今日は、雨樋の種類の調べ方を解説します。
おそらく一般の方から見ると、どこのお宅も同じような雨樋にしか見えないと思いますし、実際に似たようなモノしか存在しないため、雨樋の種類は分かりにくいと思うのですが、着眼点を間違えなければ、さほど難しい話ではありませんので、ぜひチャレンジしてみて下さい。🤗
「雨樋の種類」と書きましたが、要は、ご自宅などに使われている「軒樋」や「縦樋(竪樋)」が、どこのメーカーの何というシリーズ(種類)の雨樋なのか?を調べるやり方を、実際に筆者の建売マイホームで行った手法を元に解説していきます。☝
後述もしますが、「軒樋」は屋根の先端にくっ付いている雨樋。
「縦樋(竪樋)」は、外壁などに縦方向(垂直方向)に取り付いていて、前「軒樋」からの水を受けて、地面まで落としてくる雨樋を総称しています。
雨樋の種類も似たようなモノが多いわりに、部材や呼び名などが多岐にわたるため、限定しにくい類かと思いますので、参考にして頂ければ幸いでございます。🙂
なお、例によって、長くなるかもしれませんので、必要に応じて、目次をうまくご活用いただければと思います。😌
雨樋の種類を調べることになった経緯
筆者の建売マイホームで、実際に雨樋の種類を調べることになった経緯をお話ししておきます。😓
お急ぎの方は右下の黄色い「飛ばすボタン」より次章へジャンプしてください。👌
まずは、以下👇の写真をご覧ください。
他の投稿でお話ししている通り、2014年秋に新築として引っ越していますので、年数でいえば、たったの築6年ちょっとなのですが・・・
築6年にしては、だいぶ汚い外壁ですよね?😅
別の投稿でご紹介しようと思って、まだ準備中なのですが、実は雨漏りをしています。😫
その雨漏りが原因なのか、単なる汚れなのか・・・
直してみれば分かるのですが、直そう直そうと思いながら、後手後手に回っておりまして、すでに雨漏り発見から半年も経ってしまっている状況。🥶
くれぐれも皆さんは雨漏りを半年も放置しないようにしてください!
建物の寿命を極端に縮めてしまいますし、放置しっ放しだと、余計な復旧費用が嵩むことになって後悔しますので。☝
何より非常に不健全ですよね。😞
話がやや逸れましたが、この小汚い外壁の汚れた部分のトップに付いているのが、雨樋の部材名で言うと「角ます」などと呼ばれる部材なのですが、これを上から見ますと、こんな👇風になっています。
おかしい箇所があるのですが、お分かりになられますかね?👀
要するに・・・
この「角ます」の上に付いているはずの蓋がないんです。😨💧
デッキと絡んでいる部分なので、ちょっと分かりづらいかもしれませんが、他の所で見ますと、この👇ように蓋が付いているのが正常です。
この蓋を敢えて外してみますと・・・
こんな👇状態になりますので、先ほどの雨漏り箇所の「角ます」の状態ができあがる訳です。
そんなことで、雨漏りの原因と関係があるか/ないか?、なぜ蓋がないのか?などの諸々の疑問はさておき、少なからず外壁を汚しまくっていることは疑いようのない事実ですので、この「角ます」の蓋を取り寄せるため、雨樋の種類を調べることになったのです。😉
雨樋の種類の基礎知識
では、雨樋の種類の調べ方のお話に入っていきます。
まずは、どの部材が何と呼ばれる部材なのか?、つまり部材名や部位名を知らないことには、調べようもありませんので、この辺りからザックリご説明していきましょう。👊
雨樋の部位名と部材名の概要
各メーカーで少し呼び方が違う場合がありますし、我々の間でも色んな呼び方があって紛らわしいのですが・・・
主な部材についての呼称を、実際の写真に、筆者の知る範囲でザッと書き込んでみました。👇
大きめの文字で入れてある①~④はどちらかと言うと「部位名」、小さめの文字で書いた⑤~⑥は「部材名」に当たる名称かと思います。
筆者の建売マイホームで問題となっている「角ます」は、ここではありませんが、一般的な部分でご説明した方が、皆さんのお役に立つかな・・・との配慮からです。😋
ちなみに「角ます」については、これも色々と呼び名がありますが、タキロンさんでは「化粧Lボ(エルボ)」、Panasonicさんでは「角丸チーズ」や「角ますマルチ」などとも呼ばれているようです。
※筆者がよく使う、セキスイさんでは「角ます」です。
直観的にお分かりになられるかな、とは思いつつなのですが、各雨樋部材の用途を念のため簡単にご説明しますと・・・
- ①軒樋:
屋根面に降った雨水を集める役目 - ②縦樋(竪樋):
屋根の雨水を地面まで落とす役割 - ③呼び樋:
軒樋で集めた雨水を縦樋(竪樋)に流し込む - ④集水器(じょうご):
軒樋の雨水を呼び樋に落とし込む
雨樋の部位名と部材名の詳細
このページに辿り着かれている方はご存じだと思うのですが、雨樋の部材は、とにかく多岐にわたります。😵
しかも各メーカーによって、呼び名が違ったりもしますので、非常に認識しにくいのですが、積水さんの呼び名で、軒樋~縦樋(竪樋)を構成する部分の部位名をザッと整理しますと、以下👇の図のようになります。
上段が軒樋の構成と部位名、下段が縦樋(竪樋)の構成になっていまして、左が角樋の場合、右が丸樋の場合の構成と部位名になっています。
残念ながら、全てのメーカーの部位名などを、ここでご紹介することはさすがにできませんので、各メーカーさんごとの細かい部材名をお知りになられたい方は、大変お手数なのですが、以下のリンクからご参照いただければと思います。
- セキスイさん雨樋カタログ
- Panasonicさん雨樋カタログ
タキロンさん雨樋カタログ
※セキスイさんは全ページ(100ページ超)がダウンロードされます。
※211231追記タキロンさんは削除されてしまったようです。😫
雨樋メーカーは他にもありますが、住宅系の雨樋を扱っている主要メーカーとしては、筆者が現時点でよく見掛けたり、よく耳にするメーカーとして思いつくのは、この三社です。
とは言え、ただ漠然とカタログを眺めるだけだと、雨樋の種類はそうそう簡単には調べ切れないはずのですので、まずは次項以降をお読み
いただいてから、戻られた方がきっと早いです。👌
雨樋の種類の調べ方:机上編
さて、何となく部材の呼び名が把握できたものと思いますので、雨樋の種類の具体的な調べ方のお話に入っていきますが、調べ方としましては、大きく分けて二つの方法があります。
ひとつは、当たり前と言えば当たり前の方法論なのですが、机上で設計や施工情報を元に調べる方法。
←これを「机上編」としまして、ここでお話しします。
もう一つは、今回のメインテーマに当たる、実際に現場で使われているモノから雨樋の種類を限定していく方法です。
←これを「現場編」としまして、次章にてご説明していきます。
設計や施工情報を元に雨樋の種類を調べる
この、机上で雨樋の種類を調べる方法は、説明するほどの話ではないような気がしますし、そもそも雨樋だけでなく、建築で使われる部材すべてに運用できる、基本的な調べ方になりますので、サラッと流させていただきます。😉
設計図書で調べる
例えば、設計図書に明確にその記載があって、特に変更が生じたご記憶がない場合は、(ほぼ)それで決まりです。😤
・・・と言いたいところなのですが、現実的には、設計は設計であって、コストや工務店さんの取引ルートの関係で、施工の段階で変更されてしまうこともしばしばで、しかも勝手に変更されているような場合も少なからずありますので、残念ながら100%ではありません。
設計図書(建築図面)の中から調べるとしますと、中々そこまで表現することは少ないのですが、例えば「仕上表」か「仕様書」と謳われている図面に記載がある場合があります。
原則として、文字だらけの図面になりまして、こんな👆感じのモノ。
通常の場合は、製本の前半に入っている図面です。
竣工図(完成図)で調べる
設計図書に見当たらない場合、次は「竣工図」という図面一式か製本を探してみてください。
「竣工図」とは、設計図書とは別の性質の、一般の方から見ると違いが分かりにくい図面になるのですが、要するに、施工の段階で変更になった点について、施工者サイド(←工務店さんなど)が、「最終的にこんな建物になりましたよ」という意味合いで、引き渡してくれる建築図面一式です。
※ここで見るべき図面も「仕上表」か「仕様書」です。
そんな性質の図面になりますので、細かい仕様の変更や設備配管や配線ルートの変更なども、基本的に反映されている内容になりますから、もちろん使われている雨樋の種類などの記載もあるはずですので、この「竣工図」があると、とても楽ちんです。😍
・・・なのですがっ!😲
この「竣工図」については、おそらく住宅規模の場合は、残念ながら、作成してくれる工務店さんや住宅メーカーは少ないはずですので、正直なところ、あまり現実的ではありません。😩
「竣工図」は工務店さんの協力を得られないと作成できませんし、施工の結果を反映する図面一式になりますので、基本的に施工者サイド(←工務店さんなど)で作成する図面になります。
本来は、住宅の規模であっても、よっぽど軽微な工事でない限り、作成されるべき図面なのですが、予算や技術の問題もあって、中々実現できていないように思います。
筆者も床面積500㎡を超えると、工務店さんに作るようにしつこく言うのですが、500㎡くらいだと、まだまだ対応してくれない場合が多いですね。😓
もっとも手っ取り早い方法
もっとも現実的で手っ取り早いのは・・・
敢えて言うまでもない話ですが、建ててくれた工務店さんや住宅メーカーに電話して聞いてみる!というのが、ベストですよね。😜
引き渡しの際にもらった沢山の書類を漁ったりするなんて、メンドくさいこともしなくて済みますので、「いい関係😘」が保てていらっしゃるなら、間違いなく、これが一番手っ取り早いです。👍
本来は、そもそも第三者に聞いたりすることなく、見れば見るだけで把握できるべきだとは思うのですが、恥ずかしながら、建築業界はそこまで便利なシステムになっておりませんので・・・😩
現状では、この方法がベストかと思います。
・・・が、筆者のように、建てた業者何かと一切関わりたくもない!😤と思っている方々も多くいらっしゃるでしょうし、そもそも、この記事に辿り着かれている時点で、おそらく「とにかく自分で調べたいんだ!😣」とか、「付いているこの雨樋の種類が知りたいんだよ!😲」いうことだと思いますので、前置きが長くなってしまって申し訳ありませんでしたが、次項より、メインテーマに当たる、実際の現物から自分で雨樋の種類を調べる方法のご説明に入っていきます。👊
雨樋の種類の調べ方:現場編
では、実際に取り付いている、目の前の雨樋から、その種類を調べる方法です。
まずは、雨樋の種類を限定していくポイントからご説明し、中盤で二つの具体的な方法について解説・・・
最後の項で筆者の建売マイホームの軒樋を例に取って、実際の雨樋種類の特定作業をご紹介する流れで進めていきます。😉
雨樋の種類を調べるポイント
ポイントとしては、交換したい雨樋の部材が、仮に縦樋(竪樋)の直部(まっすぐの部分)であったとしても、その形状に特徴のない部分には着目しません。
また、まずは色も無視して頂いた方がいいです。
なぜなら、色については、よっぽど特殊な雨樋を付けていない限り、基本的にどこのメーカーも同じような色味ですし、陽当たりによって、数年で色味は変わってきてしまっているためです。
これ👆はちょっとひどい例ですが、左側の「表側」が西日が厳しい面。
右側の「裏側」は陽が当たらない面ですので、元の色「黒っぽい焦げ茶色」が残っている状況です。
「表側」なんて、完全に色が飛んでしまっていますよね?👀
縦樋(竪樋)の形状についても・・・
これもどこのメーカーの雨樋を見ても似たり寄ったりですので、径が60φか75φか・・・
断面形状が丸系か/角型か・・・くらいの違いしかありませんので、これも特殊な断面形状の縦樋(竪樋)でない限りは、ヒントが見つからない場合が多くなりますから、基本的に着目しない方がいいです。
逆に言うと、60φなら60φで、各メーカー間で互換性があるかもしれませんね・・・
実際に嵌めてみないと何とも言えませんが。🤨
※ちなみに、一般的な木造住宅の場合、雨樋というか縦樋(竪樋)は60φが基本になります。
では、雨樋の種類を調べる際に、どこに着目するのか?と言いますと・・・
もったいぶらずに書きますが、「形状に特徴がある部材」か「種類(品名やシリーズ名)の記載がありそうな部材」から見ていくことになります。😉
外観形状から実際の雨樋の種類を調べる
雨樋の中で、形状に特徴がある部材・・・
であれば、どこでもいいのですが、筆者は軒樋(屋根の先端の雨樋)の断面にまず着目するようにしています。
この👆写真は筆者の建売マイホームの軒樋なのですが、バルコニーに出ると見えますので、今回はまずここからスタートしました。
バルコニーの床からですと近づけないため、手すりによじ登って観察します。👇
バルコニーの手すりによじ登るのは危険ですので、低めの脚立などで近付くようにしてください!
筆者の建売マイホームでは、バルコニー周りの2F床レベルに木製デッキが敷き詰めてあるため、落下したところでたかが知れていますが、通常のバルコニーの場合は、下手すると地面まで落ちてしまいますので。🥶
昔ながらの「半円形」でなく、最近のタイプですので「角型」と呼ばれるタイプです。
ただ、なぜか左右対称ですよね?🤨
軒樋というモノは、通常は正面しか見えてきませんので、以下👇のように片面だけが成形されていて、片側の立ち上がりが低いような形が一般的なのですが、相変わらず全般的に意味不明で、心の底から不合理な筆者の建売マイホームです。😩
※きっと安価なんだろうと思います・・・ 😣
ちなみに、この👆「PC50」はコストパフォーマンスが高いシリーズのひとつで、Panasonicさんの「シビルシケア」という雨樋の種類(シリーズ)なのですが、非常に広く、かつ古くから普及している軒樋になりますので、雨樋種類を調べようとしている軒樋が、仮にこんな形状の断面であれば、まず最初に疑った方がいいかもしれません。
※少なくとも15年ほど前から存在している大ロングセラーです。
参考までに以下に断面寸法を掲載しておきましょう。😉
ちなみに、この👆PC50と並んでよく使われるのが、同じくパナさんのシビルスケアに「PC77」という雨樋種類がありますが、その外観写真と断面寸法も貼っておきますので、軒樋からお調べになられる場合はチェックしてみてください。
あんまりいい画像がなくて申し訳ないのですが、外観としてはこんな👇感じですので、見た目は先のPC50とほぼ同じにしか見えないかもしれないのですが、この「PC77」の方がちょっと大きめです。
大きめということは、要は、雨の排水能力が高い・・・、
つまり処理できる雨水の排水量が多い、ということに他なりませんので、30坪くらいの建売レベルでは、あまり使われることはなく、特に屋根面が大きめの注文住宅などの場合に、採用されることが比較的多くなる雨樋の種類ということになります。
断面寸法は以下のような感じですので、見比べていただくとお分かりになられると思うのですが、先のPC50と比べると、寸法的には1.3~1.4倍くらいですので、容量としては2倍弱ほど。
あくまでも筆者の経験上の話にはなるのですが、いずれもよく使われていますし、大ロングセラーの製品ですので、軒樋から調べる場合は、最初にチェックしたい雨樋の種類(シリーズ)になります。👍
さて、話の方向性がややズレてしまいました💧ので、筆者の建売マイホームでのお話に戻ります。
今回のように左右対称の場合は、軒樋の種類が限られてきますので、この時点である程度は絞り込めるのですが、雨樋の種類ごときを調べるために何回も手すりによじ登るのは面倒ですから、以下のような形で、ザックリでも構いませんので、外形寸法を測っておくことにします。
なぜザックリでいいのか・・・と申しますと、この「止まり」材は実際の軒樋の寸法より、数ミリは大きくできていますし、大枠を把握するだけで、意外と雨樋の種類が限定できたりするためです。😜
とは言え、正確に計測できる場合は、正確に測っておいた方が間違いはありません。☝
ただ、不安定な状況での計測になる場合が多いと思いますので、あまり無理をしない方が賢明です。
逆に、安全な状態で、無理なくキチンと計測できる場合は、ノギスなどを使って、正確に測っておいた方が出戻りは少なくなります。
ま、当たり前と言えば当たり前ですね・・・ 😅
基本的に、この段階で・・・
あとは、各メーカーのカタログなどを使って、軒樋の寸法や外観形状を片っ端から調べ上げていけば、この軒樋については、その雨樋種類(シリーズや品名)は特定することができる場合が多いです。👍
※実際の特定作業は次々項を参考にしてください。
ただ・・・
実は、残念なことに、この軒樋の種類が分かったところで、雨樋に係るすべての部材が、その雨樋の種類(シリーズ)で構成されているとは限らなかったりします。😱
つまり、例えば・・・
軒樋はパナさん、縦樋(竪樋)は積水さんで構成されている、なんてこともありますので、一個所の雨樋の種類(シリーズ)が把握できたところで、完全に終われない場合もあります。😓
次の次の項で、カタログ画像などを用いて、具体的な断面形状や写真と現物を比較しながら、筆者の建売マイホームでの軒樋での、雨樋の種類(シリーズ)の特定作業をご紹介しています。
そのような形で、知りたい部材の種類(シリーズ)の調べが付いた場合、もちろんそこで完了ということで問題はありません。
ここ👆でお伝えしたいのは、軒樋の種類(シリーズ)から、別の雨樋部材の種類(シリーズ)を推測する場合、追加調査が必要です、という点ですので。🙂
ですので、雨樋の種類(シリーズ)が知りたい部材が軒樋の場合は、ここまでで大丈夫ですが、軒樋でない別の部材の種類(シリーズ)が知りたい場合は、次項を追加調査として、実施していただくことをお勧めします。
刻印から雨樋の種類を調べる
では、品名やシリーズ名、メーカー名など、雨樋の種類を特定するヒントになりそうな記載がある部材に着目する方法です。
「記載がある」と言っても、当初は印刷された文字が残っていたりする部材もあるのですが、数年で消えてしまいますので、印刷ではなく、「刻印」とでも言いましょうか・・・
型押しで部材自体に刻み込まれた印に着目します。
具体的な写真をお見せした方が認識しやすいと思いますので、実際の雨樋の写真を用いてご説明しますと・・・
これ👇、どこの部材だかお分かりになられますでしょうかね?🙂
そうです!
縦樋(竪樋)の継手(ジョイント)部分ですよね。
もう少し引くと分かりやすくなりますが、まさに縦樋(竪樋)のジョイントであることが分かります。
上の横長六角形内に刻まれている文字は「‘S’-lon(エス-エル・オー・エヌ)」か「‘S’-Ion(エス-アイ・オー・エヌ)」でしょうかね・・・ 🤨
「‘S’-10n(エス-10・エヌ)」とも読めますが、ひとまず下段の記載は「K」と「60」ですよね。
「60」については、木造住宅の縦樋(竪樋)はそもそもほとんどが「60φ」ですので、この径の呼称を示していることくらいは容易に察しが付かれると思います。
ちなみに、この横長六角形の刻印については、最初に書いた「‘S’-lon(エス-エル・オー・エヌ)」が正解で、積水化学さんの雨樋シリーズ全般の商品名「エスロン」を示しています。
結果、積水化学エスロンの呼称「60」の縦樋(竪樋)だということが読み取れた、ということになります。
先の「K」については、何とも微妙なのですが、個人的には色名の表記かな・・・と思っています。
築17年ほどの実家の雨樋の写真ですので、現行のモノとは異なるものと思われますが、現行の色名だとした場合、「K」は「黒」に該当します。
どう見ても「黒」には見えないのですが。🤨
要するに、このような刻印や記載にメーカー名などの雨樋種類を特定するヒントがある場合が、往々にしてありますので、こんな記載を探して、これに着目してみましょう!ということです。
参考までに、引続きまして、他のお宅の雨樋の写真でも見てみます。🤗
以下👇は、とある別のお宅の、バルコニーの排水を縦樋(竪樋)に繋いでいる部分の写真です。
左側がバルコニーからの排水。
右上から来ているのが縦樋(竪樋)になりますが、その縦樋(竪樋)の中間に左側のバルコニー排水を接続するための部材が、中央に写っている「P型集水器」や「寄せマス」などと呼ばれる部材になります。
左上に写っている直方体は、今回、筆者が雨樋の種類を調べることになったきっかけにもなっている、既述の「角ます」です。☝
この写真の場合、パッと見だと、そのままスルーしてしまいそうですが、少し拡大して見ますと、「P型集水器」の中段付近に、以下👇のように何かしらの記載(刻印)があることが分かります。
地面から3mほどの高さですので、脚立がないと読めないのですが、何かしらが書かれていることは分かりましたので、手に届く範囲の周辺部材で、同様の記載(刻印)がないか探してみますと・・・
あっ!ありました!👇 🤩
何を意図する表示なのか、パッと見だとさっぱり分お分かりになられないと思うのですが、この軍配マークのような刻印は、デンカさんの雨樋シリーズであることを示しています。
「デンカ」さんの呼称「60」の縦樋(竪樋)だ・・というところまでは把握できる、ということになります。
ただ、実は、デンカさんは2019年頃、雨樋の製造販売から撤退したと聞いていまして、実際にWEBページを探しても、会社自体のホームページは見つかるのですが、雨樋の種類関連のページについては、片っ端から「Page Not Found」になってしまいますので、おそらく実際に撤退されているものと思われます。
ですので、部材の交換をしたいような場合、せっかくメーカー名が特定できたとしても、残念ながら交換部品の入手ができないことにはなってしまいますね。😟
また、ここでも縦樋(竪樋)の継手部材、つまりジョイント部材ですので、お探しになられる場合は、ジョイント部材から始めるといいかもしれません。🤗
縦樋(竪樋)製品にも当初は、品名などの文字が印刷で入っていたと思いますが、入っていたとしても、数年ですぐ飛んでしまいますので、縦樋本体には着目せず、このような付属部材に着目し、刻印を解読した方が、雨樋の種類を特定しやすいです。
この刻印については、メーカー名などを特定するのに非常に役に立つのですが、一般の方には分かりにくいはずです。
名古屋の「斉田株式会社」という屋根屋さんだろうと思いますが、サイトのこのページで樋関係のロゴが一通り掲載されていまして、古いタイプのロゴなども掲載されています。
実際に刻印をお探しになられる場合は、参考になるはずですので、外部サイトになりますが、ご覧になってみて頂ければと思います。
筆者の建売マイホームの軒樋の場合
さて、また筆者の建売マイホームの雨樋の話に戻ります。
実は・・・
触れずにスルーしてきてしまいましたが、筆者の建売マイホームの雨樋にも似たような刻印と記載が見られました。😅
例えば、先ほど寸法計測箇所で掲載した、軒樋の「止り」部材に、以下👇の赤矢視の部分に何かしらの記載(刻印)が見られます。
お気付きの方もいらっしゃったかと思いますが、話の構成がややこしくなってしまうため、わざとスルーして進めてきました。😅
わざと!ではありますが、悪気のある「わざと!」はありませんので、ご容赦ください。🙏
拡大してみますと、以下👇のような二つの刻印がありました。
右側の「U-80」は、おそらく品名かタイプ名と大きさであろうことは何となく把握できます。
左側の刻印については、いわゆるロゴだと思われますので、前掲のモノと同様に、メーカー名か何かを解明するための大きなヒントになるはずなのですが、筆者も初めて見るマークですし、ちょっと分かりにくいですね・・・
左側は、アルファベットの「D」を左右反転させた文字、右側は「K」でしょうかね。😧
はっきりは分からないものの、既述の通り、大きなヒントに繋がる可能性が高いです。👌
念のため、別の個所も探してみますと、同様の縦樋(竪樋)ジョイント部分では、残念ながら見つからず、代わりに以下の「エルボ」の側面に、ロゴと記載が見つかっています。
「エルボ」は、直部のジョイント、つまり「継手」ではない訳ですが、曲り部分のジョイント「仕口」ですので、ある意味、先ほどと同様の部材ということもできるかな・・と思います。
どうでもいい豆知識ですし、建築用語でなく、日本語としてそうなのかも知れませんが、「継手(つぎて)」は直部の接合部、「仕口(しぐち)」は直交の接合部を表します。
拡大すると、こんな👇感じです。
先ほどのよく分らない刻印と、「60X75度」との刻印がありますので、おそらく雨樋径の「60φ」と、曲り角度の「75度」を示していることが推測できます。
ロゴ的な刻印の方は、同じモノが共通で入っていることになりますので、メーカー名かシリーズ名か・・・
いずれにしても、この雨樋の種類を特定するための大きなヒントになることは間違いないのですが、先の通り、筆者も見たことがないロゴですし、探し方が悪いのかもしれませんが、情報が中々見つかりませんでした。😣
でも、やっぱりこの刻印が何を示しているのか分からないと、どうしようもないですよね?🤨💧
正直なところ、この雨樋の種類を使われているお宅自体は、さほど多くはないものと思いますので、皆さんにとってはあまり重要な話ではない可能性もあるのですが、困られている方もいらっしゃると思いますので、一応、以下にザッとまとめます。
蛇足になる方もいらっしゃると思いますので、折りたたんでおきます。😌
必要に応じて、以下を展開してご参照頂ければと思います。
中々有益な情報が見つからず、色々なキーワードで検索したため、どのワードで引っ掛かってきたのか分からなくなってしまったのですが、
先ほどの軒樋止り部材上に刻まれていた「U-80」をキーワードの基本として、検索した結果を漁ってみていたところ、(たまたま?)以下👇のカタログが引っ掛かってきました。
恥ずかしながら聞いたこともないメーカー名でしたが、字面(じづら)だけで見ますと、「ダイカ」ですので、アルファベットだと「DAIKA」。🤨
※正式な社名は「ダイカポリマー(株)」です。
そう言えば、先ほどのよく分からないロゴでは、左側がアルファベットの「D」を左右反転させた文字に見え、右側は「K」に見えたところでしたが・・・
楽観的に見ますと、いずれの文字も「DAIKA」には含まれていることから、何となく関係がありそうな感じ・・・。😳
ページをめくってみますと・・・
ありましたね! まさに「U-80」との品名が!😘
さっそく形状を確認してみることにしまして、さらにページをめくりますと・・・。😳
軒樋の掲載箇所が見つかりました。👇
具体的な寸法を見てみますと、トップの巾がW1ですので、下の表から119mm、高さは52mmとの記載になっています。
筆者の建売マイホームでの計測結果は、「止り」部材の寸法で、高さ≒55mm×トップの巾≒120mmでしたので、おおむね合致していることが分かります。🤔
とは言え、実測での計測値は、あくまでも「止り」部材の数値ですので、このU-80の止り部材の寸法を知る必要がありますから、そのページを探したのですが見つからず・・・ 😰
外観のみの掲載でしたが、以下👇のページは見つかりました。
筆者の建売マイホームの軒樋の止り部材は、この👇ような形状でしたので、色違いはあるとしても、見た目は同じですよね?
ここで、このダイカさんの雨樋種類、「U-80」であることは99%くらいは特定できた気がしますが、100%の情報とするために、外形寸法の確認がしたいこと、あとは、筆者が今回調べようとしていたのは、「軒樋」ではなく、そもそも「角ます」でしたので、さらに詳しい資料が必要です。
先のカタログには、この👆位の情報しかなかったため、ダイカポリマーさんのサイトで、さらに調べてみることにしました。
いつもなら会社名を検索窓に打ち込めば、すぐヒットするはずのですが、なぜか見つからず・・・
ここで大きな壁にぶつかってしまいました。😖
東京商工リサーチさんサイトの2017年7/6付けの記事ページからのスクリーンショットでして、まさかの倒産疑惑・・・ 🥶
「事業譲渡」と書いてありますので、読み進めてみますと、どうやら「クリモトポリマー」さんという企業が引き継いでくれているようです。
ちょっとお門違いかな・・・とも思いつつ、先日「旧ダイカポリマーの・・」ということで、この「クリモトポリマー」さんに資料請求メールは送ってみたのですが、今のところ、まだ返事はありません・・・。
そんなことで、そもそもの「角ます」の調査については、現時点では、頓挫しかけている状態になってしまっています。😞
[21.04/08追記]
先ほど「クリモトポリマー」さんから、電話でのご丁寧な回答を頂戴しました。😌
聞くところによると、「事業譲渡の際に、旧ダイカポリマーの事業を基本的に引き継いでいるが、雨樋部門については切り捨ててしまったため、資料は何も残っていません!」とのこと。
つまり、カタログや承認図を使って、雨樋の種類を特定していく調査はこれ以上は進められず・・・、
かつ、新たに部材を購入することもできない!ということになってしまいました。😱
まったく困りましたね・・・。😟
ダイカポリマーの雨樋については、また別の投稿でお話ししようと思っていますので、追加情報などがありましたら、またお知らせするように致します。
築6年強でこの有様ですので、古めのお宅の場合、せっかく雨樋の種類(シリーズ)などが特定できたとしても、交換部材の入手自体が難しい場合も、大いにありそうですね。😓
ま、使われている雨樋の種類が廃番になっていたりすると、そもそもが入手自体はできないことになってしまうのですが・・・。
具体的な雨樋の種類の比較例(軒樋)
さて、筆者の建売マイホームの軒樋がどうであれ、ダイカポリマーがどうであれ、今回は「雨樋の種類の調べ方」の解説だったはずですので、気を取り直しまして、引続き筆を進めていきましょう。🤗
先の通り、今回は、軒樋の寸法を計測した際に、ヒントになる種類の記載(刻印)が思いがけなく見つかりましたので、比較的スムーズに雨樋の種類(シリーズ)がほぼ限定できてしまったのですが・・・
「ヒントになる記載(刻印)」が見つからなかった場合などについては、既述の通り、基本的に、カタログなどを使って外観や断面形状を調べ上げて、計測結果と比較していくしか方法はありません。
刻印が必ず見つかるわけではありませんので、この比較作業の過程もご紹介しておきます。
左右対称の軒樋の場合、それだけである程度のシリーズ名が限定できるとお書きしましたが、例えばパナソニックさんの場合「パラスケアU105」、積水さんの場合「ライナートップX40」と「ライナートップX70U」というシリーズが、これに当たります。
実際に、筆者の建売マイホームの雨樋の種類(シリーズ)は他社製品でしたので、その他のメーカーのモノも存在すると思います。
ですので、100%でなくて恐縮なのですが、あくまでも主要メーカーの中で!との解釈でご理解いただけると有難いです。😓
タキロンさんは、改めてカタログを見てみましたところ、住宅用雨樋では、現時点(2021.4/7現在)でカタログ上には、「角型」の軒樋は以下👇の4通り、シェイプリーラインというシリーズの「TRU110」と「TRU75」、ジェットラインというシリーズの「J135」と「J170」しかありませんでした。
210102追記
タキロンさんのカタログページへのリンクをここ👆に貼っていたのですが、年末に削除されてしまったようで、リンクが切れてしまいました。🙏
切り替えのタイミングなのかもしれませんね・・・ 😞
ですので、過去の雨樋製品は分かりませんが、差し当たって、現行品では左右対称形状は取扱いがないみたいですね。😕
雨樋の種類としては他にも掲載がありましたが、いわゆる「半円形」のタイプが多いようでしたし、半円形以外の製品はそもそも左右対称ではありませんので、今回は、パナさんのパラスケアと、積水さんライナートップの形状で具体的に見ていくことにします。
PanasonicパラスケアU105の外観と断面形状
「パラスケア」自体、聞いたことはありましたが、本業の方で使ったことはありませんでしたので、まずは形状を確認しておきます。
Panasonicのパラスケアの製品ページを参照しますと、以下👇のような情報が掲載されています。
右側にも色々と書いてはあるものの、今回は関係ありませんので、左側の断面寸法の部分のみに着目しますと、まずは大前提の左右対称形状であることが分かります。
具体的な寸法を見てみますと、トップの巾が114mm、高さは50mmとの記載です。
筆者の建売マイホームでの計測結果は、「止り」部材の寸法で、高さ≒55mm×トップの巾≒120mmでしたので、ほぼ一致してしまいますね・・・ 🤨
「止り」部材など、細かい部材の寸法は、WEBページの表面では見れませんので、サイト内の「商品仕様図」というページに入って調べることになります。
※「商品仕様図」とは「承認図」とも呼びます。
一般の方には扱いづらいかもしれませんが、必要な情報を入れると、このような図面を得ることができますので、寸法を確認しますと・・・
高さ57mm×トップの巾120mmとなっていますので、やっぱりほぼ一致ですね。😓
ここでは「止り」と書いていますが、Panasonicさんでは「止まり」ということになっているようですので、実際に検索してみる場合は、ご注意願います。
このままだと、筆者の建売マイホームの軒樋がパラスケアのU105に該当する!という結論になってしまいますので、さらに外観写真で比較してみることにします。
まずは、パラスケアU105の「止り」部材の外観写真が以下👇になります。
筆者の建売マイホームの「止り」部材は、先ほど掲載しましたが、画像巾を合わせて切り取りますと、以下👇のような外観形状でした。
この結果、似てはいるものの、パラスケアU105ではない、違う雨樋(軒樋)の種類であることが判明します。😉
積水化学ライナートップの外観と断面形状
セキスイさん(積水化学工業)の場合、左右対称タイプの軒樋は「ライナートップX40」と「ライナートップX70U」の二種類です。
エスロン雨樋のカタログP17を参照しますと、以下👇のように断面形状などの情報が掲載されていますが、上段のX40の方は寸法的に小さめで、比較するまでもありませんので、無視することにして、下段のX70Uの方に着目していきます。😑
積水さんのカタログは先ほどリンクを貼りましたが、100数ページのPDFが丸々ダウンロードされてしまいますので、こちらの製品ページの方が扱いやすいかもしれません。
丸々でも差し支えない場合は、こちらからダウンロードしてみてください。
具体的な寸法を見てみますと、高さ50mm×トップの巾114mmですので、先ほどのパラスケアと同様、また筆者の建売マイホームでの「止り」部材の計測値、高さ≒55mm×トップの巾≒120mmとほぼ同じですね。😑💧
同様に止り部材の寸法を確認したいところなのですが、Panasonicさんと似たような「承認図(商品仕様図)」のダウンロードページはあるものの、「U70X」ではなぜか引っ掛かってきません・・・ 💢
これ👆、筆者の使い方がおかしかったみたいです。😅
この「X70U止り製品詳細ページ」か入って頂き、表示された画面の左から四列目「CAD」欄にある、上から「PDF」、「DXF」、「DWG」と三つあるボタンの「PDF」ボタンをクリックすると、承認図が表示されます。👍
大変失礼いたしました・・・ 🙏
一応、今ほど積水さんに資料請求をしたところですが、止むを得ず製品の外観写真で見てみることにします。👊
以下👇が楽天のショップさんで掲載されている写真なのですが、ざっと見る限り、だいぶ形状が違いそうですね。
先ほども掲載した、筆者の建売マイホームの軒樋止り部材の外観はこんな👇んでしたので、承認図(商品仕様図)を確認するまでもなく、違う雨樋の種類だと結論付けてもいいような気がします。
またライナートップX70Uに戻りまして、別の角度からの写真👇で見てみますと、やはり明らかに異なる形状のようです。
承認図が入手できたら、念のため今一度の確認はしますが、この外観写真より、ライナートップX70Uとは異なる雨樋の種類であることが、ほぼ判明したことになります。👍
[210408追記]
積水さんに資料請求していた承認図(商品仕様図)が入手できたので、比較してみた所、外観写真で確認できた通り、筆者の建売マイホームの止り部材に比べ、奥行きが深く立体的な形状のようでしたので、100%別物であることが判明しました。😊
雨樋の色の種類について
冒頭で「色は気にしないでいい!」的な書き方をしまして、それっきりになっていますが・・・
この「色」について、少し触れておきます。
当たり前と言えば当たり前なのですが、交換部材を入手しようとする場合については、雨樋種類が分かっただけでは足りませんので、最終的には色の確認は必要です。🙂
今回は、だいぶ長い記事になってしまった関係もありますので、色の見方については、別の投稿に切り分けることにしました。
交換部材を注文されるなどで、雨樋の色種類の特定が必要な方については、大変お手数なのですが、こちら👉「雨樋の種類の調べ方:色編」の方もご覧になってください。
今日のまとめ
今日は、「雨樋の種類の調べ方」としまして、筆者の建売マイホームでの「角ます」の種類(シリーズ)を特定していく作業をご紹介しながら、その他も含めて全てをご説明しようと思ったのですが・・・
お伝えしなければならない点が意外と多く、しかも使われている雨樋のメーカーさんが倒産してしまっていたりして、全部はまとめ切れませんでしたので、「形状編」とさせていただき、ひとまずここで完了とさせて頂きます。😓
問題となっている「角ます」の種類を、実際に特定していくエピソードや、その他お伝えしたかった点については、また後日、別の形でご紹介することにします。
不本意ながら、長くなってしまって申し訳ございませんでしたが、最後までお読みいただき、どうも有難うございました。🙏
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