今日は、別の投稿でも軽く触れている「巾木」について、そもそも巾木とは何なのか?という点から、巾木の役割や種類、固定方法などについて、基本にも立ち戻りつつ、整理していきます。👊
巾木の補修の流れと方法をご説明する、準備中の別の投稿「巾木補修の仕方01:コーナーキャップ編」で、やや論点がズレてしまうのに関わらず、だいぶ長くなってしまったため、切り分けた補足記事的な投稿になります。😅
巾木のそもそもの大前提からのお話になりますので、「巾木とは?」という観点では、筆者の思いつく情報は、ほぼ書いたつもりですから、言わば完全版です。👍
※思いつき忘れがなければ・・・。😓
職業柄、マニアックな部分などもあるかもしれませんが、ご興味ありましたら、しばしお付き合いください。😌
巾木とは?
まず、別の投稿「巾木の外し方(剥がし方)」でも書いているのですが・・・
巾木とは?という点から、念のため今一度お話します。
巾木とは何でしょう?✋
答えは、壁の足元の床との取合い部に取り付けられる、帯状の水平化粧部材です。☝
周知の通りかと思いつつ・・・
具体的な箇所を筆者の建売マイホームの写真でご説明しますと、以下のような箇所に付いている部材になります。
この巾木の役割や種類については、次項以下でご説明していきますが、表面的には床と壁を見切るために、壁側に取り付けられる仕上材を指します。
この写真ですと左奥が元々和室だった部分なのですが、当初リフォームにおいて、リビングと繋げる「ぶち抜きリフォーム」をしましたので、現在は畳コーナー的な空間になっています。
なお、和室の巾木については、後半で詳述していますが、基本的に和室には巾木は付きません。
巾木の読み方と英語表記
「巾木」の読み方については、何の工夫もひねりもなく、そのまま文字通りで恐縮なのですが、「はばき」で大丈夫です。👌
また、読み方とは関係ないのですが、「幅木」とも書きます。
筆者は「巾木」としか表現しないのですが、「幅木」と表現する設計屋さんもたまに見かけますので、どちらでも通じます。
「巾木」、「幅木」、いずれの表記も読み方は同じで、先の通り「はばき」になります。🙂
「巾木」の英語表記(英訳)の方は、建築でいう「巾木」については、「Baseboard」で通じるはずです。😮
巾木の役割
巾木の役割は、本来は壁の足元を守ること、床面との縁を切ることが主なものです。
特に、石膏ボードの上にクロスで仕上げられることが当たり前になっている昨今では、例えば、床面からの汚れや湿気を、壁面のボードやクロスに伝えるわけにはいきませんので、床との縁を切って、壁の足元(下端)を守る必要があることになります。
例えば、床に墨を大量にこぼしてしまった際に、その水分をボードに吸わせるわけにはいきませんし、壁まで真っ黒にしてしまう訳にはいかない、という意味です。☝
元々の役割はそうなのですが・・・ 😓
昨今では、床と壁の取合い部における納まりの汚さを隠すため・・・という意味合いが強くなってきているように思います。😑
もちろん、熟練の大工さんたちは、プライドも持たれていますから、特殊な事情がない限り、基本的にそんな荒っぽい仕事はする訳がないのですが、筆者の建売マイホームのような建売やアパートの建築などでは、残念なことに予算的な兼ね合いもあって、熟練の大工さんが入ることはまずありません。
また、建売やアパートの場合、特に手間賃を叩かれてしまうため、仮に、熟練の大工さんや丁寧な大工さんが入ってくれることがあったたとしても、予算内で納めるために、時間との戦いになったりもしますので、どうしても荒っぽくならざるを得ないという現実もあります。😬
そんな事情もあって、本来の役割も当然担ってはいるとしても、最近は、どちらかというと雑な部分を隠す・・・という、何とも寂しい施工者都合による役割が大きくなってきてしまっている気がします。😞💧
巾木の種類
次に、巾木の種類を整理してみます。🙂
色んな分け方があると思うのですが、ここでは「形式による区分」と「素材による区分」の二通りの視点より、巾木の種類についてご紹介します。
巾木のコーナーキャップをお探しの方で、そういう意味の巾木種類をお調べの場合は、別の投稿「巾木補修の仕方01コーナーキャップ編」を準備中ですので、しばしお待ちください。
まとまったら、ここにリンクを貼るように致します。👍
形式による巾木の種類
巾木の種類としては、まず大きく分けますと、「出巾木」と「入巾木」の二つに分かれます。
以下👇、出巾木と入巾木の例を断面的に描いてみたスケッチです。
字が小さくなって読めなくなってしまいましたが、小さい字が書き込んである線が仕上げ面の線なのですが、お分かりになられますでしょうかね・・・ 🙁
左側が「出巾木」、右側が「入巾木」になるのですが、要するに、平たく言ってしまうと、壁の仕上げ面(クロス面)より出っ張っているのが「出巾木」、引っ込んでるのが「入巾木」です。
「入巾木」については、正直なところ・・・
こだわりの強い設計屋さんか、いわゆる建築家と呼ばれるような大先生系の設計屋さん、もしくは建築家気取りの設計屋さんしか使わない巾木ですので、皆さんのお宅は90~95%くらいは「出巾木」かと思います。😉
スケッチ👆を見て頂くとお分かりになられるかと思うのですが、一般的な内装壁で見た場合、壁のボードが一枚で済むところを二枚にしたり、既製品の巾木で済むところを、特注もしくは手作りの巾木材を使用しないと実現できなかったりしますので、コストも手間も掛かるのが「入巾木」だからです。
出巾木の既製品を転用するような形で対応する場合もあるようですが、そもそも出巾木用の形状になっていますので、あまり美しくはならない場合が多くなります。
筆者の知る限り、入巾木用の既製品は存在しませんので、どっちにしてもそのために作ることになり、コストアップに繋がってしまいます。
我々(設計屋)目線ですと、仕上りの体裁は悪くない場合が多いです。😚
でも、筆者の場合は、お客さんに無駄な出費を負担させること自体、我々設計屋の職務を逸脱する行為だと思っていますので、要望がない限りは、入巾木を採用することはありません。😅
素材による巾木の種類
素材による巾木の種類については、まず巾木は床仕上げに大きく左右されがちな部材ですので、ケースバイケースになります。
絶対条件ではないのですが、例えば、床仕上げがフローリングであれば木質系巾木、クッションフロアなどの樹脂シートであればソフト巾木、床がタイルであればタイル巾木・・・という具合です。
ここでは標準的な「木質系巾木」、「ソフト巾木」、「タイル巾木」の三種類について、ザッとご紹介します。☝
木質系巾木の中、MDF巾木については、種類の調べ方をご説明している「巾木の種類の調べ方:MDF巾木編」のこの辺りでも、別途詳しくご説明していますので、必要に応じて参考にしていただければと思います。🤗
木質系巾木
「木質系巾木」と書きましたが、実際には「木製巾木」ということで、一括りでまとめられてしまうケースが多いです。😕
実際には、本当に木材で造られた「純粋な木製巾木」と、住宅系の建物だと多用されるようになった、木目調シートが貼られた既製品の「MDF巾木」の二通りに分かれます。
※MDF巾木については、先のリンク先をご覧ください。
純粋な木製巾木
まずは、純粋な木材で造られた木製の巾木です。
20~25年ほど前までは、まだまだ当たり前だった気がしますが、昨今では完全に、次項でご紹介する既製品の「MDF巾木」に取って代わられてしまった感があります。😓
既製品でも存在はするのですが、純粋な木材でできていますので、塗装が必要だったりして、現在ではややお高くつきます。
※予め塗装されている既製品も存在しますが、さらにややお高い印象。
一般的な30坪ほどの住宅であっても、100mほどは必要になってくる巾木ですので、コスト面から、最近では既製品の「MDF巾木」が用いられることが多くなってきているものと思われます。
塗装がキチンとできれば、エッジが効いたシャープな納まりになります。😆
・・・ですが、😳
この写真👆でも見られるように、職人さん(特に塗装工)の丁寧さに依存することになるため、ハズレの場合は、あまり綺麗にはいかず、残念ながら味のある(?)見え方になってしまう場合が(多々)あります。😅
寸法的には、通常は高さ60~80mmほどで、厚みは9~12mmほど。
特別な事情がない限り、接着剤のみで固定されることは少なく、主に、下地があって、その下地にくぎ打ちができる場合に採用することができる巾木です。
MDF巾木
MDF巾木は、先の通り「木製巾木」ということで、一括りにされてしまうケースが多いのですが、実際には「木材」はなく、「MDF」と呼ばれる樹脂系の素材を基材としています。
このMDFと呼ばれる素材を成形したものに、樹脂系の木目調シートを貼って仕上げられているもので、昨今では最も安価に仕上げられる、施工者観点では便利な巾木のひとつとして知られていまして、特に木造住宅系の建物では、広く普及しています。
おそらく、皆さんのお宅でも、ここ20年以内ほどのお住まいでしたら、大半がこのMDF巾木なのではないかな、と思います。🙂
※MDFについてはもう少し下に解説があります。
巾木は通常、建具と色を合わせたり、床や壁の色に合わせたりすることが通例ですので、例えば、これも施工者観点ですが、以下のような形のコーディネートが、センスの有無に関わらず、誰でも容易に実現できるというメリットはあります。😅
建具も同様のMDF+樹脂系木目調シートですので、色を合わすことで、よっぽど変なことをしない限り、違和感のない仕上りになります。
この👆写真は筆者の建売マイホームの(超)陳腐なコーディネートですので、ぜんぜん美しくも何ともないのですが・・・ 😅
差し当たって、建具の色と合わせたコーディネートにはなっています。
ちなみに床は画用紙みたいな仕上げに写っていますが、一応はフローリングです・・・ 😢
※初期リフォーム話のダメ出しの個所にジャンプします。
製品自体が安価ですし、塗装が要らないこと、納めるための便利グッズが合わせて販売されていることで熟練の技術が要らないことなど・・・、消費者観点ではなく、施工者観点で便利な点が多いことで、一気に普及した感がありますね。
ちなみに、MDFの定義については、ご興味ありましたら、以下を展開してみてください。🤗
引続き、筆者の建売マイホームの巾木の写真ですので、ぜんぜん美しくはありませんし、(超)雑な適当仕上なのですが・・・ 😓
もう少し近づいた写真でご紹介しますと、以下👇のような納まり具合になります。
以下👇は、入隅の止め(トメ)加工部分。
埃っぽくて、申し訳ないのですが、近付くと、適当にカットされているのがバレバレなのですが、普段の生活目線ではさほど気にならないのが、このMDF巾木のいいところかもしれません。
メーカーさんによって、多少の前後はありますが、通常の寸法としては、高さ60~65mmほど。
厚みは6~9mmほどのものが多いように感じます。
固定の仕方としては、接着剤と隠し釘併用が一般的ですので、これもやはり、主に、釘打ちができる下地がある壁の場合に採用するのが基本。
マンション系の場合だと、下地がない場合がありますので、この場合、接着剤だけで固定される場合もあります。
ソフト巾木
次は、ソフト巾木です。
木造住宅系では、前項のMDF巾木が普及したせいか、あまり見かけなくなりましたが、RC造やS造のマンション系の建物や、オフィス、施設系建物などではまだまだ使われることの多い巾木です。
接写した写真が、手持ちの中ではどうしても見つかりませんでしたので、あまりいい画像でもないのですが💧、楽天さんの商品リンクでご紹介しますと、以下👇のような巾木になります。
認識しにくいかもしれませんので、メーカー(TOLI)さんからお借りした画像だとこんな👇感じです。
これら👆写真では「木目調」のタイプになっていますが、木目調でなく、単色のモノが基本になりまして、床仕上げが、いわゆる「クッションフロア」などに代表される樹脂シート系の場合や、カーペット系、いわゆるPタイルなどと呼ばれる床材の場合に、よく採用されるのが、このソフト巾木です。
※木目調ソフト巾木はここ20~25年くらいだと思います。
製品写真だけなので認識しづらいかと思うのですが、Amazonさんかの商品リンクですと以下のようなモノが、単色系のソフト巾木になります。
やっぱりこれだけ👆じゃ分かりませんので、お手数なのですが、必要に応じて、商品ページの方をご覧になってください。🙏
ソフト巾木の素材は・・・😮
そう言えば、何なんでしょうね・・・ 🤨💧
抽象的な表現で恐縮なのですが、体感的には、ゴムとプラスチックの中間のような印象の素材で、厚み2mmほど、文字通り「ソフト」なペナペナのモノです。
寸法的には、これもメーカーさんによって、前後はあるものと思いますが、通常は高さ40mm/60mm/75mm/100mmくらいのバリエーションはあります。
ちなみに、天井高が高い場合、例えば、店舗で3.0mやオフィスで2.7mの場合は、巾木も高さの高いモノを選定する場合が多いです。
もちろん、お客さんの希望によりますので、絶対ではないのですが、逆に何も希望を伝える機会がないと、いつの間にかそのようになっていることになりますので、ちょっと注意が必要かもしれませんね。🤔
実際の施工写真でご紹介しますと、以下👇のようなモノがソフト巾木に当たります。
RC造のオフィスビルの1Fテナント部分で、床はタイルカーペット、壁はボード+クロスで仕上げられた部分の、高さ75mmのソフト巾木です。
先ほど👆のAmazonさん商品リンクでご紹介したような、単色系のソフト巾木になります。
お次👇もRC造のオフィスの一角ですが、同じくタイルカーペット床、ボード+クロスの壁。
ここでは、木製建具の色に合わせた、木目調のソフト巾木が用いられていますね。🙁
このオフィスも天井高は高めでしたので、75mmの高さのソフト巾木が採用されています。
ちなみに、ソフト巾木の固定方法は、釘などは使わず、接着剤だけで貼り付ける形になりますので、DIYでも扱いやすいのが、このソフト巾木ですね。😘
RC造の場合は、別の投稿でもご紹介していますとおり、LGS下地になることが多く、下地があるとしても隠し釘が効きませんし、壁自体がRCで造られている部分もありますので、接着剤だけで固定するタイプのソフト巾木が重宝することになります。🤗
最後👇は、筆者の事務所が入っている、築35年ほどのRC造のアパートのソフト巾木です。
アパートですので、床はフローリング、壁は同じくボード+クロスの仕上げ、ここの壁下地は木造なのですが、隣戸との境はRC壁を直仕上げされていて、釘が効く下地がありませんので、統一してソフト巾木を採用しているものと思われます。
ソフト巾木の形状による種類
周知の方も多くいらっしゃると思うのですが、ソフト巾木の形状について、DIYで使われる場合もあると思いますので、念のための補足になります。
ソフト巾木はの形状は、以下👇のように大きく二通りありまして・・・
ひとつは、左側に示した、足元がまっすぐのタイプ、もうひとつは右側の、足元にRが付いている「R付」と呼ばれるタイプです。
「R付」は、要するに、取り合い部の隙間や雑な部分を隠すために、スカートが付いているようなタイプのモノになります。
逆に、「R付」と書いていない場合は、左側のまっすぐタイプの製品になりますので、注文される時は、ちょっと注意した方がいいかもしれません。☝
タイル巾木
既述の通り、巾木の本来の役割は、壁の足元を守ることにありますので、日本家屋の場合、室内で唯一、靴を履くスペースである玄関においては、特に大きな役目を担うことになります。
・・・が、昨今の玄関の壁の足元は、通常の場合コンクリートの基礎が四方に廻ることが基本になっていますので、実はこの辺りはあまり関係なく、玄関の場合は純粋に見ためを床と揃えるために、床面と同じタイルで巾木を廻すパターンが多くなっています。😅
玄関は通常、内装の床面からは15~30センチほど下がりますので、構成がややこしくなるのですが、こんな👆形の納め方が多いと思います。
三段構成になりまして、下段は床面同等(ここではタイル)の巾木、上段は室内の床から伸びてくる一般巾木がきまして、中段に「付巾木(つけはばき)」という部材が入る形です。
以下👇は、別のお宅の玄関の土間面と連続した、いわゆる「シューズインクローゼット」の写真になりますが、色が違うだけで前写真と同じ構成ですよね。🤔
ちなみに、この二枚とも筆者の設計ではなく、photoACというサイトさんに掲載されていた写真になりますので、それぞれ別の方のお住いの玄関ということになる訳ですが、同じ構成で、同じように納めていることが、お分かりになられると思います。😉
※筆者も木造住宅の場合は、基本的に同じ納めになります。
アパートやマンション系などの建物の場合は、特に上階だと玄関土間にタイルを貼らずにクッションフロアで済ませてしまうケースもあるのですが、その場合の巾木は、クッションフロアを貼り上げる形になったりもします。
この納まりをザッとスケッチで描きますと、以下👇のような感じ。
壁の足元を守ることが主な目的の巾木ではあるのですが、玄関の場合は、土間面(床面)が一般の床より下がることで、巾木となるべき部分が、基礎のコンクリート面になるため、項の冒頭で書いた通り、木造の壁とは縁が切れますし、守る必要もなくなります。
結果的に、コンクリートがムキ出しでは体裁が悪くなってしまうため、床面と同じタイルを貼って仕上げることになる訳です。🤔
もちろん、床がタイルだからといって巾木もタイルで仕上げなくてはいけないということでもありませんので、希望によっては、着色したモルタルを塗って仕上げたり、石を貼ったりするような場合もあります。😉
ただ、玄関ですので、水洗いをするケースなども想定しなければなりませんから、内装用の巾木を用いるようなことは有り得ず、必然的に、タイルやモルタル、石などと言った水に耐えうる素材を使った巾木になります。
巾木の固定方法
巾木の固定方法については、前掲の投稿「巾木の外し方(剥がし方)」のこの辺りで解説してしまっていますので、大変お手数なのですが、こちらより、ご参照頂けると有難いです。🙏
ソフト巾木は接着剤で貼るだけ、タイルもモルタルか接着剤で貼るだけですので、解説しているのは、主に、木質系巾木の固定方法になります。☝
巾木に関するその他情報
巾木に関する、その他のマメ知識・・・というほどでもないのですが、ここまでのお話の中で出番のなかった点について、数点について補足します。
和室は巾木がない
通常の和室の場合、昔ながらの本格的な和室(真壁和室)でなくても、原則として巾木はありません。
巾木があっても納まらない訳ではありませんので、あっても問題はないのですが、通常は巾木は付けません。
なぜ和室に巾木がないのか?😳
・・・と考えますと、正直なところ定かではないのですが・・・ 😓
おそらく、古来から日本では室内で靴を履いて生活する習慣がありませんし、特に昔は、当たり前に石膏ボードやクロスなども存在せず、いわゆる塗り壁で造られていたため、守る必要もなかったのかな・・・と個人的には推測しています。😐
以下👇は、筆者の建売マイホームの当初「ぶち抜きリフォーム」前、かつ引渡し前で畳がまだ入っていない状態の当初の和室です。
右奥の板張りの部分に「雑巾摺(ぞうきんずり)」はあるものの、やはり同様に巾木はありません。
ちなみに、畳ではない部分には、この「雑巾摺」が入るものですので、ある意味で、これが巾木代わりの役割を担っているのかもしれませんね。🤔
論点は逸れるのですが、現在は、リビングとの間の壁や押入れを丸々ぶち抜いて、リビングと一体のひと部屋にしてしまいましたので、ぜんぜん違う部屋になってしまっています。😅
なお、ぶち抜いてしまって、洋室と一体の和室となる場合は、逆に、和室であっても巾木を入れないと納まりが付かず、変なことになってしまうため、原則として、巾木は入れることになります。
筆者の建売マイホームの「ぶち抜きリフォーム」後、つまり現状の写真でご紹介しますと、以下👇のようになっています。
※前👆写真の左側の掃き出し窓の左下付近の近景写です。
巾木を伸ばさず、畳との境の位置で巾木をカットして止めてしまう・・・ようなやり方もあるにはあるのですが、筆者の建売マイホームでは、リビングと一体の畳コーナー的な空間にして、リビングに広がりを出したかったこともあって、巾木は伸ばしました。🙂
巾木をカットして止めるには、その巾木端部の処理の仕方も悩ましい部分になりますので、筆者の建売マイホームのここは、この👆処理で正解だったと思っています。😁
巾木なしで納める壁もある
原則として壁には巾木が入るものなのですが、前項の和室のように巾木を用いずに納める壁もあります。
巾木の本来の役割に立ち戻りますと、壁の足元を守ること、床面との縁を切ることが主な役割ですので、これを必要としない壁の場合・・・
例えば、硬くて耐水性能が高いような仕上材が使われている場合などは、敢えて巾木を使うことはないため、巾木なしで納めることになります。
ただ、この場合は、雑な施工部分を隠すことができなくなりますので、ある程度、丁寧で精度の高いな施工が必要になってきます。
では、具体的な写真で見ていきましょう🧐
とあるショップさんの内装👇から。
パッと見では認識しにくいと思うのですが、右側の壁はキッチンパネルのような、やや厚めの不燃パネルが貼られていますので、巾木なしになっています。
これに対し、中央奥のスペース左側の壁は一般的なボード+クロス壁ですので、赤矢視先にソフト巾木が写っているのがお分かりになられますよね。
パネルの方は、「やや厚め」と書きましたが、確か6mm厚でしたので、木質系の9mm厚やソフト巾木なんかよりは、数倍の強度と耐水性が見込めます。
次👇は、築30年ほどのマンション住戸内のキッチンです。
リフォーム前の写真ですので、やや汚れていますが、ご容赦頂くとして・・・ 😜💦
昨今では、キッチンパネルに99%くらい取って代わられてしまいましたが、昔ながらのタイルが貼られています。
このタイルも厚みは5mmくらいのモノですので、強度も耐水性も十分ですから、巾木は要らないということになります。
最後は、とある子供用施設のトイレですが、ここもキッチンパネル系の先ほどの6mm程度の不燃パネルで仕上げています。
コンビニのトイレなどでもよく見かける、ツルツルのパネルです。
パネルの基材自体に耐水性が期待できない場合で、このような水廻りのケースは、床と接することになる切断面は守らなければなりませんので、床面との取合い部にコーキングをして、切断面に水が回らぬような措置が必要になります。
今日のまとめ
本日は、そもそも巾木とは何なのか?という点から始まり、その役割や固定方法、さらには巾木の種類ごとに、実際の施工例をご紹介しつつ、基本まで立ち戻りながら、筆者の思いつく情報の(ほぼ)すべてを挙げ、整理して参りました。😑
※思いつき忘れがない限り・・・なのですが。😓
巾木の役割として、冒頭では「壁の足元を守ること」、「床面との縁を切ること」と並列で書いてしまいましたが、正確に言うと、「壁の足元を守るために縁を切る」訳ですので、メインの目的は、前者の「壁の足元を守ること」にあります。
何となく、どうでもいい部材に思われがちな巾木ではあるのですが、長期的な観点ではそれなりに重要な役割は担っている部材にはなりますので、少しでも皆さんのご理解に繋がることを、建築士として願っています。🤗
巾木ごときに、だいぶ長くなってしまい、申し訳ございませんでしたが、最後までお読みいただき、どうも有難うございました。🙏
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