮なのですが、たまたま書き上がった分からご紹介していきますので、ご容赦をお願いできればと思います。🙏
今回は「求積図」とは何ぞや?というテーマで、建築図面に見られる「求積図」がどのような図面なのか?という点について、色んな実際の図面を実例としてご紹介しながら解説していきます。🙂👍
求積図とは?
求積図とは?、元々の日本語としての「求積図」との単語の意味合いとしましては、小学校で習った単語でお話しますと、いわゆる「積(かけ算の答)」を求める図ということになるかと思います。
では、この「積」とは何ぞや?という話になりますが・・・
変な方向に話が逸れていってしまいます💧ので、この「積」の文字が使われる単語を思い起こしてみますと「面積」や「容積」、「体積」などが思い当たりますよね。🙄
※ここ👆で上げた「容積」は建築の容積でなく、日本語の容積です。
ですが当ブログは建築系ですので、やや視点をそらせて建築に特化して結論を申し上げますと、「求積図」とは、主に「面積を求める図」、もしくは「面積を求めた根拠を示す図面」となります。
「積」という意味では、面積だけでなく、その空間のボリューム(容量)を示す「気積」という言葉も建築では用いられます。
・・・が、「積」を求めるからといっても、求積図で「気積」を求めることは少ない気がします。
結果的に、絵的には求積図のような絵にはなるのですが、日本語に忠実になることで、紛らわしくなってしまうのは避けたいところですので、筆者の場合は「気積算定図」などという名称を使うようにしています。😑
求積図の読み方(ふりがな)
周知通りかと思いつつなのですが、まずは「求積図」の読み方から、念のため入っていきます。😁
「求積図」の読み方としましては、そのままお読みいただいていいのですが、「きゅうせきず」です。☝
「図」を除いた前半の「求積(きゅうせき)」までは、日本語としても使われないこともありませんから、お分かりかと思うのですが。🙄
求積図の英訳(英語表記)
実務レベルの専門用語としては、定かではないのですが・・・
いつもお世話になっている、Google翻訳さんとWeblio翻訳さんで英訳してみた結果を元に考察してみます。
まず、Google翻訳サイトで「求積図」と入力してみますと、翻訳結果として、「Quadrature diagram」と出ました。
「Quadrature」は「求積法」との意味を持つ単語です。
後半の「diagram」は日本語英語で言うと「ダイアグラム」になりますから、直訳すぎる気もしつつなのですが、意味合いとしては「図(ず)」を指します。
うぅ~ん・・🤨💧って感じですね。😅
Weblio英語翻訳さんの方でも、同じように「求積図」と入れてみますと、一行目に「Figure of mensuration」、二行目に「Mensuration figure」と出ました。
勉強不足のせいか、パッと見、あまり見慣れない英単語でしたので、違う熟語かと思いきや・・・
落ち着いて見てみると、使われている単語は共通でしたね。😅
「Mensuration」は「測定」との意味の単語で、「Figure」は「形」とか「形態」という意味合いの単語になりますよね。
ちなみに念のためですが、「Figure」を日本語英語にすると「フィギュア」もしくは「フィギア」ですので、「人形」などの意味でよく使われますよね。
「フィギュアスケート」なども、この「Figure」ですので、ちょっとニュアンスが逸れる気もしますが、おなじみの単語ではあります。
意味合いは何となくイメージできますので、一般的な日本語としての「求積図」の英訳(英語表記)としては、さほどズレてはいないような気がしますが、実務レベルですと、「求積図」に対してどの単語(もしくは熟語)が当てられているのか定かではないのですが、。
建築図面で見られる求積図
建築図面の中で出てくる「求積図」は、冒頭でお話ししました通り面積を求める図、もしくは面積を求めた根拠を示す図になりまして、大きく分けると二通りの求積図があります。
ひとつは敷地などの土地関係の区域面積を求める求積図、もうひとつは建物自体や建物の部分など、建物関係の面積を求める求積図です。
建物自体の面積については、主に、建築基準法で言う「建築面積」や「床面積」などになりますが、その話をしていると論点がズレて行ってしまいますので、ここでは割愛させていただきます。🙏
「建築面積」については先日UP済みですので、お気になられる方は、この👆リンク先をご覧になってみてください。
土地関係の面積を求める求積図
まずは、土地関係の面積を求める求積図からお話しします。😐
最もポピュラーで、建築図面の中にほぼ100%含まれているのが、敷地面積の求積図です。☝
その他は、例えば住宅でない大きめの建物の図面であれば、法や条例などで要求される緑地などの区域面積を求める求積図などがあります。
また、土地関係の面積の場合、例えば純粋な長方形や多角形、円などであったりすることはまずありませんので、建物関連の面積を求める時に用いる「底辺✕高さ」では算出ができません。
ですので、これとは違う別の求積法が用いられまして、一般的には「三斜求積」と「座標求積」があります。
敷地面積求積図
敷地面積の求積図としては、古くから「三斜求積」と呼ばれる求積法が用いられてきましたが、10年ほど前から、測量屋さんから上がってくる測量図が、「座標求積」と呼ばれる求積法による求積図である場合が、たまに見られるようになりました。
筆者レベルの設計屋が取り扱う案件では、まだまだ三斜求積の方が多いのですが、昨今は座標求積も三割くらいは見掛ける気がします。
この二種類の敷地面積求積図をご紹介しながら、知りうる範囲でご説明しようと思います。🙂
敷地面積の三斜求積図
三斜求積図とは?
我々には当たり前の用語でも、一般の方には認識しにくい可能性もありますので、具体例をお出ししながら説明しますと、以下👇のような図面が、三斜求積による、敷地面積の求積図になります。
よく見ていただくとご理解いただけると思いますが、要するに「三斜求積」とは・・・ 😳
斜めだったり、変に窪んでいたりする変形した矩計を、全て三角形に分割し、それぞれを三角形の面積として算出して合計することで、どんな歪(いびつ)な形状の矩計であっても、小学校で習った知識だけで面積を求めてしまう!という、ある意味では画期的な手法です。🙌
敷地面積では極端に歪な形状は少ないのですが、後述する「その他の土地関係面積の求積図」の項で掲載しているような、極端に変な形であっても、矩計であれば求められてしまいますので。😙
ごまかすことなくキチンと三斜を切ってくれている求積図であれば、古ぅ~い手書きの図面であっても、そこからCAD上に敷地形状を起こすこともできますので、誰が考案した求積法なのかは分かりませんが、個人的には非常に合理的な方法論だと思って、30年ほど前から感心しています。😅
まぁ、こんなことで感心しているのは筆者だけかもしれませんが・・・😓
通常は、左側に三斜を切った求積図、右側に実際の面積計算をする求積表が掲載されている形です。
敷地面積の座標求積図
次に、座標求積による敷地面積の求積図をご紹介しますと、以下👇のような求積図です。
三斜による求積図とは違い、三角形にも分けられておらず、ただの矩計のまま。
どういう過程で面積が導かれているのかは把握しにくいのですが、三斜求積の場合と同様に、右側には求積表が付いている形です。
個人的には三斜求積の方が分かりやすくていいのではないかと思うのですが、デジタルな社会になってきていますので、致し方ないのかもしれませんね。😞
この👆図面を含めて、実際の案件の図面になりますが、そのまま掲載するわけにもいきませんので、少しデフォルメして、オリジナルの図面に作り直してあります。😁
以降、「とある案件の・・・」と記載している画像は全て同様ですので、ご理解をお願いできればと思います。
ちなみに、審査機関等の方でも、計算根拠の確認がしにくい・・ということで、5~6年ほど前までは、確認申請の際などに、座標求積による敷地面積求積図を使う際は少々面倒でした。
さすがに普及してきた昨今は、座標求積による敷地面積求積図で提出しても、そのままスルーしてしまうことが多くなりましたが。🤔
その他の土地関係面積の求積図
では、敷地面積以外の土地関連面積の求積図を何点かご紹介します。
土地関連の求積も色々とあるのですが、主に確認申請前の事前協議に使用されるもので、例えば、開発行為の要否を判定するための開発事前相談・・・
条例などにより緑地を敷地内に設けなければならない場合に発生する緑化協議などが掛かると、その協議内容に応じた求積図が必要になってきます。☝
※この👆リンクはWikipediaさんの「開発行為」情報へのリンクです。
盛土面積求積図
まずは、敷地内の土地の切土や盛土が発生する場合で、敷地面積がある一定規模以上の時に必要となる開発事前相談という手続きがあるのですが、
これで要求される、通称「切り盛り求積図」の内、盛土が行われる範囲の面積を求積した、盛土面積求積図が以下👇の図面です。
※とある案件の手続き用図面の一部を抜粋しています。
ケースバイケースではあるのですが、例えば、勾配の付いた敷地を部分的に底上げしてするような計画となる場合などに必要となってくる求積図です。
言葉だけではちょっと説明しにくいため、論点が逸れるのですが、図を用いてご説明しますと、以下👇のようなイメージになります。
右側の道路から見ると、敷地が少し上がっていて、左側の隣地へ向かって下がっていっているような敷地の断面イメージをスケッチしてみました。
※適当な絵で申し訳ないです。😅
図👆のように、概ね道路の高さに建てたくなるのは人情だと思いますが、この場合、敷地の形状は以下👇のようなイメージで、低い部分には擁壁(ようへき)を組みつつ上げて・・・
道路側の高い部分については、車も停めたいですから、道路高に近くなるようにカットしたくなりますよね。
これによって、以下👇のような切り盛り(切盛土)が発生することになるわけです。☝
このような切り盛りを伴う計画となる場合で、敷地面積が一定以上の場合に要求されるのが、「切土求積図」や、先ほどお出しした「盛土求積図」ということです。
説明が長いですよね・・・
相変わらず文才がなく、ご迷惑をお掛けします 🙏
次にご紹介する緑地面積求積図も同じく、現時点では座標求積が使われることは少なく、三斜求積による求積図となる場合が多いです。
要するに、測量屋さんが求積まで行うことにならなければ、普段は三斜求積が用いられるということです。🤔
緑地面積求積図
次に、緑化協議などが必要になると要求される、緑地面積求積図です。☝
求める範囲の性質は違うものの、面積の求め方は同じで、どんな変形であっても全てを三角形の集合体と見立てて、小学校で習った知識だけで求めてしまおう!という、三斜求積による求積図になります。
緑地の面積ですので、これもケースバイケースですが、複雑になるとしても、前項でご紹介した「切盛り求積図」ほどゴチャゴチャにはならない場合が多く、意外と審査も厳しくないのがこの緑地面積求積図です。😅
建物関係の面積を求める求積図
建物関係の面積は土地とは違って、通常は長方形や台形、変形であるにしても多角形や円になりますので、実は小難しい計算なんてしておりませんで、
単純に(ほぼ)小学校で習った、長方形や多角形などの面積の出し方のみを使って算出しています。😬
ですので、一見は取っ付きにくい図面じゃないかと思うのですが、計算の仕方自体はごく単純ですので、腰を据えてじっくり見てみて頂ければ、建物関連の求積図は、さほど難しい図面ではないものと思います。😉
ちなみに、建物関係の面積は、法律用語になるのですが、壁の「中心線」で囲われた範囲で求められますので、不動産の登記などで用いられる区分所有の「内法面積」とはニュアンスが異なります。
詳細については、今回は割愛しますが、要するに・・・ ☝
建築における面積は「建築基準法」に基づく数字なのに対し、不動産登記上は「不動産登記法」に基づく数字が使用されることによる違いです。🤔
細かい話は割愛しますが、建物関係の求積図は、主に建築基準法に適合しているかどうかの確認に使用することになるため、同法に規定された「建築面積(けんちくめんせき)」や「床面積(ゆかめんせき)」を算出するのがメインです。
※後半でその他の求積図もご紹介しています。
建築面積求積図
まずは、建蔽率(けんぺいりつ)の算出の基となる建築面積の求積図からご紹介しますと、以下👇の絵が「建築面積求積図」となります。
※この👆リンクはWikipediaさん「建蔽率」ページへのリンクです。
その他、次項でお話しする「床面積」の求積図というのもありまして、この「床面積」と「建築面積」では考え方が違うため、本来は別々の求積図に分けるものです。
※この👆リンクもWikipediaさん「床面積」ページへのリンクです。
・・・が、考え方は違うものの、一般的な建物の場合は似たような絵になりがちですので、筆者の場合、この👆ように1Fの床面積求積図と建築面積の求積図を兼用してしまったりします。😅
建築面積はリンク先のページで解説していますが、原則として「空から敷地を見下ろした場合に、敷地を覆っている建物の面積」になるため、床面積が最大の階の面積にプラスαで求められるケースが多いからです。
通常の場合、1Fの面積がもっとも広いことが多くなるため、1Fの床面積求積と兼用してしまう・・という意味です。☝
前章の土地関連の求積図と同様、通常は紙面の左側に求積図、右側に求積表という構成になる場合が多いです。
床面積求積図
次に、建築基準法にいう「床面積」を求めるための、床面積求積図をご紹介します。☝
まだ記事としてまとめられていないため、Wikipediaさんへのリンクばかりで恐縮なのですが、「床面積」は「容積率(ようせきりつ)」を求めるための、「延面積(のべめんせき)」に繋がる、各階の床の面積です。
「延面積」はWikipediaさんでも解説ページがありませんでしたので、後日まとめるようにしないといけませんね。
でも実は、「床面積」や「延面積」はとにかく奥が深いので、開設当初から二の足を踏んでいる所です。😓
以下👇は、前項でお出しした建物の6F部分の床面積を算出した求積図になります。
求積図と求積表で構成されるのは、今まで見てきた求積図と同様で、先の建築面積の求積図とも似たような図であることがお分かりいただけますよね。
あとは、住宅などの場合は階数も多くて3F建ですので、筆者は、建築面積も床面積も一緒くたにしてしまう、以下👇のような「各面積求積図」なるものにしてしまう場合もあります。😅
やや手抜き感もあるのですが、わざわざ分ける必要がない気がして、小規模な住宅の場合で、上下階の出っ張りや引っ込みが少ない案件ですと、こんな形の求積図で済ませてしまっています。😉
その他の建物関係面積の求積図
建物関係のその他の求積図です。☝
これも要求によって色々とあるのですが、ここでは建築基準法で求められる採光や換気、排煙などの適合確認のために用いられる「居室面積求積図」と、
不動産登記法による面積のような、部屋の有効面積を算出する、「有効室面積求積図」をご紹介しておきます。
居室面積求積図
まずは居室面積を求める、「居室面積求積図」です。☝
「居室」とは、要するに「お部屋」のことですので、単純な長方形のお部屋の場合などは、敢えて求積するほどの話にはなりませんから、やや変形した居室になってしまう際に必要となる求積図になります。
2階建てほどの住宅の場合は、居室形状は長方形で済む場合が多いのですが、4階建、5階建・・・となっていくと、上階から下ろしてくる設備配管を通すためのPSが必要になってきたりして、部屋が変形していく場合があります。
これらによって、変形した部屋が多くなったりすることで、パッと見では面積が読みづらい平面形状になってしまう場合に、この居室面積の求積図が必要になってくるという訳です。
マンション系の建物だと、得てして変形しがちですので、よく描くことになりますね。🤔
有効室面積求積図
最後に、建築ではあまり要求されることのない、室の有効面積の求積図👇も掲載しておきます。
※部分的な抜粋になります。🙏
筆者レベルの経験ですと、認可保育園(保育所)などを設計する際に、要求されるくらいでほとんど描くことがないのが、この「有効室面積求積図」になります。
いつもの、壁の中心線で計算する面積に慣れていると、有効面積を算出してください!等と言われると、一瞬「はて?🙄」となってしまって戸惑ってしまいますが、壁の厚みや器具や家具の外形を引いた数字を使って、同じように計算していくだけですので、大した話ではありません。😅
正直なところは、ちょっと面倒くさい🤐んですけどね。
今日のまとめ
本日は、建築図面の種類ごとにどんな図面なのか?を、恐縮ながら順不同にご説明していく、図面解説シリーズ!の初稿としまして、「求積図」とは何ぞや?というテーマで、色々と具体的にお話しして参りました。
あまり意識はしていなかったのですが、ご紹介する求積図を過去のデータから探しているうちに、意外と、色んな求積図が存在していることに改めて気付かされました。😅
何はともあれ、皆さんの何かしらの参考になれば幸いでございます。😌
本日も最後までお読みいただき、どうも有難うございました。🙏
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