本日は、窓解説と図面表記シリーズの第5弾としまして、「片引き窓」をテーマにお話しします。☝
片引き窓は今までご紹介してきた窓と比べると、あまりポピュラーではないのですが、だいぶ昔から、ある一定の要望はある窓です。
筆者は設計屋さんですので、お客さんからの「片引き窓で!」とのご要望が、昔からたまに出てくる・・という意味です。 ☝
内容としましては、今回の解説も他の窓解説シリーズと同じなのですが、「片引き窓」の基本事項、つまり読み方、英語表記(英訳)、種類と形状や開閉形式などをご説明し・・・
最後にそれぞれの片引き窓の図面上での書き方(図面表記)について解説していきます。🤗
新築やリフォーム時などの窓計画の参考になれば幸いです。😌
窓解説と図面表記シリーズ目次
すでにUP済みのものと、現状で予定している、準備中の窓解説と図面表記シリーズの目次を、以下👇に整理させて頂きます。
- 窓解説 第1弾:引き違い窓 編
- 窓解説 第2弾:上げ下げ窓 編
- 窓解説 第3弾:横滑り出し窓 編
- 窓解説 第4弾:縦滑り出し窓 編
- 窓解説 第5弾:片引き窓 編 👈今回
- 窓解説 第6弾:嵌め殺し窓 編
- 窓解説 第7弾:ルーバー窓 編
- 窓解説 第8弾:内倒し窓 編
- 窓解説 第9弾:外倒し窓 編
- 窓解説 第10弾:オーニング 編
- まとめ:窓種類と図面表記まとめ
- 他1:引き違い窓のサイズの見方
- 他2:住宅平面図の窓記号の読み方
- 他3:外倒し窓の開閉の仕方✕4選
- 他4:上げ下げ窓の下障子の倒し方
※UPできましたら、ここ👆にリンクを貼っていきます。
特殊な窓や、複合窓などの類はないのですが、一般的な窓については、おおむね網羅できているものと思いますので、他の記事も参考にして頂ければと思います。🤗
ちなみに、準備中の第6弾以降については・・・
当サイトは本業の合間を縫っての更新のため、まだ少し先になってしまう場合があります。
勝手ばかりで大変恐縮なのですが、期待はされることなく、気長にお待ちいただけると有難く思います。🙏
では、始めていきましょう💨
片引き窓とは?
片引き窓とは?、片引き戸を思い出していただくと分かりやすいと思うのですが、読んで字のごとく、片側に引いて(スライドさせて)開放する窓を指します。☝
以下👇の写真は「二枚引き」と呼ばれる片引き窓で、YKKapさんなどでは「両袖片引き窓」などと呼ばれていますが、通常は「両引き」とは呼ばれません。
片引き窓はレールが1本しかないため、レールが2本の引き違い窓とは根本的に違う構造になります。
開放できる範囲が、引き違い窓と同等かそれ以下になってしまう場合が多いためか、あまりポピュラーな窓ではありません。
でも体裁は悪くないので、ちょっと気取った設計屋さんなどには好まれがちだったりしますし、たまに「引き違い窓はダサいから!」とおっしゃって、この片引き窓を選択するお客さんもいらっしゃいます。 😅
RC造やS造ばかりやっていましたが、筆者も若いころはよく使いました。
最近は、機能性の方を重視するようになりましたので、あまり拘らなくなってしまったのですが、確かに「引き違いはダサいし・・😩」的な感覚はあったかもしれません。😬
片引き窓の読み方
では、基本事項の確認コーナーですが、「片引き窓」の読み方に入ります。
「片引き戸」という用語が普及していますので、さほど迷う方も少ないかな・・と思いつつ、「片引き窓」の読み方は、「かたびきまど」です。
きっと大丈夫ですよね?😉
片引き窓の英訳 (英語表記)
次の基本事項の確認は、「片引き窓」の英語表記(英訳)です。
引き違い窓の解説記事の英訳コーナーの部分でも書いたのですが、Google翻訳さんによれば、「片引き窓」の翻訳は、「Single-sided window」とのこと。
直訳すぎる気もしますし、少しズレている気もするのですが、個人的には、大きな違和感はありません。🙁
※個人的には「sided」がややズレてる気がするのですが・・
YKKapさんサイトを英語翻訳して見てみますと、一枚引きの片引き窓は「single-drawn window」、二枚引きの両袖片引き窓は「double-sleeved single-pulled window」となりました。🤨
何だかまた縺れそうな気がしてきましたが・・・
いつも参考にしている海外のサッシメーカーさんや、サッシ屋さん関係のサイト等も見てみたのですが、それぞれ独自の呼び方をしているようで、あまり統一感が見られず絞り込めませんでした。😵
ですので、打算的で恐縮なのですが、ここでは、前掲のGoogle翻訳さんによる「片引き窓」の英訳、「Single-sided window」を正とさせてください。😓
この場合、ここでの二枚片引き窓の英訳については、「double-sided window」ということになります。
WEB調査結果は話が長くなりますし、結論が導き出せませんでしたので、以下に折りたたんでおきます。
ご興味あれば、展開してご覧になってみてください。
「Single skylight」と「Piece skylight」?←たぶん誤解してる
「Horizontal sliding window」の内のひとつ?
「Pass-through window」の内の「Multi Glide」タイプ内のひとつ?参照ページ ←削除されてしまいました。😩
「Sliding Window」のひとつであることは間違いなさそう・・
一枚片引き窓は「Two-Panel Slider」?/二枚片引き窓は「Three-Panel Slider」?参照ページ ←ここも削除されてしまいました。😟
ここも「Sliding Window」のひとつであることは間違いなさそう・・
情報が曖昧で絞り切れない・・
個人的には「Single sliding window」と「Both sliding window」になりそうな気もするが確証がない。
中途半端になってしまって、申し訳ありません。🙏
シカゴに25年ほど行ったままの友人がいますので、最近中々会えないのですが、帰国の際にでも聞いてみるように致します。
片引き窓の種類と形状
では実際に、この片引き窓にどんな種類があって、それぞれどんな形状なのか?という点についての解説に入ります。
冒頭でお話しました通り、RC造やS造、SRC造では、イージーオーダーや特注で色んな片引き窓があるため、キリがなくなってしまいますので・・
今回は木造の片引き窓の種類と形状ということで進めさせていただきます。☝
もちろん木造でも、イージーオーダーや特注での対応もできます。
ただ、お高く付いてしまうこともあって、いわゆる建築家と呼ばれるような設計屋さんか、建築家気取りの設計屋さん以外は、なるべく既製品の窓(サッシ)を使うような計画をする場合が多いです。
なぜなら、お客さんの予算を有効利用すべきと考えるからですね。😉
これも既述の通り、使われること自体も少ないのですが、片引き窓の種類としてもあまり多くはなく、一般的な木造で見かける片引き窓は、「一枚引き」と「二枚引き」くらいです。
※最後にオマケでニュアンスの違うもう一つご紹介します。
片引き窓の種類と形状1:一枚引き
まずは最も一般的な一枚引きの片引き窓です。
通常、「片引き窓」と言われれば、この👇「一枚引き」タイプを指すことになりますので、違うイメージをお持ちの方は、次項でご紹介する「二枚引き」などをご参照ください。
以下👇の写真は、YKKapさんのフレミングJというシリーズの一枚引きタイプの外観形状です。
片引き窓ですので、動く障子は片側一枚だけ。
この👆写真で言いますと、右側の巾の狭い障子が左側にスライドする形になります。
では左側の正方形に近い部分はどうなっているのか?と言いますと、固定されていますので、動かすことができません。
ですので、開放できる巾は右側の1/3ほどの巾のみ・・ということになるため、あまり使われる機会がないんです。
どうしても!😲とのご要望があれば、この手の片引き窓での計画もするのですが、現実的には、出番は多くはありません。😕
ちなみに、先👆の写真の片引き窓は、寸法的には16509というタイプですので、「6尺巾用」ということになるのですが、巾については、YKKapさんの場合、本日(21.9/17)現在はやや狭めの「4.5尺巾用」の「114」というタイプから存在します。
ここでの寸法表記「16509」は、内法巾が1650mmで内法高が900mmという意味です。
寸法表記の見方の詳細については、別の記事なのですが、こちら👉「図面の見方01」のこの辺りをご覧になってください。
また、形式としては、YKKapさんのこの👆フレミングJというシリーズの場合、「6尺巾用」以下は、腰窓タイプしか存在しないようですので、掃き出し窓として考えたい場合は、幅の広い「9尺巾用」が入る壁が必要になってしまうようですね。😕
片引き窓の種類と形状2:ニ枚引き
次に二番目の片引き窓の種類、二枚引きの場合の片引き窓の形状を、これも外観形状になりますが、YKKapさんの同シリーズからご紹介しますと以下👇の製品です。
YKKapさんでは、このような二枚引きタイプの片引き窓を「両袖片引き窓」と呼ぶのですが、呼称の通り、両側の障子が片引きで中央向きにスライドする形になります。☝
※レールは1本です。
真ん中は、先と同じで固定されていますが、両側の障子が中央の固定された部分にスライドしてきますので、開放できる範囲は、一枚引きの場合に比べると広めにはなりますよね。🙂
同じく規格表を見てみますと、先の一枚引きでは存在していた「4.5尺巾用」の寸法設定はありませんので、最低「6尺巾」の壁が必要になってくるようです。
また、一枚引きの場合と同様、「6尺巾」以下では腰窓タイプしか存在しませんで、掃き出し窓としての設定は、「9尺巾」からしかないみたいですね。
まぁ、一般的な引き違い窓と比べると、構造が少し複雑になるでしょうから、致し方ないのかもしれません。😑
その他の片引き窓:三枚連動
その他の片引き窓の種類ということで、ここでご紹介するのが適切なんだろうか💧 ・・・とも思いつつなのですが、
ちょっとニュアンスの違う、「三枚連動片引き窓」と呼ばれる、画期的な片引き窓をご紹介しておきます。🙌
同じくYKKapさんの製品からになるのですが、シリーズとしては先の「フレミングJ」ではなく、やや特殊な窓シリーズのようで、同じく外観形状の写真👇になります。
引き違い窓の解説記事で、画期的な引き違い窓として、三枚引き違い窓をザックリご紹介しましたが、それをさらに進化させたバージョンです。👍
三本のレールがあって、片側からスライドさせると、三枚が連動して動く・・という形ですので、ニュアンスはやや違うとは言え、今回のテーマとなっている片引き窓の類であることに違いはありませんよね。😉
前二件のように固定される部分がありませんので、開放できる巾としては全体の2/3ほどということになりますから、筆者のように「開放感好き」のタイプの方にはとても有難い😘、片引き窓の種類になります。
金額的には、ややお高い片引き窓になってしまうのですが、窓(サッシ)の入替えはそうそう気軽にできるものではありませんので、6尺巾用から設定があるようですので、検討の余地ありという所かと思います。🤔
窓(サッシ)の入替えについては、筆者の建売マイホームでは当初の新築リフォームで、3~4カ所で行なっています。
記事化できていない箇所もありますが、以下の二つはUPしてありますので、ご興味とお時間がありましたら、必要に応じてご覧になってみて頂ければと思います。
- 個別③:リビング腰窓を掃出し窓に改修♪
- 個別⑧:あれ?勝手口どこだろ??👀
当ブログを開設して間もない時期に書いていますので、乱筆乱文かつ、やや攻撃的な内容になっている部分もありますが、ご容赦ください。😅
片引き窓の書き方:図面表記
片引き窓がどんな窓だかお分かりいただけたと思いますので、最後に建築の図面上での、この片引き窓が書き方(どのように表現されるか?)という、図面表記についてのご説明に移ります。
前項でご紹介した片引き窓の種類の内、一枚引きと二枚引きの2種類の片引き窓の図面での書き方(図面表記)を、立面図と平面図にてご紹介します。
片引き窓の書き方(図面表記)1 :一枚引き
まず、一枚引きの片引き窓の立面図での書き方(図面表記)をご紹介しますと、以下👇のようになります。
立面図は外から見た外観を二次元的に表現する図面になりますので、前章でご紹介した外観写真の形状を絵的に表現します。
これに障子の開き勝手を書き込むくらいですので、皆さんにも比較的認識しやすいですよね。😉
先の写真と違う寸法になってしまっていますので、縦横の比率も違って、ちょっと紛らわしくなってしまいましたが、巾1650mm✕高さ900mmほどの腰窓をイメージして描いています。
なお、立面図は通常、大きくても1/100ほどのスケールで書かれますから、細かい線は潰れてしまう(重なって太い線になってしまう)ことから、ある程度、形状は簡略化して表現されます。🙂
次に、平面図での片引き窓の書き方(図面表記)例👇ですが、上段が詳細図などで使われる1/50ほど、下段が1/100ほどの図面での表記になります。
図面を描く設計担当や、会社のルールなどによって、表現の仕方にバラツキは出てしまうのですが😫、片引き窓の平面図での書き方(図面表記)は、概ねこんな👆感じの絵になってきます。
1/50ほどのスケールでこの👆ように片引き窓を書く場合、思いっきり書き忘れてしまっていますが・・・😓、
本来は障子が引き込まれる軌跡を点線で表示するのが基本です。
1/100ほどのスケールになると、点線で表記しようとしても、線が潰れて読み取れなくなりますので、そこまでは表現されない場合が多くなります。
ちなみに、図中「腰窓を示す線」とコメントを入れた線がない場合、通常は掃き出し窓を示していることになります。☝
実際の図面では読み取りにくい場合もありますし、残念ながらそこまで考えずに描かれてしまっている図面もありますから一概には言えないのですが、本来はこの線の有無で区別されるものですので、参考にして頂ければと思います。😊
そのように覚えておいて頂ければ、図面上の窓表記の解読もちょっとやりやすくなるはず・・という意味です。👍
片引き窓の書き方(図面表記)2:ニ枚引き
二枚引きの片引き窓(両袖片引き窓)の場合の立面図での書き方(図面表記)は、以下👇のような絵になります。
寸法的には前項の一枚引きの寸法と同じく、巾1650×高900ほどの腰窓のイメージで、これも同じく立面図での表記例ですので、前章で掲載したような写真を、少し簡略化してそのまま絵にしただけということです。
両サイドの障子を中央に向けてスライドさせる開閉形式でしたので、そのスライドする向きを矢印で表現します。
ちなみに、引き違い窓の記事でご紹介した、立面での表記ではこの開閉方向を示す矢印は入れませんでしたが、それは、引き違い窓の場合は比較的認識しやすいため、わざわざ入れなくても認識できるからです。☝
逆に、形状的に紛らわしい他の似たような窓と混在するような場合は、この片引き窓の書き方(図面表記)のような矢印を敢えて記入することになります。
ここでご紹介している片引き窓は、先の一枚引きでもそうなのですが、似たような外観になる、複合窓が何種類か存在しますので、片引き窓の場合はスライド方向の表現は必須になります。😐
次に、二枚引き片引き窓(両袖片引き窓)の平面図での書き方(図面表記)例ですが、以下👇のような形の表現になります。
先の一枚引きと同様、障子がスライドする軌跡を点線で書き込むのを忘れてしまっていますが・・・😓
1/100以下であればいいとしても、1/50ほどの図面になってくると、通常は軌跡を点線で記載する必要があります。
簡易的な図面でない限り、窓も含めて、戸の開き勝手は表現しなければいけないことになっていますので。😤
これでは一級建築士の製図の試験なんかでは、問答無用で、即座に落とされてしまいますね。😅
25年前の若かりし筆者は、独学の一発でパスできたのですが・・・ (←さりげなく自慢しています😝)
今日のまとめ
今日は、窓解説と図面での書き方シリーズ第五弾としまして、さほどポピュラーではない片引き窓ではあるのですが・・・
片引き窓とはどんな窓なんだ?というテーマで、その種類や形状を含めた基本事項や、図面上での書き方(図面表記)をご紹介して参りました。😐
他の窓もそうなので、全般的に紛らわしくて恐縮なのですが・・・ 😓
図面の描き方は明確な統一ルールが存在しませんので、会社のルールや描く設計者さんによって、ニュアンスが変わってきてしまうため、特に図面表記については、バラツキがあります。
恐縮ながら、この点について、ご留意いただいた上で、何かしらの参考にしていただければ幸いです。🤗
本日も最後までお読みいただき、どうも有難うございました。🙏
コメント