今日は、建築図面の略語表記の中、立面図や断面図など縦方向の図面で見られる、主に基準線などに係る略語を整理します。👌
その他の略語解説でもお話ししていますが、明確な定義や決まりがある訳ではありませんので、設計屋や住宅メーカーさん、工務店さん等によって、残念ながら、微妙に表現が違ってきたりするものです。😓
ですので、今回は筆者の、縦方向の建築図面における略語をメインとして、過去に見たことのある略語もプラスしつつ、別表記の可能性のある部分などについては、その都度の補足を入れていきます。
色んなところで書いていますので、しつこいようなのですが・・・
筆者は、四半世紀ほどは、建築の設計業務にほぼ専門で携わっていますので、的外れな内容になることはないはずです。👍
建築図面を前にされて、見方が分からずお困りの方などがいらっしゃいましたら、何かしらの参考になれば幸いです。😌
以下👇の目次から、各項目にジャンプすることができますので、ぜひご活用ください。😉
※各項目末尾に「目次に戻る」ボタンも設置してありますので。
建築図面の略語シリーズ目次
まとめ始めて気付いたのですが、建築図面上で、我々はすごい膨大な数の略語を使っていたんですね!😵
最初は「建築略語の一覧表」的なモノを作りたかったのですが、多すぎて全然ダメでした。😞
一部、まだ準備段階のものもありますが、ほぼまとまってきていますので、整い次第、ここ👇にリンクを貼っていきます。😉
略語一覧表にはほど遠いのですが、その分、略語解説だけにこだわることなく、ザックリの用語解説まで入れてありますので、お役立ていただけると幸いです。😁
建築図面に略語が使われる理由については、第一弾👉「建築図面の略語を解説します①(平面図系)」のこの辺りでご説明していますので、お気になられる方はご覧になってみてください。
また、そもそもの図面の読み方(見方)については、住宅の平面図のものになりますが、こちら👉「図面の見方01」で、これもザックリなのですが一通り解説していますので、必要に応じて、合わせてお立ち寄り頂ければと思います。🤗
断面図や立面図で見かける略語
では早速ですが、建築図面の立面図や断面図などの縦方向の図面で見られる、主に基準線関係に係る略語の解説に入らせて頂きます。👊
重要なモノ、一般的なモノから順にご説明していき、関連する略語を続けたりしますので、順不同になりますこと、ご容赦願えればと思います。🙏
GL
読み方は「ジーエル」、英語表記ですと「Ground Level」ですので、この頭文字をとった略語が「GL」になります。
日本語訳だと「地盤面」になりますが、法律用語になりますので、とりあえず棚上げしまして・・・
一般的には「地面」や「宅盤」でいいと思います。
ただ、地面と言っても、実際の文字通りの、雑草が生えている地面の高さと必ずしも一致するとは限りませんので、仮想の地面であることもあります。
つまり「GL」は、高さの基準となる仮想の「地面」を示す水平線を表す略語ということです。
その他の表現として、次項でご説明する「SGL」や「設計GL」などと示される場合もあります。
※最近は「SGL」と表現することが多い気がします。
ほぼすべての基準となりますので、設計や施工上、とても大事な線になります。👌
SGL
通常、前項の「GL」と同じ意味で使用される、基準となる仮想地面を示す水平線を指します。
読み方は「エスジーエル」、「S」については英語表記の略ではなく、「設計」のローマ字表記「Sekkei」の頭文字を取った略になりますので、「SGL」は「Sekkei Ground Level」を表す略語ということです。
この「S」について、基準を意味する英語「Standard」の略だ!という方がいらっしゃいます。😐
おそらく間違いではないと思うのですが、日本人としてはローマ字表記「Sekkei」の略と考えた方がスマートかと思いますので、国内で見かける「SGL」については、そのようにお考えいただいて大丈夫です。👍
先の通り読み方は「エスジーエル」ですが、「設計ジーエル」と読んでいただいた方が、行き違いが少なくて済むはずです。😉
AVGL
法律用語になりますが、「平均GL」を意味する略語です。
読み方については、そのまま「エーブイジーエル」ですが、これでは伝わりませんので、「平均ジーエル」と呼んでください。😅
英語で「平均」を意味する「Average(アベレージ)」の前半の二文字を取って「AV」で表記しています。
この👆例のような形でなく、まっ平な敷地のど真ん中に建てる場合・・
「AVGL」つまり「平均GL」は発生しませんで、建物周囲に高低差がある場合のみに、「設計GL」とは別に発生するのが、この略語「AVGL」に示される「平均GL」です。
まっ平な敷地の場合で周囲に高低差がない場合は、「設計GL」=「平均GL」となりますので、図面上は表記されないのが一般的です。☝
法チェック上の仮想ラインになりますので、基準線でもありませんで、設計上も施工上もあまり大事なラインではありません。
ですが、法チェック上は非常に重要なラインになりますので、無視はできないのが、やや面倒です。😞
平均GLについては、計算の仕方などもご説明したい所なのですが、今回は略語の解説になりますので、次項👇のザックリ補足でご容赦願えると有難いです。🙏
「平均GL」の補足(地盤面とは?)
略語「AVGL」、つまり「平均GL」について、法律用語としての補足をしておきます。
まず、この通称「平均GL」の、純粋な法律用語としましては、「地盤面」が該当するのですが、これについては、建築基準法施行令、第2条2項に以下のように定義されています。
建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、
建築基準法施行令第2条2項
その接する位置の高低差が 3 mを超える場合においては、その高低差 3 m以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
ちょっと分かりにくいですよね?😅
要するに、建物の外周が地面と接する位置の高さの平均!ということです。☝
この略語「AVGL」に示される、「平均GL」については、簡易的な算定モデルを使って、実際の具体的な計算をしつつ、これを元にもう少し詳しく解説している記事がありますので、
必要に応じて、こちら👉「平均GLの計算の仕方」をご参照頂ければと思います。🤗
FL
略語解説でなく用語解説になってしまい、本論から逸れてしまいました。😩
・・・が、この説明が抜けると不親切な解説になってしまいますので、ご理解頂ければと思います。
さて、本論に戻りまして、次は略語「FL」の解説に入ります。👊
読み方は「エフエル」で通じます。
英語表記ですと「Floor Level」になりますので、この頭文字を取って「FL」と略しているということです。
日本語にしますと「床高」になりまして、一般的には床の仕上り面の高さを示しますから、基準となる床仕上り面の高さを表す略語ということになります。
床仕上り面は、2F建てであれば二層分、3F建てであれば三層分ありますので、その階数分の「FL」を、「1FL」、「2FL」、「3FL」などと表記します。
この例は在来木造ですが、他の「RC造」や「S造」、「SRC造」でも同じ認識で大丈夫です。👍
※軽量鉄骨の場合も原則として同じです。
ただ、木造であっても、いわゆる「2X4工法」の場合、床仕上げ面の高さでなく、床下地合板の高さを略語「FL」で表す場合もあったと思いますので、「2X4工法」の場合はややニュアンスが違う場合があります。
RFL
この略語「RFL」は、前項のFLに含めてもいいような気もするのですが、ややニュアンスが違いますので、別項目として分けました。😉
読み方としては「アールエフエル」で、これもそのままで通用します。
日本語の「最上階床高」を示す略語で、英語表記ですと「Roof Floor Level」になりますので、これの頭文字を取って、略語「RFL」で表されています。
通常、あまり出番がない略語ですが、以下のようなペントハウス付きの建物の場合で、基準となるペントハウス部分の床高を示す場合に使用されることがあります。
次項でご説明する略語「RF」は、先にネタバレしてしまいますが、周知の通り最上階を示しますので、最上階の床という意味で、屋上の部分の床仕上げ面基準を指しているような図面もごく稀にみられます。🤨
でも、通常は「屋根」とみますので、ここに略語「RFL」を使うケースは少ないはずです。
RF
この「RF」は建築図面に限らず使われている略語ですよね?
読み方は「アールエフ」で、一般的にはそのまま通じるはずです。😅
周知の通り、日本語で「最上階」を示す略語になりますが、英語表記ですと「Roof Floor」になりますので、これの頭文字を取って、略語「RF」となっているということです。
ここはこれ以上の説明は不要と思いますので、次に進ませて頂きます。💨
SL
次は、略語「SL」の解説です。
これは比較的重要なポジションの略語になりますが、ご説明の流れの関係で中盤になってしまいました。😩
読み方としては「エスエル」で、これもそのまま呼んでも通じます。
日本語ですと「床版」になりまして、英語表記「Slab Level(スラブレベル)」の頭文字を取って、略語「SL」とされています。
前半でご説明した略語「FL」と同様、「SL」は各階にありますので、階数の分だけ存在し、この図のように「1SL」や「3SL」などと表記されます。
屋上の「SL」の場合は「RSL」となります。
じゃあ「床版」って何?😲って聞かれると、ちょっと困るのですが・・ 💦
一般的には「コンクリートスラブ」などという用語で使われますので、平たく言うと、フローリングなどの12mmとか15mmという薄めの床板ではない、構造体になりうる厚めの床板といったところでしょうか・・・
この略語「SL」は木造では、基本的に使いません。
なぜなら、当たり前と言えば当たり前なのですが、床版(スラブ)という構造体がそもそもないからですね。😉
PL や PP
お次は、略語「PL」や「PP」をご説明します。
略語「PL」については、英語表記「Parapet Level(パラペットレベル)」の頭文字を取って「PL」。
もう一つの略語「PP」については、単純に前半の「Parapet(パラペット)」の中間の二文字を取って「PP」と略しています。
・・・が、両方とも要するに「パラペット」の天端高を示す略語になります。
読み方としては、「ピーエル」と「ピーピー」になりますが、これはそのままでは通じませんので、キチンと「パラペット天端」と呼ぶ方が無難です。
ちなみに、「Parapet(パラペット)」の日本語訳は、「欄干」とのことのようですが、要は、屋上などの落下を防止の立上りとお考えいただければいいのかな、と思います。🤔
とは言え、実際の役割としては防水の納まりのための立上りになるため、高くても60センチほどの立上りにしかなりませんので、落下を防止するためには、別に落下防止手摺を計画する必要があります。☝
PH
これも順番がやや前後してしまった感のある、略語「PH」です。
英語表記「Pent house(ペントハウス)」の頭文字を取って、略語「PH」が当てられているということになします。
読み方としては、「ピーエッチ」ですが、これはそのままではまず通じません・・。😩
通じませんので、先の「ペントハウス」と呼ばないといけません。
日本語ですと、なじみが薄い単語かと思いますが、おそらく「塔屋」になりますので、「PH」はこの塔屋を示す略語ということですね。
この👆図面では上は「PHRFPP」と表記していますが、「PH」の「RF」の「PP」の意味です。🥴
分かりにくいと思うのですが、要は「ペントハウス」の「最上階」の「パラペット天端」という意味の略語表記ということになります。
下段は「PHRSL」ですので、「ペントハウス」の「最上階のスラブ(床版)天端」という意味ですね。😅
分かりづらくて、スミマセン・・💦
「ペントハウス」とか「塔屋」とかって何だよ?😲
という件については、先ほど略語「RFL」の部分で出してしまいましたが、階数に算入されない範囲の、最上階に出っ張る階段室やエレベーターのシャフトなどを指します。
個人的には、エレベーターシャフト=ペントハウスではないような気がしますので、用語の使い方がちょっと違うかもしれません・・。😓
この略語「PH」で示される「塔屋」については、階に算入するとかしないとかについて、建基法の規定があるのですが、解説していると長くなってしまいますので、ここでは割愛させて頂きます。
機会があれば、どこかの投稿でご説明するように致します。🙏
RL
この略語「RL」は筆者は使いません。
読み方としては「アールエル」でしょうが、聞いたことがありませんので、間違いなく通じないはず。
英語表記だと「Roof Level」ですので、これの頭文字を取って、「RL」と略しているということと思われます。
日本語だと、「屋根レベル」でしょうかね?
屋根の水平基準線的な意味合いかと思うのですが、「RC造」や「S造」、「SRC造」と考えると、一般的には略語「RSL」を使いますので、木造で使うのかな・・・
木造も4~500件ほどは関わっているはずですが、見たことはないですね。🙄
経験不足で、説明があいまいになってしまって、申し訳ありません。🙏
STL
最後の略語「STL」の解説です。
読み方はそのまま「エスティーエル」。
英語表記「Steel Level(スチールレベル)」の前半の頭文字二文字と、後半の単語の頭文字一文字を取って、「STL」です。
日本語だと、要は「鉄骨の天端」の意図になりますから、この略語として「STL」が使われる場合があります。
ですので、使われるとしても、「S造」や「SRC造」の縦方向の建築図面で見られるくらいです。
「S造」や「SRC造」であっても、一応スラブ(床版)はありますから、筆者は「SL」を使う方が多いですが、「S造」の場合、スラブ(床版)をコンクリートでなく、ALC板で作る場合がありますので、その時はこの略語「STL」を使うようにしています。🤔
そう考えると、「SRC造」の場合は、スラブ(床版)をALC板で作ることは、まずないのではないかと思いますので、「STL」が使われることがあったとしても、さほど多くはないような気がします。
なお、この略語「STL」も、既述の「FL」や「SL」のように、各階ごとにありますので、先👆の図のように各階でFLとの関係が出てくることになります。
CH
遅ればせながら・・・、本日は2021年11/16ですが、書き忘れていた略語「CH」について追記します。🙏
「CH」は主に断面図や矩計図で見られる略語になりまして、英語表記「Ceiling height」の二つの単語の頭文字を取って、「CH」と略されます。
英語表記の「Ceiling height」を、日本語に翻訳すると「Ceiling」は「天井」、「height」は周知のとおり「高さ」という意味合いの単語になりますので、要は、「天井高」を示す略語と言うことになります。
ちなみに「Ceiling」は日本語英語にすると「シーリング」に当たりますので、よく見かける「シーリングライト」は天井付け照明器具、「スロープシーリング」は勾配天井を示している・・ということで、繋げて頂ければ覚えやすいですよね。😉
今日のまとめ
今日は、一般の皆さんには認識しにくい場合もあると思われる、建築図面中の略語の内、立面図や断面図といった縦方向の図面に使われる略語を、筆者の知りうる範囲で、ご紹介しつつ解説して参りました。😐
この投稿が略語解説シリーズの二番目に当たる②になるのですが、他の三本に比べて、項目数が思ったより少なくて、ちょっと物足りなさが残ってしました。😅
他の略語を思い出したら、また順次追加していくように致します。
毎度のことながら、本日も、最後までお読みいただきまして、どうも有難うございました。🙏
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