今日は、三連載になる天井裏の構造についてのお話、最終章!第三弾となる「鉄骨造(S造)編」です。👍
天井裏の構造について、ご説明しようと思って書いていたら、書いている内に果てしなく長くなってしまって・・・
収拾が付かなくなってしまったため、構造別に三本の記事に分割させて頂いた😅のですが、その三本目が本稿「鉄骨造(S造)編」に当たります。💧
- お急ぎの方は、👉 目次までジャンプ!
- 第一弾:木造編は、👉 こちら。
- 第二弾:RC造編は、👉 こちら。
- 天井下地の見つけ方は、 👉 こちら。
- 天井点検口を付けたい方は、👉 こちら。
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※全部当サイト内の別の投稿ですので安全です。👍
今回は、「鉄骨造(S造)」の建物の天井内の構成と、実際の天井裏がどのような構造になっているのか?等について、実際の図面(矩計図)や過去の案件の写真などをご紹介しながら、細かめに解説していきます。👊
なお、そもそも・・・
「天井裏」という用語については、似たような紛らわしい「小屋裏」、「屋根裏」という用語も氾濫しています。😟
この三つの用語の違いにつきましては、別の投稿[天井裏と屋根裏、小屋裏の違いって?]で、簡単に整理していますので、建築士視点からの筆者の主観にはなるのですが、宜しかったら、合わせてお立ち寄り頂ければと思います。🤗
天井裏の構造:鉄骨造(S造)編
ひとことで「天井裏の構造」と言っても、正直なところ一概には言えないのですが、今回は鉄骨造(S造)の天井裏に着目し、天井裏がどんな構造になっているのか?、どのように構成されているのか?について、図面と一部写真を使って、実例を元にご説明していきます。👌
以下、紙面の関係で、画像巾を525pxに統一していますが、クリックするとちょっと(1.3倍ほど)拡大できますので、文字が小さくて見えなかったりする部分については、大変お手数なのですが、必要に応じて、拡大してご覧になってください。👍
ちなみに・・・ ☝
「軽量鉄骨造」という構造の建物も存在しますが、今回は、巷(ちまた)で「重量鉄骨造」とも呼ばれている構造の建物の、天井裏構造のお話になります。
「軽量鉄骨造」の天井裏については、含んでおりませんので、予めのご了解をお願いできればと思います。🙏
S造の場合の天井裏構造の例
S造(鉄骨造)の天井裏構造については、基本的にほぼRC造の「ラーメン構造」の場合と同じです。
ただ、S造とRC造では、床や壁の構造が異なることと、構造体がRCではなく、「S」つまり「スチール」であることによる諸々の細かいはありますので、この辺りをザッとご説明していきます。
この件については、まとめるのを忘れていたようですので、細かくは後日、別の投稿でご説明しますが、RC造(鉄筋コンクリート造)には大きく二つの構造があります。 ひとつは、構造体を壁で支持する「壁構造」と、もうひとつは、構造体を柱や梁で支持する「ラーメン構造」と呼ばれる構造です。 「ラーメン構造」を英訳すると、「frame structure」ですので、要するに骨組みで構成された構造というニュアンスになるのですが・・・ って思いますよね?😅 よりによって・・・。😱 日本人にとって、それだけ「拉麺(ラーメン)」がお馴染みで身近な存在であるからこそ、そのような疑問が生まれるわけですが、英語の辞書を調べても「Larmen」もなければ「Rarmen」もありませんし・・・ 若かりし日の筆者も、現場でよく耳にはしていたのですが、何の話だかさっぱり分からず、恥ずかしながら、大学生になって初めて知った次第です。😓 調べてみると何てことない話なのですが、語源としては、「骨組み」を意味するドイツ語の「Rahmen」から来ているそうです。 じゃあ!ドイツ語だと「拉麺(ラーメン)」はどんな単語なんだろう?などと新たな疑問を湧いてくるのですが、話の主旨から外れて、変な方向に行ってしまいますので、止めておきましょう!😅 「ラーメン構造」とは、面などでなく「骨組み」で構成される構造を指します。☝😑
何でラーメンやねん?❓ 😨💦
各階天井裏の構造例
まず最上階でない、一般階の天井裏構造から見ていきます。👊
・・・とある鉄骨造4F建てアパートの矩計図(かなばかりず)、1-2F部分の抜粋図面👇にて、ご説明していきます。
※「矩計図(かなばかりず)」とは平たく言うと断面詳細図です。
アパートですので、基本的に住戸のみで構成された建物なのですが、1Fの一部がエントランス的な空間になっていまして、以下👇の図面上1Fに「ピロティ」と命名されている部分が、このエントランス部分に当たります。
今までお見せしてきた図面と同じように、黄色で塗った範囲が、それぞれ1F天井裏と2F天井裏空間の範囲になりまして、「上階の床版(スラブ)」として青矢視している部分が、階を隔てる床版(スラブ)です。
鉄骨造(S造)の場合、この床版(スラブ)を受けているのが、「スチール」でできた「鉄骨の梁」ということになります。
鉄骨造には「壁構造」などというモノはなく、基本的に全て、骨組みで構造体を構成する「ラーメン構造」になりますので、図面上は出てきていないのですが、「鉄骨の柱」がそれぞれの「大梁」両端を支持しているような構造形式になっています。
天井裏の構造としましては、RC造と基本的に同じではあるのですが、そもそもの建物構造が根本的に違いますので、今回の天井裏構造に絡みのある、具体的な相違点を挙げるとしますと・・・
- 床版:デッキプレートという波状の鉄板の上にコンクリートが打たれる
※別の工法もあります。(例えば、ALCの床版など・・・) - 外壁:RCでもスチールでもない、ALCなどの材料が使われる
- 柱・梁:スチール製(鉄骨)だが、耐火の観点から被覆が要求される
- 隙間:RC造のように一体の躯体でないため、取合い部に隙間が生じる
・・・という感じかな、と思います。※完全に主観ですが・・・ 😅
RC造と同じ部分については割愛させて頂くとして、これら👆の相違点について着目しつつ、実際の天井裏写真を用いてご紹介します。
これ👆は、6F建ての鉄骨造(S造)の建物の、中間階に当たる4F部分の天井裏の構造になりまして、コメントを入れた通り、上側に写っているのが、上階の床版(スラブ)のデッキプレートの裏面。
中央やや右に「外壁ALC内面」とのコメントで矢視している面が外壁、その左側に柱があるのですが、耐火被覆を被っているため、鉄骨の柱としては認識しにくい状態です。🤨
コメントは入れていませんが、このデッキプレートの床版(スラブ)から、RC造と同様の吊ボルトが垂れ下がり、これにLGSの天井を持たせている点では、まったく同じ構造と言えます。😉
以下👇の写真も似たような箇所になるのですが、正面に梁の耐火被覆が写っていましたので、掲載しました。
右側は、ここも鉄骨柱があるのですが、同じく耐火被覆を被っている状況。
梁の上に波型のデッキプレートが載っている関係で、床版と梁の取合いに隙間が生じてしまうため、ここでは吹付けロックウールを使って、その隙間を埋めている形。
※隙間埋めは、耐火の観点からの法的要求です。
外壁との取合いなどにも隙間が生じますので、以下👇の写真では外壁との取合い部にもロックウールが吹付けられていますね。🤔
鉄骨造(S造)の、中間階における天井裏の構造(構成)としましては、このような形になっています。☝
最上階天井裏(=屋根裏)の構造例
最後に、最上階の天井裏(=屋根裏)の構造に入ります。👊
S造(鉄骨造)の屋根も、RC造と同じように、木造のような勾配屋根を採用するケースは、あまり多くはありませんので、最上階の天井裏(=屋根裏)も、前項で見てきた各階天井裏の構造と大きな違いはありません。
ただ、その他構造と同様に、屋根については断熱材の施工が必須になりますので、断熱材がこの👆ように天井面の上側、つまり天井裏空間内に配されることになります。🧐
また、RC造の天井裏構造のパートで、内断熱の場合は、床版の裏面に貼り付けられるような形の施工になるとお話ししましたが、このS造の場合は、例えば先ほどのデッキプレートを使用している場合などは分かりやすいのですが、床版の裏面がデコボコ面になることが多く、断熱施工がしにくいこと等から、このような天井断熱の形が採用されることが多いのかな・・・と思います。
ちなみに、この👆建物の最上階床版(スラブ)は、デッキプレートではなくALC板なので、多少デコボコでない印象もあるとは思うのですが、既述のRC造の床版(スラブ)の裏面のように、フラットになることはありませんので、天井断熱を採用している形にしています。
筆者の矩計図では、通常はデコボコまでは表現しないので、一般の方から見ると、一見、スッキリした天井裏に見えてしまうかもしれないのですが、実際は色んなモノが出っ張っていて、結構デコボコです。😅
ALC板の床版(スラブ)の場合でも、天井裏の構造としては大きな違いはありません。
変則パターンの天井裏(屋根裏)例
最後に、同じ鉄骨造(S造)なのですが、最上階床版(スラブ)がデッキプレートでもALC板でもない、ニュアンスのちょっと違った屋根にした建物の矩計図も、参考までにご紹介しておきます。
鉄骨造(S造)の場合、この👆ような形が一般的ではあるとは言え・・・
木造のような勾配屋根になることも少なく、RC造のような水平な屋根にする必要性も、必然性もあまりありませんから、水平な屋根にこだわることもありませんで、屋根の掛け方は結構融通が利きます。😙
つまり、場合によっては、天井裏構造としてのパターンも何種類か存在することにもなります。☝
これ👆は、別の鉄骨造の3F建ての建物の最上階でして、ここでは屋根にデッキプレートやALC板は使わず、木造の屋根のように、下地を組んで野地板を貼り、その上に木造でも使われるような屋根材を葺いています。
「木造屋根のように下地を~」と書きましたが、組んだ下地は鉄骨の下地です。👆
もちろん、木造屋根にすることもできないことはないのですが、せっかく鉄骨で造るのに、屋根だけ木造ではちょっと変ですよね?
そんな意図もあり、最終的にはお客さんと工務店さんの要望により、この時は鉄骨の下地で施工しました。
断熱に関して言いますと、この時もコストの関係もあって、やっぱり屋根断熱ではない、天井断熱を採用しています。😅
ですので、鉄骨造の場合、ケースバイケースで屋根形状が異なる場合もありますので、最上階の天井裏(=屋根裏)の構造としては何パターンかに分かれるとしても、断熱の工法としましては、このような天井断熱の形が多いように思います。🤔
まぁ、いずれにしても、断熱材の位置が上か下か・・・というレベルの話にはなりすので、天井裏の構造には、あまり影響のある部分ではないとも思うのですが。🙃
おすすめ解説本 😚
第一弾、第二弾の方でも、同様におすすめしていますので、さすがに書くことがなくなってきてしまいました。😩💧
・・・が、この解説本は本当におすすめですので、しつこいようですが、メゲずにご紹介していきます。👊
おすすめの度合いについては、木造編のこの辺りをご参照いただければと思います。🤗
一般の方から見ても、とにかく分かりやすいんじゃないかと思われる、「建物できるまで図鑑」という解説本を推薦します。🙌
どんな内容かと申しますと、タイトルの通りではあるのですが、建物ができるまでの流れに従って、各部の構造を立体的に分かりやすく紹介してくれています。
小学生の時によく見た、いわゆる「図鑑」をイメージされてしまうと、ややニュアンスがズレてしまうような気がしますが、この表紙に入っているイラストのような形で、各工程ごとに各部位ごとの構成が立体的に解説されていますので、工事の流れも一緒に把握できちゃいますから、一般の方々にとっては、すごく便利な一品になるはずです。🤗
もちろん専門的な話も書かれてはいるのですが、我々にとっては当たり前の内容ですので、建築の専門書ではないものと思われ、DIYをされる一般の方々向けに作られている解説本だと思います。
また、先ほどの画像リンク👆は、楽天さんの商品リンクになるのですが、図書館の蔵書検索でもフツーに引っ掛かってきますので、わざわざ購入されなくても、必要な箇所だけ図書館でコピーしてもいいでしょうし、この手の解説本をお探しの場合は、まずは、図書館で立ち読みしてみて頂ければと思います。
※百聞は一見にしかずとも言いますし・・・ 😅
ちなみに、既述の通り、天井自体の構成はRC造の場合とほぼ同じですので、この天井についての記載は、RC造の方のページに包括されてしまっていますが、例えば、天井裏のすぐ上の床版(スラブ)の部分、前章でデッキプレートやALCなどということで、ご説明してきた部分については、もちろんRC造は違いますので、こんな👇感じで解説されています。
著作権の関係もあって、解像度を高くするわけにもいかず、読みづらい画像で申し訳ないのですが、前章まででご紹介してきた、筆者の描いた矩計図なんかと比べると、一般の方にとっては、とにかく構成が認識しやすいはずです。👍
もし解説本をお探しの場合は、この「建物できるまで図鑑」を、胸を張って建築士として推薦しますので、ぜひ図書館などで探してみてください。
そうは言っても一銭の保証もできないのですが・・・ 😓
でも、きっと満足して頂けるはずです。😉👌
今日のまとめ
本日は、建物の天井裏の構造をご説明する、三連載シリーズの第三弾としまして、鉄骨造(S造)の建物における、天井裏の構造について、解説して参りました。😑
さらっと説明できる内容かと思っていたのですが、やっぱり構造別に分けてご説明しようとすると、どうしても長くなってしまうんですね・・・ 😓
ここまでで何文字書いたんだろ?
たぶん23000文字くらいですね・・・ 😩
何と!原稿用紙58枚分です 😨💧
元々は、天井裏などの建物内に入り込んでしまう小動物の話をしようと思って、書き始めたところでしたので、それらの件については、後日になりますが、別の投稿でお話ししようと思っています。😅
本日も、最後までお付き合い頂きまして、どうも有難うございました。🙏
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